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心理的安全性の基礎を理解し、『活かすために仕掛ける場づくり』を学ぶ【講座レポ③】

11月4日(木)、今週もファシリテーション講座を開講いたしました。
第3回は、竹田 琢さんによる『活かすために仕掛ける場づくり』。講座の様子をお届けします。

Fo-Labファシリテーション講座とは?

私達Foraは、キャリア教育の授業を高校生に提供している団体です。
Fo-Labファシリテーション講座は、学術的な理論や知識だけでなく、
実際に高校で授業を行うことで得たノウハウをもとに作られています。
そのため、ファシリテーションの能力である、下記の2つをより実践的に学ぶことが出来ます。

『場の目的や意図と参加者をつなげること』
『学びやコミュニケーションを促進する能力を身につけること』

Fo-LABは場づくり研究所として、ファシリテーション講座を現在運営していますが、講座の他にも連携講座や深く自分の場でのあり方を学べる機会を準備中です。ぜひ今後も、Foraからの発信をチェックしてみてくださいね。
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本日の講師

竹田 琢(たっくん)|青山学院大学院博士前期課程

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青山学院大学社会情報学研究科博士前期課程在籍。
リフレクティブ(省察的)な学習活動とその設計について研究しているほか、民間企業や学校法人でワークショップや研修の開発に携わる。専門分野は質的心理学・教育工学。

(1)今回の講座での目的

講義が始まる前に、全員で今回の目的を確認しています。
『活かすために仕掛ける場づくり』と題された講座内では、下記の2つを身につけること目的としました。

①参加者が安心して学習/参加出来る場にするために必要な要素を理解すること。
②場を設計するために必要な基礎を理解すること。

誰かと一緒にコミュニケーションを取る際、意図を持ち、上手に作用させるための基本的なスキルを学びます。
前回のすぎやんのファシリテーションとはまた一味違う、たっくんのファシリから多くを学んで帰りましょう!

▼前回のすぎやんの講座レポはこちら

(2)グループサイズの違いとは?

まずはグループサイズの違いを体感するワークを実施しました。
紙一枚を4マスに区切り、各マスに自分のあだ名や心理的安全性を感じる場など決められた項目を書き、指定された人数のグループ内で共有をします。
まずは3分間で個人で、紙に書く内容を考えた後、はじめは1対1のグループで、最終的には1グループ8人の状態で発表し共有しました。
伝える内容は同じでも、人数が多くなるほど発話量は減り、発言しづらい雰囲気になる傾向があります。
また、人数によっても話しやすいテーマもあれば、そうでないものも出てくることを認識し、扱うコンテンツと時間のサイズ感をフィットさせる事が重要であることを体感しました。

また、誰かと話す前に1人でお題について考える時間を設けることも重要です。『1人のグループ』として深く考える時間をはじめに設けることで、
他者との時間を、より意義のある時間にすることが可能になります。


(3)「心理的安全性」概論

まずは心理的安全性の定義から考えてみましょう。
本来の意味での心理的安全性とは、「本音を言い合える雰囲気」であると株式会社ZENTech取締役の石井遼介さんは定義しています。(引用:日本の組織に合った「心理的安全性」とは?そしてリーダーシップとしての「心理的柔軟性」とは?)

メンバー同士が健全に意見をかわせて、生産的で良い仕事をすることに力を注げる状態をイメージしてみましょう。
心理的安全が担保されたチームでは、ビジョンや働く意義をモチベーションとして活動しやすいですが、そうでないチームではルールや罰で行動を制限せざるを得ません。実際に心理的安全のあるチームでは、学習することにポジティブであるケースが多く、結果的にパフォーマンスも高くなる傾向があります。

日本版心理的安全性4つの因子
1. 話しやすさ(何を言っても大丈夫)
2. 助け合い(困ったときはお互い様)
3. とりあえずやってみよう(とりあえずやってみよう)
4. 新奇歓迎(異能、どんと来い)

上記を達成するには、
正論ではなく役に立つことをしよう」とする心理的柔軟性が重要です。
当たり前のことですが、「ありがとう」と感謝を伝えることや、自分が気にかけていることを示すだけで心理的安全性は高めることができます。
また、チーム全体で話しやすさや助け合いを促進出来るように、感情をシェアする文化を作ることも効果的です。


(4)Fo-LABで考える心理的安全性とは

日常的に使われる「心理的安全性」という言葉では、それぞれの環境や目的によっても、費やす時間や重視している内容の方向性が変わっています。

例えば、私たちForaは、「心地よい居場所」「他者を傷つけない場所」を心理的安全性のある場と、捉えています。また、教育や学びの場では、学習目標を達成するという目的が前提としてあり、その達成のために重要な要素として心理的安全性が語られることもあります。

環境や用いられる文脈によっても、心理的安全性の持つ意味や要素が変化します。


(5)学びの場で心理的安全性を作る方法

1.グループサイズ:適切な人数で運用する
2.レイアウト:場の目的に合わせてセッティングする
3.イントロダクション:場の方向性を示す
4.コミュニティ育成の原則:実践コミュニティ育成の原則を生かす

1.グループサイズ
お題の深さや時間の制限に合わせてグループサイズを使い分けること。
2.レイアウト
特にオフラインでは、座席の位置や目線の方向などを、活動や目的に合わせて最適な空間レイアウトを使い分けること。
3.イントロダクション
場の方向性を示すイントロダクションの設計。
ゴール状態、グランドルール、役割、タイムテーブルの4点を冒頭で示すことで「何をやったら良いかわからない」という不安をなくすことが出来る。
4.コミュニティ育成の原則
コミュニティは、熱心な層は全体の10〜15%ほど。それ以外のメンバーでもコニュミティの正式な参加者であるという気持ちになれるような場作りが重要。

あくまでも目的思考で、様々な仕掛けを組み込むことで、
心理的安全性を担保した場作りが教育現場でも可能になります。


受講後の感想や学び

今回の講義では、様々な心理的安全性のある場について理解し、自分が実践するための見取り図を手に入れることができました。
受講後に講座生が得た学びや、感じたことをリフレクションフォームを用いてアウトプットしています。リフレクションフォームの中から、講座生の声を抜粋します。

・自分の作りたい場づくりの中に「心理的安全性がある場」が目標の一つだったため、今回の話はとても参考になりました!特に、環境デザインについては自分のスキルに関わらず、今日から実践できる内容ばかりだったのですぐにアクションに移していきたいと思います。

・オンラインが主流となった今、オンラインでのグループワークが増え、少ない人数でのワークがやりやすいと感じていました。しかし今回の講義では、人数におけるメリットを知ることで場面に応じた人数構成でのワークを行うことが重要であると学びました。

次回、11月11日は工藤理世菜さんを講師に、『自分のタイプを活かす場づくり』をテーマに講座を開催します。
今回の講義では、環境や状況によっても場作りの手法が様々あることを学びました。次回は自分自身にフォーカスしたファシリテーションを学び、より実践を意識したスキルを身に着けましょう。

次回のレポートもお楽しみに!


▼前回のレポートはこちら!


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