結婚式場コモンパーパス物語③
こんにちは窪田です。
前回は異動した名古屋の星ヶ丘の結婚式場で、仲間に嫌われながらも、「最高の結婚式」について探り出した私のエピソードでした。
人により「最高の結婚式」が意味する内容が違うということに気づき、逆に共通することに着目して、具体的に形作れた時に、メンバーやお客様にどんな変化が起こるだろう?ということに関心が湧き始めました。
最高の結婚式とは?
「最高の結婚式」が表す価値、
それは、周りの人に夫婦になるということを「承認してもらえること」だったり、単純にみんなと最高に楽しい時間を「共有すること」だったり、
みんなから最高にキレイだね、幸せそうだねと「祝福してもらえること」だったり、自分たちが夫婦になるという自覚を持つための「けじめ」だったり…
結婚式には一つの価値だけではなく、挙げるカップルにとって、いろんな価値があるということをこの活動を通じて私たちは気がつきはじめます。
その中でどれが正解ということはなく、全部正解なのですが、
たまたまその時集う星ヶ丘のメンバー全員が共通して共感できる価値が見つかります。それが
「感謝」
でした。
星ヶ丘にとっての最高
星ヶ丘のメンバーにとっての結婚式は「新郎新婦が感謝を伝える場」で会ってほしいという、共通の想いがあったのです。思いというより願いという方がピッタリくるかもしれません。
結婚式なので、自分たちが目立ちたいとか、祝福されたいと思うことも全然あり。何しろ一生に一回なんですから。
ただ、私たち星ヶ丘のメンバーは、結婚式にいろんな価値がある中で結婚式を感謝を伝える場と捉える新郎新婦にこの会場を使ってほしいという願いを持っていることに気がついたのです。
改めて私はスタッフに聞きました。
もちろんゲスト全員、なのですが、一番といわれると「親御さん」が上がります。メンバー自身、自分が結婚式を挙げるときは、絶対に親に感謝を伝えたいという意見が圧倒的に多かったのです。
星ヶ丘のコモンパーパスは
に決まりました。
親に感謝を伝えたい新郎新婦は星ヶ丘で挙げれば絶対幸せになるようにしよう、とスタッフと約束しました。
名古屋で一番親に感謝が伝わる式場へ
そこから、どうすれば親に感謝が伝わるかをみんなで考えて、実践する日々が始まります。
親専属のプランナーをつける
結婚式当日、親御さんは新郎新婦からスケジュールなどを聞かされてないケースが多いのですが、そんなことを露知らず、ご親戚の方は親に親族紹介の時間やトイレの場所など様々な質問を繰り出します。
でも、感謝を伝えたい相手が、不安でテンパってたら申し訳ない。せっかくの晴れの日だから、困り顔ではなく、笑顔で過ごしてほしい、という気持ちから、親専属のプランナーをつけるようにしました。
まずは、親御さんが来館されたら名刺を持って支配人である私が挨拶し、担当のプランナーと親専属のプランナーを紹介し、何かあったら遠慮なく呼んでもらえるように伝えます。
これだけで親御さんから名前でご指名を受け、安心感をご提供できるようになりました。
家族と自由に写真を撮れる時間を作る
また、当時のオペレーションでは挙式前に新郎新婦が親御さんとゆっくり写真を撮れる時間がありませんでした。親は友人がいる場では遠慮して写真の順番を譲ることが多かったので、
式のオペレーション責任者とすり合わせ、新郎新婦と家族だけでキレイなチャペルで写真を撮れる時間を捻出しました。
簡単なことに思われるかもしれませんが、分刻みで動結婚式場では5分の時間でも捻出するのは大変です。また多くのスタッフが関わるので、慣れたオペレーションの変更にはミスやクレームにつながるリスクが生じます。
難を示すスタッフもいましたが、コモンパーパスの観点から必要と説明し、なんとか説き伏せました。
感謝のエピソードで家族の絆と歴史を味わう
打ち合わせでも、新郎新婦がそれぞれの親に人生で一番感謝しているエピソードをヒアリングするという手順を追加し、その内容を挙式の中で牧師先生から手短に参列者に紹介するという進行も取り入れます。
「小さい頃病弱で、いつもりんごをすりおろしてくれたお母さんの影響で看護師になったエピソード」や、「ディズニーランドで迷子になった時、お父さんが怒り泣きしながら、抱きしめてくれたエピソード」など、
感謝を伝えたいエピソードを第三者である牧師先生が参列者に紹介することで、挙式の中で新郎新婦の感謝が両親に伝わるとともに、参列者が家族の歴史や絆、親の子供への愛情を感じて、新しい家族たちを暖かく祝福してくれる時間を味わってもらえるようにしました。
挙式の変更も、実際は大変で、今まで挙式でお願いしていた外国人の牧師先生では、日本語がカタコトでエピソード紹介がドリフのコントみたいになってしまうので、日本人の牧師を探すところから始めないといけませんでした。
進行が変わることで音楽や、親の立ち位置、新郎新婦の動き方に至るまで、追加や変更が生じ、膨大な工程の見直しを一つ一つスタッフ全員で丁寧に行いました。
この挙式は後にスタッフの間で「感謝式」と呼ばれ、みんなの想いが集った式として、当時の星ヶ丘でコモンパーパスを象徴する象徴的なキーアイテムとなり、たくさんのお客様に共感してもらえる宝物になります。
そして、この変革を一番率先して手伝ってくれたのが、先述の私の天敵だったHさんとその親友Mさんでした。
ワンチームへ
新規営業のチーフであるHさんは両親へ感謝を伝える式の良さや、親御さん、参列者の方の気持ちについて、感動的なトークを生み出し、しっかり新規のお客様に伝えてくれました。
集客の起点であるゼクシィやWEBも、親に感謝を伝えたい人を集める写真やメッセージに変えれるところから変更し、新しいセールストークをお客様にぶつけてみました。
結果、わずか1ヶ月で星ヶ丘のチーム新規決定率は2倍に上昇します。
スタッフの熱気も過去最高に高まりました。確執があった私とメンバーの関係も日に日に良くなります。雰囲気が良くなると、偶然も味方するものです。
何気ない一言でチームが変わることもある
ある日の雑談で、家族の話になり、私が何気なく「窪田家ではカレーの日にサンマを焼く」と言う話をすると
「カレーの日に焼き焼きサンマ食べないでしょ笑。」
「スプーンと箸、どっちで食べるんですか?まさか秋刀魚もスプーンですか笑?」
と、この話題がうちわで大バズりしたのです。数日すると、その場にいなかったメンバーにもなぜかこの話が知れ渡っており、それがきっかけで私は学生のアルバイトにまでいじられるようになってしまいました。
変革を成功させ、スタッフたちに「仕事ができるスマートでかっこよい支配人」と認知してもらうイメージをしていたのですが、現実はこんなもんです。
カレーとサンマで狙ったわけでもないのに変にバズってしまったのも、関西人の私にとっては居心地が悪い部分もありました。
が、この何気ない一言のおかげで私は、「高圧的で鼻持ちならないメガネ」から「意外と愛嬌のあるお茶目なメガネ」に昇格しました。
不本意ではありましたが、結果としてカレーとサンマ発言はいい意味で私とスタッフの距離を近づけてくれました。
実際、この頃からスタッフが明るく私に話しかけてくれたり、食事に誘ってもらうことも目に見えて増えました。
(続く)
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