【口溶けお菓子】の作り方
今回も【乳化】に関してのお話です。
お菓子の本では乳化に関して必ず説明しているものの、
卵を3回に分けて入れるとか、途中で粉を入れて分離した時の水分を吸わせるとかたくさん書いていますが、このほとんどが【ぽいケーキ】を作ることができるだけで美味しい生地は作れません。
今日は僕が普段使っている【ちょっとしたポイント】を説明します。
乳化と水分量
乳化に関しては過去の記事にて説明しています。
要は【喉越し】で ‘とぅるん’ とした生地は粉などの本来喉越しの悪いものも一緒に口の中で溶かし、喉を流れてくれます。
またカトルカール(パウンドケーキ)に代表されるように卵という水分量が多ければ多いほど固まりやすく、ふんわりと仕上がります。
固まりを求めなく、ギリギリの硬さを求めるのであれば牛乳や生クリームをその一部に代用してもいいかもしれません。
卵とは
卵はお菓子作りで【接着剤】と【ゆるさ】という二面性を持ってます。
卵に含まれるボディービルダーが大好きなタンパク質が熱の変化で【固まる】を作り、卵白に多く含まれる水分が生地の硬さを調整します。
ここからは僕の持論ですが、
カトルカール(パウンドケーキ)はバター、卵、砂糖、粉の基本材料4つを同じ量で作ります。
はっきり言ってバターと同じ量の水分(卵)を分離させないで加えるのは不可能です。
3回にわけてとかそんなレベルではなく油に対して同じ量の水は乳化剤を使わないと物理的に無理だと考えています。
そこで考え方として大切なのは【卵がなぜ同量はいることが大切なのか】ということ。
それは
の二点が考えられます。
卵はその質量を全て入れたほうが美味しい生地になる。しかしその全てを加えたら必ず分離する。
その矛盾を今回は解説していきます。
完全乳化の作り方
基本配合です。
余談ですがシンプルな作り方なので素材にお金をかければもっと美味しくなります。
また砂糖は【微粒子クラニュー糖】ならより舌触りがよくなり、上白糖ならしっとり感がアップします。
途中までは作り方は同じです。
ポマード上のバターに砂糖を入れ、白く持ったりとして来るまで混ぜ合わせます。
バターの攪拌で得られる効果は空気を抱き抱えることにより卵の日の通りを間接的にし、柔らかくします。
いよいよ卵を入れていきます。
室温状態の卵を糸を引くように少しずつゆっくりと入れていきます。
生地の量にかかわらず乳化とは一部分が成功すると他も必ず成功する仕組みになっています。
その逆の分離も同じで、要は一部分を集中して作ることが大切です。
沢山の卵を一気に入れると分離しやすい理由は、バターという油成分の保水限界度に一度に到達してしまい飽和状態になるからです。
急激な飽和状態は完成しないのでお勧めはできないです。
ある程度混ぜていくとボウルのへりに下のような状態が現れます。
これは【もうそろそろ限界来てるよ】マークで、さすがに何も添加物を入れていない状態ではこれより先は分離します。
詳しくいうとこの状態も若干の分離はみられるものの、手立てで簡単に元に戻せるいわば【復帰不可点】です。
ここに来たらためらわずに粉を入れましょう。
粉を入れたらゴムベラで切るように混ぜてグルテンを出さないように粉を混ぜ込んでいきます。
最初ボソボソだった生地も何回も丁寧に混ぜていくにつれて表面が滑らかにつややかになります。
もう少しやりたいと思うあたりで、先ほどの残っていた卵を投入。
生地になじむように切り交ぜていきます。
この時持っているボウルを斜め45度の角度に持ちゴムベラとボウルが当たる面を限定してしまうこと。
自重によって面積が狭くなっていくようにボウル自体を傾けると、混ぜるときに生地が周りに広がらずに最短ルートで完成に持っていけます。
卵の入荷はどこまで大切なのか
今回は卵の入荷をすべて仕切らないというポイントをご紹介しました。
ポイントは【必ず乳化させる環境を作る】ということ。
卵の存在意味の時に話しましたが、卵の効果は上記の二つ。
乳化に関してその分量すべてが必要なのではなく、必要な材料の中で乳化できる水分を持っているのはたまたま卵だっただけです。
そのため卵でなければ乳化できないと考えてしますと失敗します。
分離した生地に薄力粉を加えたらまったく別のものになる。
と以前の記事でも書いたように、一番失敗してはならないのが乳化です。
逆に言うと乳化さえ失敗しなければ生地の状態は後々変えることができるのです。
お菓子は基本的な4つの素材を使って作りますが、既存の方法にとらわれずに【なぜこうするのだろう】としっかりと考えることでアプローチは無限にあります。
ぜひ試してみてください。
働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。