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おうちでポテトのプロになる。

僕はフライドポテトが大好きです。
そもそもマクドナルドが好きで、美味しくいただくほかにマクドナルドのシステムからは多くの業務効率化などを勉強させてもらっています。

今回は家庭でもできるポテトフライを料理科学や料理人の視点から考え、より作りやすくご紹介したいと思います。

【何が焦げるのか】を把握する

私がポテトフライでお勧めしているのはメークインです。
メークインの大きさにもいろいろありますが、
個人的には業務スーパーなどで手に入る大きめ(2Lサイズ)のものを使っています。

今回は家庭で手に入りやすいものをピックアップしてご紹介しますが、芋にも種類がたくさんあり、それぞれ特徴が全く違うので機会があれば別のものでチャレンジしてもいいと思います。

メークインは糖質が男爵芋よりも少なく、揚げ上がりに食感が程よく残ります。

逆に男爵芋は澱粉質が高くホックリと上がるためあげ上がりの食感でのホクホク感がメークインよりも高いです。

ポテトフライで大切なのは【どう仕上げたいか】です。
この考え方で、切り方、粉の選び方、揚げ方が変わります。

メークイン、男爵に限らず料理は手法で出来上がりの食感をコントロールできるので、どのように食べたいかで【どう作るか】が大きく変わってきます。

それでは作っていきます。

まずは芋を大きさを揃え切り揃えます。
ポテトフライはカットが一番重要で、大きさを揃えられることが出来上がりを左右します。

写真のように高さ縦スライス(0.5cmくらい)にしてから幅も(0.5cm)に切りそろえます。


出来るだけ正確にきれるように頑張りましょう。
ベンリナーなどのスライサーを使っても簡単なので、都合の良い方でいいかと思います。

プロの世界では切り口の断面によっても仕上がりに差がありますが、ご家庭では【手切り】にこだわる必要もないと思います。

次に切った芋をよく水に晒します。


よく芋を水に晒す工程は他料理サイトで見ますが、なぜそうするのかを書いてあることは少ないです。

ここでさらに詳しく解説しますが、
切った芋からは【澱粉】が出てきます。
この澱粉は本来芋が成長する過程で作られ、糖分の前段階になります。
澱粉は人間の口にある酵素と反応し糖となりますが、酵素と反応する前から糖分をある程度含んでいます。

お菓子を作るときに生地を高温で焼くとすぐ焦げるように、糖分は加熱で【カラメル反応】を起こし褐色になります。
これが行き過ぎると【焦げる】となります。

当然澱粉も上と同じ反応を起こしますので、水で切り口から出る澱粉を洗い流し、焦げにくくするという目的があります。

切り口からでる芋が持っている澱粉は永遠に出続けることはなく、芋の内部には中心に向かうにつれてさらに糖分(ここでいう澱粉)が蓄えられているので、水に晒すこと=甘みが抜けることにはなりません。

あくまで焦げないようにの下処理ですので、切り口から出てくる白っぽい滑りがなくなったら水から上げます。

下の写真に見える薄らと濁っているものが澱粉です。

水がある程度クリアに澄んだら水から引き上げます。

そのあとは水分をしっかり食品用タオルやペーパーで拭き取ります。

ここで水分が芋の表面に残っていると粉をつけるときにダマになったりします。


まぶす粉で食感に差をつける

水分が拭き取れたら芋に薄く粉をまぶします。

人によって様々ですが、私は片栗粉と薄力粉を半分ずつよく混ぜたものにベーキングパウダーを少し入れたものを使います。

片栗粉は芋の澱粉から作られていて相性が良く、薄力粉は片栗粉が余計に吸う油を抑えてくれると私は思っています。


さっくりと揚げたいなら衣は薄く、カリッとさせたいなら薄力粉を電子レンジで軽くチンして、小麦粉の持つグルテンを壊してもいいかもしれません。

私はその代わりにベーキングパウダーを入れてサクサク感をアップさせています。

プロは揚げ方が違う

私たち料理人と世間のポテトフライの大きな違いは【揚げ方】にあります。

僕は冷たいピュアオリーブオイルを芋の質量ひたひたに入れ、タイムと皮付きニンニクを横半分にカットしたものを加え、そこに芋を入れてから火をつけます。

冷たい油での揚げ物は胃にもたれそうと言う声もよく聞きますが、これはじつは逆です。

室温状態の油に芋を入れてから火をつけていくことでハーブやニンニクの香りが油に移り、それが芋の衣につきます。
また、ゆっくりと火が通っていくことで中はよりホックリと揚がります。

冷たい油に具材を入れ火にかけ、最初は中火と弱火の間で油にハーブ達の香りをつけます。
タイムがフツフツと揚がってきたら取り出して少し火を強めます。

そのまま温度帯は約160度に上げていき、芋から出る泡の大きさで揚がり具合を判断します。

この泡は芋の中の水分が高温で温められることにより蒸発し大きな泡になっています。

芋自体の水分が少なくなり、芋の甘みと旨味が凝縮されてきたら次第にこんがりと色を変え、泡自体も小さくなってきます。

またここでもう一つのポイントは【しばらく触らないこと。】

芋の表面の水分と反応して薄力粉や片栗粉が澱粉やグルテンを形成するのですが、グルテンは加熱でその効果がなくなります。

グルテン自体の働きは無くなっても、一度形成されたグルテンは蜘蛛の巣のように骨組みをタンパク質で形成します。

その骨組みは加熱によっても無くなることはないので、最初のうちは触らないでおきましょう。

ある程度上がってきたら菜箸などでほぐしても大丈夫です。


もう少しだなと思ったら取り出しておいたタイムを最後にサッと加えて油の温度を180度に温度を上げ仕上げます。

最後にヨーロッパの七味(ピマンデスプレット)なチーズ、ケイジャンパウダーを振って召し上がると美味しくなります。

実は家向きの作り方

このプロのポテトフライの作り方は実はご家庭に特に向いています。

いま多くの家庭ではIHや温度調整機能付きのガスコンロが主流です。

プロの飲食店にはそんなものはなく、揚げ物の出す泡などで判断します。

でもそれは慣れているからこそ出来ることで、家庭では温度調整が簡単に出来るため冷たい油から作る方が向いています。

油が飛び跳ねる心配もないですしね。

子供が大好きなポテトフライはより美味しく、より簡単にご家庭で作れます。

芋の状態を知り丁寧に扱うことでプロの味も簡単に再現できます。



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働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。