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突き詰めた先の別れ道


小僧時代から料理の勉強をして修行している人は大まかに下のような流れになると思います。

・本や先輩の技術を自分のものにしようと頑張る。
         ↓

・料理に集中し、そのものの完成度を高めようとする。
         ↓

・結局は食べてもらえないと始まらないことに気づき、相手がどのようなものを求めているかのホスピタリティーも一緒に考える。
         ↓

・商品としてのクオリティーをどう上げるのか、食べる環境をどう作るのかを考える。

です。

多くの料理人が自分の成長欲求のためだけに料理という道具を使って研鑽する過程を経て、それではダメなんだとお客様に教えられる。

自分の料理が主役なのではなく、あくまでもお客様が主役での環境づくりの料理なのだと。

きっと高級レストランでも自分の料理を「ドヤっ」と自分本位で提供している人はいないと思います。


料理人として、仕事として料理をしていると二つに分かれると僕は思っています。

自分のため相手のためかです。

勝手な判断で恐縮ですが、企業で働く料理人は全社が圧倒的に多いと思います。

きっと理由は店の売り上げが上がることによって自分の懐は上がらないと考えている人が多いからです。


企業で料理人をやっているメリットは何でしょう?



企業(大手ホテルや結婚式場)で働くメリットではありません。企業の料理人であるメリットです。

僕は企業で働きながらBASEで自分の店を経営している二面性を持っているのでどちらにも答えることが出来ます。

企業で料理人として働くメリットは、その効率化を学んだり莫大な資本力で自分の技術力を高めることが出来るからです。

企業の発注は今はパソコンですることが多く、ポチったら次の日にはすぐに来ます。野菜の飾り切りや肉のさばき方、食材の扱い方に関して言えば「数をこなす」ことは何よりも早い上達方法なので資金力があるところでは圧倒的に早くなるでしょう。


個人事業主で料理人をやるメリットは何でしょう?


出張料理人をはじめ続々と料理人のフリーランス化の働き方が表れてきています。

企業に属さない一般店や出張料理人に一番大切なことは「信頼」だと思っています。

お客様が満足できるように、求めていることに付加価値をつけて。

様々な思惑があるかとは思いますが基本的に提供内容で料理内容と同じくらい重要なことです。


こういっては失礼があるとは思いますが、美味しい料理を食べに行く場所楽しい食事が出来る場所を多くの人が持っていると思います。

自分の場合はここだなーと思いつくところもあるかと思いますが、実際にお客様からすると空間やサービスが気に入り来店(購入)されることも珍しくありません。

きっと次郎系ラーメンはそれがよさなのではないでしょうか?(実際に美味しいとも思っています)

個人事業主のように組織に属さないで働く料理人のメリットは、こうした商売の本質がしっかりと理解できるからだと思います。

素晴らしい技術を身に着けても不愛想で挨拶すらしない料理人の店にはあまり行きたくありませんもんね。


結局つながる「大切なところ」


上にお伝えしました通り、所属しているグループの違いで料理における主語が変わってきます。

「自分」を前面に出してしまう企業料理人と「相手」を考える個人事業主。

*先に言い訳しますが、すべての人がこの限りではありません。企業料理人として働いてきた経験からの分析です。

技術を高めること、サービスを通して食べる人のその先へ気を配ること。

どちらも大切でどちらも必要です。

料理人として働いているうちにどうしても偏ってしまう考え方に修正を入れれるような経験を付け加えることが今後料理人にとって大切な気がします。

きっと30歳を過ぎた料理人は自分の料理にのめりこむだけではなく、その料理を楽しむための「周り」もコーディネート出来ると、料理人もお客様も認める素晴らしい料理人になるのだと思います。


修行途中には分かれてしまい、自分のやっていることが正しいという認識をしてしまいがちな料理人ですが、一度分かれてもそれは問題を因数分解しただけで結局は統合して考えなければいけない。

因数分解は「やり方」であって「解決策ではない」というのが料理業界なのかと思います。




働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。