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【読書日記】父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 《前編》

もし、あなたがコロナ禍後の経済に不安があれば読んだほうがいい内容です。


未来に対する漠然とした不安は

経済の本当の姿を理解することで安らぐかもしれません。


どうも

あなたのキャリアを失敗させないコンサルタントのタルイです。

週一でnote更新してます。


いま社会経済はここでわざわざ書く必要がないほど

不安でいっぱいです。


アダム・スミスが書いた『国富論』には

「神の見えざる手」として


すべて市場に任せておけば社会は豊かになる。


こう説いております。


ですが本当に任せておいて大丈夫なのでしょうか?

私達は自分でコントロール出来ることはないのでしょうか?


本日ご紹介したい本は

この経済の問題に答えを示してくれます。


いま世界中でこれほどわかりやすく経済について書かれた本は

他に存在しないと評判です。


英国の公立中学に通う一人息子の葛藤と成長を描いた

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者ブレイディーみかこさんは

「優しく、易しく、そして面白く資本主義について語った愛と叡智の書」

と大絶賛してます。

※画像はクーリエ・ジャポンからお借りしました。


実は今回

この本を紹介したい理由はもう一つあります。


著者のヤニス・バルファキスさんは私のヒーローなのです。

彼ほど情熱的で、かつ自他の心をもつ経済学者は他に知りません。


今回は長くなってしまったので

感想を前・後編に分けてお送りします。



◆【私のヒーロー】ヤニス・バルファキスさんはどんな人?

1961年アテネ生まれ。

長年イギリス、オーストラリア、アメリカで経済学を教え

現在はアテネ大学で経済学教授を努めています。

最高の経済学者であり、唯一の政治批評家でもあります。

私がヤニスさんをマイヒーローとする3つの理由を説明します。


●[理由1] ギリシャ経済危機に現れた救世主だったから

ヤニスさんは勇気と誠実の人です。

あなたは2009年のギリシャの財政危機のニュースは

憶えていますか。


ヤニスさんは2015年にギリシャ政権において財務大臣を務めていました。

当時EUから財政緊縮策を迫られるなか

「緊縮財政を敷き、国民に負担を強い続けては経済は回復しない!」

この強い信念のもと

ドイツのメルケル首相らEUを向こうにまわし

大幅な債務不履行(借金の帳消し)を主張しました。


ヤニスさんは国民のために立ち上がった救世主だったのです!


ところが、結果は残念なことに...


EUとの交渉に行き詰まり

同政権も国民との公約に反し

年金カットや増税などの緊縮財政を実施しました。



結果、ヤニスさんは

路上で群衆に取り囲まれたり

自宅には不快な電話がかかってきたりと

逆に国民から嫌がらせを受けてしまうのです。


国民のために立ち上がったのに国民に迫害されてしまう


悲しきことにヤニスさんは失意のなか

財務相を辞任しました。


●[理由2]型にはまらないタイプだから

ヤニスさんの風貌は

スキンヘッドに革ジャン姿がトレードマークです。

とても学者や政治家には見えませんね。


そして、移動はいつもオートバイ。

ヘルメットを着けて颯爽とバイクを飛ばす姿をみて

ヨーロッパの雑誌から「世界一セクシーな財務大臣」

と注目されました。


そして、ついたあだ名が

「政界のブルース・ウィリス」

じんぶん堂さんからお借りしました。


私はのもうひとりのヒーロー内村鑑三

「クリスチャンなのに生き方がロック」

ギャップがありました。


どうやら私の憧れる傾向としては

強い信念を持ち合わせ、型にはまらないタイプ

そして大失敗をしてもまた這い上がってくる

負けざまがカッコいい人なのです。


▼内村鑑三さんはこちらを読んでください。


●[理由3]娘の質問に答えるために本を一冊書いちゃうパパだから

ヤニスさんが本書を書かれたきっかけは

オーストラリアに住む

10代半ばの愛娘クセニアさんがまだ小さい頃

パパにある質問しました

パパ、どうして世の中にはこんなに格差があるの?人間ってばかなの?


ところが、

この質問に対し経済の専門家であるヤニスさんご自身も

娘のクセニアさんも

ちゃんと納得する返答が出来なかったそうです。


そこで

ヤニスさんは、あの時の質問に対して


娘が経済について

「きちんと考えることが出来るように」

格差の起源から市場、金融、お金、労働、環境など

細菌兵器からAIからロボットからビットコインと


そにかく壮大に、かつ優しくて、わかりやすい本

わずか9日間で書いちゃいました!


こんな素敵なパパっていますか?


私もnoteで実践してますが

文章は不特定多数の人に向けて書くのではなく

たったひとりの人に向けて書くのお手本ともいえる本です。



「救世主」「ブルース・ウィリス」「娘想い」 

私はこの3つのキーワードから

映画「アルマゲドン」を連想しちゃいました。



▼本書の目次も紹介します。

目次
プロローグ 経済学の解説書とは正反対の経済の本
第1章 なぜ、こんなに「格差」があるのか?―答えは1万年以上前にさかのぼる
第2章 市場社会の誕生―いくらで売れるか、それがすべて
第3章 「利益」と「借金」のウエディングマーチ―すべての富が借金から生まれる世界
第4章 「金融」の黒魔術―こうしてお金は生まれては消える
第5章 世にも奇妙な「労働力」と「マネー」の世界―悪魔が潜むふたつの市場
第6章 恐るべき「機械」の呪い―自動化するほど苦しくなる矛盾
第7章 誰にも管理されない「新しいお金」―収容所のタバコとビットコインのファンタジー
第8章 人は地球の「ウイルス」か?―宿主を破壊する市場のシステム
エピローグ 進む方向を見つける「思考実験」


ヤニスさんのSF好きが反映されてか

各章の見出しがSF小説のタイトルのようです。

なんとも経済書っぽくさせない配慮が素晴らしい!



◆経済のすべては『余剰』から始まった


本書のまず第一章で

「なぜ格差が生まれるのついて書いてます。

ヤニスさんはクセニアさんが

シドニーの学校の歴史の授業で

アボリジニ(オーストラリアの先住民族)が

昔イギリス人がオーストラリアに

上陸した際に迫害を受け

今も貧困の中に暮らしていることを例に説明をはじめます。



なぜオーストラリアを侵略したのは
イギリス人だったのか?

その逆で、なぜアボリジ二がイギリスを
侵略しなかったのか?


これはヨーロッパ人の方が元々賢かったからとか

彼らの方が元々優れていたからとか

そういうことではないとクセニアさんに念押しします。


18世紀の大航海時代

ヨーロッパ人が世界中を侵略しました。

彼らはダーウィンの進化論を曲解して

白人が有色人種と比べて賢く能力が有ったからだと

本気で思っていた時代を否定したかったのだと推察します。



イギリスによってオーストラリアが侵略された

本当の理由は


●アボリジニは農耕の必要がない自然の恵みに恵まれた土地に住んでいたこと

●イギリス人は自然の恵みがない農耕が必要な土地に住んでいたこと


この「持つもの」「持たざるもの」の悲劇の歴史なのです。


これを理解するためには人類が農耕を発明した時代まで遡ります。


●経済のスタートは農作物の余剰からです。

今から1200万年ほど前に農耕が発明される(働き方2.0)

農耕は食糧不足という最大の難問を解決するために発明されました。

結果、人類は自然の恵みだけに頼らず生きていけるようになったのです。


▼図解にしてみました。

補足説明します。


●生産性の向上⇒農作物の余剰が発生

農産物の生産によってトウモロコシや米小麦などは保存できるので作物が収穫できなかった時のための備えになりました。

●余剰を記録するために文字が生まれる

農民がそれぞれの共有倉庫に預けた穀物の量を

「貝殻」に記録して預かり証としました。


●数字を記録する貝殻が通貨になる

労働者の畑で働いた労働時間を穀物量に換算した

貝殻が借用書と通貨の代わりになる

このとき経済が生まれ、格差が生まれた。


●通貨の権威の裏付けに国家と政府が生まれる

確かに

日本とかイギリス・アメリカのように

自国通貨に価値がないと紙幣も紙屑にしかなりませんよね。


●国家や政府をによる支配のために官僚と軍隊と宗教が生まれる

・国の運営を支える官僚

・支配者と所有権を守る警官

・外敵から余剰作物を守るために軍隊

・支配者を正当化するために宗教が生まれ聖職者が生まれる。


ここで、なぜ宗教も生まれたのか?

穀物の多くが一定の権力者に集まると

権力者は「農民」による反乱を恐れました。


そこで宗教でうまく国民を操り

「地位の高いものだけが穀物をたくさん持つことができる」

という洗脳を行なったのです。


●農耕に必要なテクノロジー(技術)がどんどん発明される

人や動物が一箇所に集まりだし(三密になり)

細菌が繁殖しやすくなった。

なんだか現代にシンクロしてきました。


●細菌から生物化学兵器が生まれ、先住民を瞬殺してしまった。

先住民に細菌のついたタオルをプレゼントするという...😱


たしかにこの歴史を知ったら

コロナ陰謀論が巻き起こるのもうなずけます。



私は、この本を読むまで

経済とは物々交換からはじまり

メルカリのようなCtoC市場ができて

そこから貨幣が生まれた。


なんて、どこかのほほんとした歴史を想像してました。

ですが歴史の真実は違っていたのです。


ここまでをまとめると

世界の経済格差の原因

農耕のテクノロジーは
「持たざるもの」を「持つもの」に変えました。


「持たざるもの」が

「持つもの」となり

「持たざるもの」を侵略する


つまり資本主義の本質は持たざるもののエゴ(自分のことだけ考える)だったのです!



以上ここまでが前編でした。


前半は世界経済の格差について解説しました。


後編ではなぜ地域内で貧困格差が生まれたのか?


「持つもの」が
「さらに持つもの」となり
「持たざるもの」から搾取する。


これについて解説します。


▼続きはこちら



◆本書に興味がある方にお知らせ

本書は経済を解説したビジネス書ではなく

ノンフィクション小説として楽しめます。


よって

ビジネス書のようにスキミング読みをしたらもったいないです。

ところが翻訳本は文字数が多いので目が疲れる...😰

本書もわかりやすいのは事実ですが…
とにかく話が長過ぎます。


こういう本は「聴いて読書」がおすすめです。

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※必ず無料期間が終わったら解除忘れないでください。


最後までお読み頂きありがとうございました。

後半が気になる方はスキをつけてお知らせ頂けると頑張って書きます😊



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