「社長、そろそろお客様第一主義やめませんか!」前編
この記事は、飲食店をはじめとする接客業、サービス業の方に読んでいただきたいです。
また可能でしたら会社の社長にシェアしてください。
どうもタルイです。
プロフィールにも書きましたが
私はひょんなことからブラックな企業のコンサルをしてしまい
働く人が接客業なのに笑顔になれない現状に心を痛めて
飲食店のコンサルとキャリアコンサルを複合した
生産性と心理的安全性の高いコンサルティングを使命としております。
特にウィズコロナ時代に突入した今は企業にとって粗利益確保が重要です。
そのための方法として多くの会社に提案していることがあります。
「社長、御社の経営理念を変えてください!」
「具体的にはお客様第一主義の文言の削除を…」
と、たまにこんな感じで烈火のごとく怒られることもあります(実話)
ある調査ですと、実に日本の経営理念の90%近くは「お客様第一主義」っぽいことが書かれているそうです。
そして、その弊害が以前からささやかれています。
なぜ日本では「お客様」と二重敬語にしてまでも顧客をリスペクトし過ぎるのか?
お客様第一主義の結論から先にお伝えします。
お客様第一主義とは「ビジネスモデル」のことです!
ですが日本の社長のほとんどが
お客様第一主義の定義を「おもてなしの心」であると勘違いなさってます!
そして、現場で働く社員さんやアルバイトさんも
おもてなしの心と自己犠牲の精神を勘違いなさってます!
結果、客数と客単価を著しく低下させる方策を行い、粗利益が確保できておりません。
一つずつ解説していきます。
■そもそも顧客第一主義とおもてなしは違うもの
大前提、私はおもてなしの心自体は批判をしておりません。
おもてなしの心自体は日本が世界に誇る素晴らしい概念であると思います。
しかし多くの社長はお客様第一主義とおもてなしの心がごっちゃになっております。
特に年配の、昭和の経営者の方の中には
未だに「お客様は神様」信仰の方もいらっしゃいます。
この原因と言っては語弊がありますが
昭和の国民的大歌手である三波春夫氏のフレーズ
『お客様は神様です』を曲解されているからだと考えます。
この曲解については三波春夫氏の事務所が正式に公開してます。
『歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。ですからお客様は絶対者、神様なのです』
「お客様は神だから徹底的に大事にして媚びなさい。何をされようが我慢して尽くしなさい」などと発想、発言したことはまったくありません。
会社トップの社長が勘違いしていると
現場はもっと迷走をはじめます。
■おもてなしと自己犠牲の精神はもっと別物
おもてなしは、お店側のスタッフが自己犠牲を払ってでも
お客様のためにいろいろと尽くすことが良しとされる風潮があります。
自己犠牲を前提としたシステムは消耗戦になります。
過去に「NOと言わないサービス」という概念が流行りました。
この言葉の本質は「できません」という代わりに
「代案」を出すことで場がまとまるという
接客術ではなく交渉術のことです。
ですが、どう誤解してか、何でもかんでもお客様の期待に応えようと努力する。
感動サービスと称してマニュアルにない対応を時間と費用をかけてでもやろうとする。
結果どうなるか?
そのお客様に対する次回来店の接客ハードルが高くなるだけなのです。
その方が次来店されたらもっと感動サービスをしなくてはいけなくなる。
で、結局ネタ切れで
過度な値引きとオマケに走ります。
私も現場時代に勘違いしていたことがあるのでよくわかります。
現場の方はよく考えてほしい。
サービスがインフレ化して、客単価がデフレ化するのは経営の末期症状です。
目を覚ましてほしい。
いったいいつになったらアナタのお店でお子様ランチを頼む若い夫婦が現れるというんだ!
いや…これはどうでもいい話だ。
大事なのは
誰かの自己犠牲でしか成立しないシステムはシステムとは呼べないということなのです。
繰り返します。お客様は神様ではありません。
ですが、ごくたまに
「お客様は神様だろ!」
とのたまわるクレーマー客がいますが
彼らは疫病神という意味では
いちおう神様であると補足します。
■お客様第一主義とはビジネスモデルのことです。
世界的企業であるGAFA(Google,Amazon,Facebook,Apple)の中で
お客様第一主義を掲げているのはAmazonです。
Amazonのミッション・ビジョンは「地球上で最も顧客第一主義の会社」です。
CEOであるジェフ・ベゾスも
「おもてなし」は「善意」であって「顧客第一主義」は「仕組み」であると言ってます。
Good intention doesn’t work , only mechanism works.
『善意』は働かない。働くのは『仕組み』だ
ジェフ・ベゾスが作った顧客第一主義に基づく仕組みとは
ビジネスモデルのことです。
この図はアマゾン創業者のジェフ・ベゾスが
創業前にレストランで仲間とミーティングをしていたときに
テーブルの紙ナプキンの裏に書いたそのシステム図です。
ベゾスは消費者の重要なニーズ(要望)を「低価格」「豊富な品揃え」「迅速な配達」とし
この3つのニーズを圧倒的に顧客体験させる。
これがこのビジネスモデルの最重要ポイントであると分析します。
それが消費者であるお客様を呼び込み、販売量が増えれば、販売者はますますディスカウントをしやすくなる。
それがまた新たなお客様を生み、消費がまた増加する。
シンプルだからこそ大成功できた理由は
最初にベゾスが顧客のニーズを読み切っていたからだと推察できますね。
つまり最初に顧客のニーズありきで事業を組み立て仕組みをつくることがお客様第一主義だと言えるのではないでしょうか。
ベゾスの紙ナプキンには
サービス業とは業種が違うので当たり前かもしれませんが
hospitality(おもてなし)はもちろん書いてないません。
注目するところはもう一つ
Amazonのビジネスモデルは
Customer experience(カスタマー・エクスペリエンス)=顧客体験であって
CS (顧客満足度)ではないのです。
さて、ここまで記事を読んだ方の中には
私の記事の内容が
俗に言うES(従業員満足度)なくしてCS(顧客満足度)なし
を提唱していると思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ですがそれは誤解です。
「ESなくしてCSなし」
この説は確かに有名ですが
エビデンス(根拠)が確認できないので
私自身は肯定も否定もしておりません。
※どなたか明確な情報をお持ちでしたら教えてください。
私がはっきりと申し上げられるのは
■CS(顧客満足度)を向上しても売上向上にはならない
これについては実際に私も検証した結果ですので説明できます。
殆どの日本のサービス業でお客様第一主義を掲げる会社は
CS(顧客満足度)を指標とされている会社が多いです。
そのために自社でアンケートをされたり
覆面調査を依頼されてると思います。
顧客満足度の調査とは「満足度」を点数化し評価します。
しかし満足度とは、あくまでも来店された
現時点での評価を聞いているだけにすぎません。
つまりお店を気に入って再来店する保証になる指標ではないのです。
どうせアンケートをするならNPSアンケートをオススメします。
NPSアンケートとは
「あなたはこの商品(サービス)を友人・知人に勧める可能性はどれくらいありますか?0〜10 点で点数を付けてください。」
たったこれだけを尋ねるアンケートですが
質問された時に友人・知人を思い浮かべていれば、次回来店時に友人・知人と一緒に来店することや
あるいは口コミ宣伝しようと考えているケースが多いので
次回来店にリンクした質問です。
つまり、NPSアンケートでわかるのは顧客ロイヤルティ度
お客様のお店に対する忠誠心です。
これは自店舗でかんたんにアンケート作成でき
エクセルで簡単に集計できます。
グーグルフォームを使えばもっと簡単です。
※NPSアンケートについて書くと
軽く5000文字必要なので
別の機会に書きます。
■ここまでのまとめ
ここまでをいったん整理します。
・お客様第一主義とおもてなしの精神は別物です。
・おもてなしの精神と自己犠牲はもっと別物です。
・お客様第一主義とはビジネスモデルのことです。
・CS(顧客満足度)を向上しても売上向上とはリンクしません。
ここまでを書きましたが
記事のボリュームが長くなったので前後編に分けます。
後半は、
・それでもお客様第一主義を貫く社長への提言
・私が経営理念の代わりに取り組んでいること
この2点を書きます。
最後までお読みいただきありがとうございます。
スキをいただけると承認欲求の奴隷にならない程度にnoteを続ける意欲になります笑
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私を育ててくれた飲食業界への恩返しの気持ちでやります。
モノを押し売りしたりしないのでご安心ください
■追伸
この記事を2人の方にシェアしてもらえました!
辻さんと芳村さん、ありがとうございます。
辻さんは実際に繁盛されてる飲食店を経営されている社長さんですから言葉の重みが違いますね。
芳村さんのamazonのビジネスモデルへの考察は深く勉強になりました。
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