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【読書日記】父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 《完結編》

「誰もが経済についてしっかりと意見を言えること」

著者であるヤニスさんの願いです。


お待たせしました。

あなたのキャリアを失敗させないコンサルタントのタルイです。



いよいよ

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

の読書日記の完結編です。

諸事情で更新遅れちゃいました💦


本書は、ギリシャ財務大臣時代に

「政界のブルース・ウィリス」と呼ばれた

ヤニス・バルファキスさんが

愛娘クセニアさんからの質問

パパ、どうして世の中にはこんなに格差があるの?人間ってばかなの?

に答えるべく書いた本です。


まず第一章で

人類を飢餓から救うテクノロジー「農耕」の発明によって

テクノロジーを持つことによって

持たざるものを侵略し搾取する時代が訪れました。


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次に産業革命のテクノロジーを持つものがさらに持つものになり

持たざるものから搾取する時代を迎えました。


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さて、今回のテーマは3つ

●AIとロボットのテクノロジーについて

●これからの仮想通貨について

●地球の自然環境について



あなたはここまでの流れだと

この先に書かれていることが

悲観的な内容と思われるかもしれません。


ですがご安心ください。これからは...


「持たざるもの」が「持つもの」となり

「持たざるもの」と分かち合う時代です。



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ヤニスさんの本書の結論は


テクノロジーや通貨や自然環境の管理を

民主化していくことです。


例えば、会社の株券のように、

国民が1人1票の権利を持つことによって

民主的に管理(監視)できる仕組みづくりです。


ワクワクしてきませんか?


ここから詳細を解説していきます。



◆第6章 恐るべき「機械」の呪い

これからのテクノロジー(働き方5.0)について書いてあります。


ちなみに

この章あたりから映画「マトリックス」

「ブレードランナー」喩えが増え出します。


あまりにも喩えが多いので

(あれ?ブルース・ウィリスって出演してたっけ?)

と、途中で検索を始めてしまうほどです。



▼こちらの図をごらんください。

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ヤニスさんはAIとロボットのテクノロジー開発が進むと

3つの力の作用

価格がコスト以下に押し下げてしまうリスクを警鐘してます。


①まず「自動化」でコストが下がる

②次に企業同士の「売上競争」で価格が下がる

③最後にロボットは購買欲求がないので「需用」が下がる


自動化が猛スピードで進む現代においては

事業が成り立たないリスクがあると警鐘しているのです。

つまり

テクノロジーとはそれ自体がデフレ効果なのです。


そこで。ヤニスさんが考える

需要と売上と価格の悪循環を止める

18世紀以来の「大転換」とは


企業が所有する機会の一部をすべての人で共有し

その恩恵も共有するやり方です。


具体的には

機会が生み出す利益の一定割合を共通のファンドに入れて

すべての人に等しく分配するシステムです。



これは

UBI(ユニバーサルベーシックインカム)というアイデアです。


あらゆる企業の株式の一部を社会化し

配当を国民全員に分配するというものです。

つまり市民、国民すべてを株主とみなすわけですね。


これはまさに

「持たざるもの」が「持つもの」となり

「持たざるもの」と分かち合う時代です。



◆第7章 誰にも管理されない「新しいお金」


第4章で、政府が中央銀行が

どんだけお金の管理にだらしないか

ご理解いただけたと思いますが😅


ここでそれら中央権力に頼らず通貨を扱う

ビットコインに代表される仮想通貨について解説してます。


仮想通貨とは

国家や企業が関与しませんから

例えば個人間の送金において

●個人間で文字通り「直接」送金できる
●手数料が無料か格安
●監視や制限が存在しない

このようなメリットが存在します。


その一方で

ドルや円のように国家に紐付いてないことで

通貨としての「信頼」がこれからの課題ですね。


仮想通貨は投資対象としてはまだまだ不確実性が高いのです。


よって危機が起こったらそれを和らげるのがとても難しい

理由は国家に紐づかないビットコインのような仮想通貨は

危機が起きたときに

政府がお金の流通量(マネーサプライ)を調整できないからです。



世界恐慌もまさにそうでした。

仮想通貨と同じように、

お金と政府を切り離そうと金本位制(金の保有量に紐付けた)にしたことで

お金の発行総量が増やせなくなってしまいました。



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現状では、通貨が政治と切り離すのは現実的には難しい。


ヤニスさんの解決策は通貨を民主化することです。

ですがそのためにはまず国家を民主化すること

経済を民主化することなのです。


「持たざるもの」が「持つもの」となり

「持たざるもの」と分かち合う時代です。



◆第8章 人は地球の「ウイルス」か?


これからは通貨やテクノロジーだけでなく

資源や生態系管理の民主化も必要なのです。


ヤニスさんは人類を「宿主を全力で破壊するウイルス」と喩えてます😅


多くの植物と動物を絶滅に導き

地球の森林の2/3を破壊し

酸性雨を振らせて湖を汚染し

土壌を腐らせ、河川を干上がらせ

大気に二酸化酸素を充満させ

環境を不安定にし

人類全体を危険にさらしている。


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なぜ経済は「破壊」を歓迎するのか?

それは破壊が経験価値を生み出すからなのです。

経験価値<交換価値の経済において

森林は経験価値があるが交換価値はゼロ


仮に森林で山火事が起こると

消火に向かう消防車は軽油を消費することで

石油会社の売上になり

山火事で燃えた家や電線を復旧するのに

建築会社に賃金を支払う

皮肉なことに山火事で破壊されることで

交換価値が生まれてしまう。



ヤニスさんの解決策は

経済が地球の資源をきちんと管理できないのは

これらの資源は経験価値であって

交換価値でないことが理由であると述べています。



美しい森林が山火事で燃えてしまうのは

森がみんなのもの所有者がいないことが問題なのです。


解決策は、所有者をつくりだすこと

お金に換えられない価値を利益に換えられる人に預ける

森林に所有者がいれば、企業は炭素の排出権にお金を払い

家族は森へのピクニックにお金を払うようになります。


しかしそれは封建時代のように

ひとりの持つべきもの(領主)ではない。


株券にして数千人の所有者をつくり

株券の所有数に応じて資源から生まれる利益を

分割するということです。


つまり

私たち「持たざるもの」が

「持つもの」となり

「持たざるもの」と分かち合う時代です。



◆エピソード 進む方向を見つける「思考実験」


ヤニスさんは最後にある思考実験の話をします。

それは天才科学者がつくったコンピューター「HALPEVAM」


※発見的アルゴリズムによる喜びと経験価値最大化装置の略で

(Heuristic Algorithmic Pleasure & Experiential VAlue Maximiser)


HALPEVAMは人間の脳波を読み取り

何を好きか、嫌いか、何に悲しむかを100パーセント正確に理解する。

そして、その人の基準で最高だと思う人生を仮想現実にしてくれる。


すごいコンピューターですね!



さてここでヤニスさんからの出題です。

あなたは「この理想の世界に行きたいか?」


そしてヤニスさんからのヒントは

「欲望を満足させること」「本物の幸せ」は違うということです。


ちなみに私の答えは「NO」です。

その理由はヤニスさんのヒント通り

欲望の満足には限りがなく、

どこまでいっても満たせないから


こちらの記事でも書きましたが

本物の幸せとは心の満足のことで

「足るを知る」ことで叶います。



さて、この記事もまとめに近づいてきました。


ちょっとここでヤニスさんにならって

私も思考実験してみたいと思います。



▼この記事のエンディングソングを用意しました。

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では記事を続けます。


ヤニスさんは、娘クセニアの名前の由来を告げます。

君が生まれたとき、クセニアという名前をぜひつけようと思った。このギリシャ語の語源は「クセノス」で、他人とか異邦人という意味だ。「他人への優しさ」とも訳される。


ヤニスさんがこの名前を気に入ったのは

国家や社会は、よそ者の目で見るほうが

その本当の姿がよくわかると思ってきたからだそうです。


私は「よそ者からの視点」という言葉が刺さりました。



本書の翻訳者:関美和さんが教えてくれました。


●日本はぜんぜん民主主義じゃなかった!

2018年 イギリスのシンクタンクである

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの発表によると

日本の民主主義指数は先進国では下位の22位で

「欠陥のある民主主義」のカテゴリに入ってます。



●労働者の「自己決定権」が低い国

労働者の自己決定権が

どこまで保障されているかについて調査した

経済民主主義指数においても

OECD加盟国32か国中29位(2017年度)と

極めて低い位置にランクしています。



●日本はもう貧しい国だった

日本はGDPに占める教育支出が小さく

就労しているひとり親家庭の貧困率が先進国の中で突出して高く

日本に住む子どもの7人に1人は貧困(2015年時点)と

先進国で最悪の水準です。




またヤニスさんは

経済学者になった理由

娘さんに打ち明けました。


「経済を学者に任せておけないと思ったから」

だそうです。


一流の学者は見事な経済モデルを作ったが

そのモデルには

「現実の労働者やお金や借金を勘定に入れていない」

だから実際の経済では役に立たないそうです。


そもそも経済学者は科学者ではありません。

なぜならば科学実験とちがって実験室で

経済状況をシミュレートして

正当性を証明することができないからです。



ヤニスさんは娘さんに告げます。

大人になっても社会に出ても「精神を開放し続ける」には

自立した考えを持つことが欠かせないのだと。


「精神を開放し続ける」

その問いとは...

「自分の身の回りで、そしてはるか遠い世界で、誰が誰に何をしているのか?」


この質問に答える能力こそが精神の自由の源泉になると教えてくれました。



そしてヤニスさんは

私たちにも

とても大切なメッセージも本書に残します


「君には、いまの怒りをそのまま持ち続けてほしい。でも賢く、戦略的に怒り続けてほしい。そして、機が熟したらそのときに、必要な行動をとってほしい。この世界を本当に公正で理にかなった、あるべき姿にするために」


ヤニスさんのメッセージ

「この世界を本当に理にかなったあるべき姿にするために必要な行動」


このあとに私の考えを書いてみます。



◆[タルイのまとめ]「無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり。」


これはソクラテスの言葉です。


知らないことで損をすることもある。

知ることだけを追いかけても虚しい。

「知識を得ること」「その知識を活用する」。


この両方がヤニスさんが伝えたかった

「必要な行動」のことだと思います。


私たちが知らなくて損している事実を一つ書きます。


私は前編の序文で

アダム・スミスの国富論の一節である

神の見えざる手のお話をしました。


「すべて市場に任せておけば社会は豊かになる」


ですが実際には

世界の富の82%が、1%の富裕層に集中しているだけですよね。


実はこの「神の見えざる手」の意訳は

アダムスミスが伝えたかった

真意ではないと言われています。


つまり後世の誰かが誤訳をしたか、意図的に改訳したか。


「国富論」が本当に伝えたかったことは


国民全体が豊かにならなければ

国は豊かにならない


国富論では、

「経営者は労働者が家族を養えるだけの最低限のものは払わなくてはならない」

としています。

この最低限のものの基準は

「妻と子ども数人を養える」という

基準まで示されているのです。



これについては

経済格差が歴史的レベルに達した現在では

UBI(ユニバーサルベーシックインカム)

導入するに十分な根拠と言えるのではないでしょうか。


UBIを好むか好まざるかの問題ではなく

富の創出に対して集団で責任を負う

国民への配当金と考えることはできないでしょうか。


日本国憲法第二十五条は

(1)「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」


最低限度の生活を営む権利として

私たちは変わっていかなくていけません。


私たちは行動しなくてはいけません。


すでに世界中ではUBIについて有効な実験結果が報告されています。


では日本はというと...

「無条件で一定額の現金を得る」ことに関して

「働かざる者食うべからず」という

見当違いのバカなことをいう人間が

いまだにいるのが現状です!



これからの働き方5.0の社会では

機械が勝手にモノやサービスをどんどん生み出していきます。

機械がお金をどんどん生み出していきます。


お金は血液のように循環されるものです

過去と同じように一部の富裕層にだけお金が留めるようだと

社会が壊死します。


「これはオレの物だ」と

エゴイズムで独占するのは

よくよく考えると非合理なのです。


そのモノ・サービスを生み出すための機械や情報は

大勢の人の知識や情報が関わっているのです。


だったら、生み出されたモノやサービスを社会化して

共有の財産としてみんなでシェアすべきなのです。


「持たざるもの」が「持つもの」となり

「持たざるもの」と分かち合う時代です。


最低限度の生活を営む権利として

社会を安定させる方法としてUBI(ユニバーサルベーシックインカム)

現状考えうる最適解です。



最後までお読み頂きありがとうございました。


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タルイタケシ@読書セラピスト
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