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『カフェ4分33秒』 #毎週ショートショートnote【飛び出せ!編】


「マスター少しお聞きしてもいいですか?」

カウンター席に座った男が訊ねる。

「ええ」

そう答えると男はこの店オリジナルブレンドが注がれたカップを持ち上げる。

「たんぽぽ喫茶店なのに、なぜこのカップのロゴはカフェ4分33秒なんですか?」
「あぁ…それは…」

恥ずかしそうにマスターは口を開く。






ブルルルルと世界が揺らいだと思った時から始まったカウントダウン。


僕は覚悟を決めた。
居心地のいいここで、ぷかぷかと漂うのも、そろそろおしまいだ。

たくさんの愛と栄養を育んで守ってくれた人のために僕はここから出ないといけない。


騒がしい声が外から聞こえてくる。

ずっと側で支えてくれた相棒とともに、僕は暗い洞窟から這い出る気持ちで明るい世界へと頭から飛び出した。



「つまり、産まれる4分33秒前の記憶があると?」
「まあ…そういうことになりますかね。私の原点とも」
「でもなぜたんぽぽ?」
「たんぽぽコーヒーなら妊婦さんでも飲めますから」

とマスターは微笑んだ。


 前回の作品がこちらだったので

今回は人生の原点になるようなお話にしてみました。私も幼少期の記憶は結構ある方で(さすがに胎内でのことは覚えてないけど)

「この人が私の“お母さん”なのかー」

と、初めて母を自覚した日やその他諸々……
当時は喋れないから伝えられなかったけど、あの時はこういう理由で泣いてたんだよ! っていう思い出(?)も結構あります。

 幼稚園母の年少頃に描いた両親の似顔絵も母の顔は肌色、(今で言うペールオレンジやうすだいだい)父はオレンジで塗っていて、私としても「父さんはこれちゃうな。こっちの色やな」ってクレヨンをまじまじと見つめ色を使い分けていたのもバッチリ覚えています👀‼️今思うと酔っぱらった姿ばかり見ていたから、赤ら顔がオレンジに一番近かったんやろうな~と。(オレンジのたんぽぽの花言葉は目力とのこと。なんと奥深きことかな)

子どもだろうとしっかりと意思を持って訴えていることを身に沁みてわかっているから、子どもはちろんのこと、大人でも言葉で言えないことをちゃんと受け止めてあげられるようにしようと改めて胸に刻む私なのでした。

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