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book-go-around #002 千葉県: M.N(30代)

book-go-aroundは本を買ってる人に本を買うことや本をコレクションすることの楽しみを語ってもらうflotsambooksのインタビュー記事です。
今度あなたにもインタビューさせてください。

#002 ** 千葉県: M.Nさん(30代)**

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大学時代にホンマタカシさんのTOKYO SUBURBIAを買ったのが初めてだった気がします。それまでは本屋さんで写真集を見るのが好きでもやはり他の本より高いな、と思っていて、また付き合い方のようなものも分からなかったのでなかなか買うに至らなかったです。


でも、TOKYO SUBURBIAは写真だけではなく本のデザインの質量も圧倒的ですし、とにかくカッコよくて手元に欲しいと思って買いました。

また、出版元がなくなってしまう話を聞いたので、今後手に入らないかもしれないとも思い、決めました。そこからは、飲み会に1回行かなければ、服を1着減らせば、とそう考えるとそんなに金銭的なハードルは高くないな、とコレクションにハマりはじめました。

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コレクションを始めて20年近くになるので、その時々で違いますが、今は現在進行形で作品を作っている作家さんのものを買うことがほとんどです。

例えばWalker EvansHAVANA 1933のようにいつ見てもいいなあと思う古い写真集もあります。でも、今はデジタルが普及する一方で、より写真集という形である意味を追い求めた、造本やエディトリアルデザインと写真が絶妙な均衡にある写真集やアートブックが多いので、新作を楽しみにしています。

また、同じ時代を生きていて、感じる社会的課題や関心事にヒットするものが多いのもワクワクするところです。

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ジンクスは特にないです。

ただ、1回手に取って開いてみて、手触りやページをめくった時に目に入って来るリズムなどが気持ちよかったりする本は自分的に当たりであることが多いです。ネットなどで見ていても、写真を何枚か見て文章で書いてあるコンセプトがハマって同じように「これいい!」と瞬間的に思ったものは同様のような気がします。

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(写真右から順に)
Henk Wildschut / Ville De Calais
これはflotsambooksの小林さんに「好きそうだから」と勧めていただいてまさに!で即決した本です。フランスの港湾都市カレーの近くに、10年以上かけて作られた難民の生活圏を撮った写真集。何もなかった空き地にだんだんと家、教会やモスク、生活用品の商店ができ…とひたひたと生活の根が張って行きます。記録としても読めて本文のタイポグラフィなども洗練されています。近年日本でも移民の話題が出るようになり国境や境界や移民に関心が高まっていたところで「こういう本が欲しかった!」という一冊。

Carolyn Drake / Internat
Carolyn DrakeはWILD PIGEONを小林さんに勧めていただいてとても気に入ったので「次も出たのよ」という感じでご紹介いただきました。これは前作とも繋がるこの作家さんの方法で、孤児院に滞在して少女たちとすでにある写真やイラストに絵を描いたりコラージュしたりして作ったものです。手仕事のいい意味での生々しさが活きていて好きな作品です。深い意味にリーチしても面白いのですが、見た目に可愛いな、というのもあります。Susan Ciancioloの服とか好きな方は好きかも。

Marnix Goossens / Yonder
TABFのブースで手に取って一目惚れした本です。ただただ部屋の壁紙やポスターやカーテンから漏れる光などを撮っただけの写真集なのですが、色合いや紙の手触りから、不思議なノスタルジーと違和感があって、でも幻のように綺麗で。実際は、荒れた室内に自然を見つけることをテーマに撮られた写真のようです。

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Jaap ScheerenCut Shavingスペシャルエディションを作家さんのウェブサイトから直接オーダーしたら、ご本人が対応してくださいました。
でもなかなか写真集が送られて来なくて。
メールは来るんですよね「クリスマス休暇で忙しくてごめんね、オーダーはちゃんと受けているから安心してね」って。2月に入る頃までたびたびクリスマス休暇で。
ちょっとクスクスしながらのんびり待っていたのも楽しかったです。
もちろん受け取った写真集はそんなあそびがクールに効いた感じの素敵なものでした。

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とにかくたくさん写真や本に触れることがいちばん楽しめる近道かなと思います。
写真だったらInstagramで気になった作家さんのアカウントをフォローして、日々その作家さんが撮る場面を見てみる。時間があればウェブサイトを見て、写真集を作っているようだったらそのサイト上でで写真集に入っている写真を何枚か見て見たり。そこから、輸入販売している書店のサイトで説明を読んでみるのが、今の写真との付き合い方だったら自然かなと思います。
あとは、アートブックの書店やフェアに足を運んで実物に触れてみるのがやはり一番実感できる方法だと思います。
絵本や好きなタレントさんの写真集とかと本質的には変わらないので、可愛いから買ってみよう、仕掛けが面白い写真集だから買ってみよう、でも良いので自由に選んでみて欲しいなと思います。
もちろん1年間くらい書店やフェアに行って見るだけ、でも個人的には良いと思います。私がそんな感じだったので。
青山ブックセンターさんとOn Sundaysさんにはお世話になりました。

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IMAという写真雑誌を買っています。特集ごとに新しい写真家を知ることができたり、評論を読むのも好きです。一覧のような位置づけです。
あとは東京にあるギャラリーや美術館のtwitterアカウントをフォローしていて、展示情報はそこで見ることが多いです。
TOKYO ART BEATのアプリも同じような用途で使っています。
Instagramでは主に海外の作家さんとギャラリー、出版社をたくさんフォローしています。Wolfgang Tillmansは実験だとも思うのですが、Instagramで製作途中の頭の中やイメージのような投稿が多いのでオススメです。

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たぶんないです。

というのも、私自身が1st editionとか絶版とかに今はあまり関心がなく、写真集やアートブックもどんどん出るので、買える状態にある時に買えたものが縁のあった本かなと思っています。
逆に言うと欲しい本が多すぎて欲を言うとキリがないので、ということにもなります。

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改めて今現在で考えると写真集とかアートブックってアートピースだから、でしょうか。
展示では味わえない、ウェブサイトとはまた別の、その本にする意味がある写真集やアートブックが今は本当に多いと思います。それがいちばんの魅力だと思います。デジタルアートや映像も好きでよく見に行くのですが、それらとの魅力の差別化も以前より進んで、本であることが際立つ写真集やアートブックがどんどん出ている今、楽しいです。
所有するのは久しぶりにページをめくる度に違う感覚というか感想が湧き上がって面白いからのように思います。手元に置いてたまにまた見たい。
だから、あ、これもう私の手元にはなくて良いな、という本は売ってその時欲しいものを買います。
私は小説やビジネス書、ノンフィクションや詩集など読む本の量が多いので、Kindleも使っていますが、たぶん最後に棚に残すのは写真集、アートブック、詩集だと思っています。

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どんなものがかっこいいとか正解とかはないので、気楽に1冊。

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info@flotsambooks.com

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