梅ヶ谷雄太

Murder Channel主宰 。書籍『ブレイクコア・ガイドブック』『ハードコア・テ…

梅ヶ谷雄太

Murder Channel主宰 。書籍『ブレイクコア・ガイドブック』『ハードコア・テクノ・ガイドブック』『History of Japanese Hardcore Techno』著者 https://murderchannel.bandcamp.com/

最近の記事

Ghost Dubs『Damaged』

先月公開した記事で個人的に好きなインダストリアルの質感を持った良作が立て続けにリリースされていると書いたが、自分が好むポイントを突いてくるDUBの良作も各国から多数リリースさされており、2024年上半期の私的BESTの半数はDUBの作品となった。 Iration Steppas x O.B.F.のアルバム『Revelation Time』はルーツに根差しながら柔軟に現行のサウンドを取り入れており、収録曲はどれも素晴らしく名曲揃いである。リリースされてからずっと聴いているがま

    • 日米ラップ・コンビネーション

      「チーム友達」の特大ヒットで国際的な人気を得ている千葉雄喜が先月アメリカのラッパーMegan Thee Stallionのニューアルバム『MEGAN』収録の「Mamushi」という曲にフィーチャーされ、またしてもムーブメントを起こしている。 「Mamushi」はMegan Thee Stallionの日本語でのフックもトピックであるが、千葉雄喜のラップは中毒性が高く何度も聴きたくなる不思議な魅力があり、彼の特殊性に惹かれる人は世界規模で増えていっているようだ。 千葉雄喜はK

      • Atsushi Izumi『Schismogenesis』

        ここ最近、様々なジャンルで良質なインダストリアルの質感を持った作品が立て続けにリリースされている。無機質で機械的なサウンドやビートを駆使するといった表面的なものではなく、アブストラクトな電子音や低音を用いて空間を演出するものが目立ち、それらは70年代~80年頭に展開されていたオリジナル・インダストリアルの可能性を受け継いだものと思える。 映画『ミッドサマー』やゲーム『リターナル』のサウンドトラックを手掛けるなど活動領域を大きく広げていたThe Haxan Cloakはシング

        • MOKUM IN TOKYO - 30 YEARS ANNIVERSARY - / Dynamaxインタビュー

          ハードコア・ガバ・シーンの超名門老舗レーベルMokum Recordsの30周年を祝うイベント「MOKUM IN TOKYO - 30 YEARS ANNIVERSARY -」がいよいよ今月13日に中野heavysick ZEROで開催されます。 今回は「MOKUM IN TOKYO - 30 YEARS ANNIVERSARY -」に向けて、出演者でありMokum RecordsからシングルをリリースしているDynamax氏のインタビュー記事を公開します。 日本のモダン

        Ghost Dubs『Damaged』

          ダークステップ/ハードコア・ドラムンベース再考 - 柊(False-ing)インタビュー

          日本にも長い歴史があり素晴らしいプロデューサー/DJが活動しているダークステップ/ハードコア・ドラムンベースを再考すべく、世界的にトップレベルの知識と情熱と愛情を持ってこのジャンルに貢献されている柊(False-ing)さんにご協力していただき、インタビュー形式でダークステップ/ハードコア・ドラムンベースについて掘り下げてみました。 先日、ハードコア・ドラムンベースの発展に大きく関わったブルガリアのCoohが久々となるアルバム『Duality』をリリースし、ダークステップ/

          ダークステップ/ハードコア・ドラムンベース再考 - 柊(False-ing)インタビュー

          GHz music store / Hzの存在

          デザイナー/造形家であるメチクロ氏が運営するMHzが2009年に立ち上げた音楽通販サイトGHz music storeとフラッグショップHzについて。 自分とメチクロ氏との出会いは2005年2月まで遡る。MURDER CHANNELのイベントに出演してくれたL?K?O氏にお誘いを受け、彼のスタジオに遊びに行ったときにメチクロ氏と始めてお会いした。その際は挨拶程度であったが、L?K?O氏を通じてメチクロ氏とMHzと徐々に関わるようになり、MHzの音楽部門GHz music s

          GHz music store / Hzの存在

          OZIGIRI『Party People Must Die』 & V.A.『電子暴力大集会』発売記念インタビュー

          グラインドコアにスピードコア~ブレイクコア~EDM~フューチャー・ベース~ダブステップをミックスさせた「デジタルグラインド」を提唱する孤高のアーティストOZIGIRI氏がニューアルバム『Party People Must Die』を自主レーベル「わんぱくレコーズ」から発表されました。 独自のブルータリズムによってアニメ、バイオレンス映画/ゲーム、ミーム動画など様々なサブカルチャーの断片を切り刻み、それらを超攻撃的なサウンドに乗せて叩き込んでくるOZIGIRI氏のデジタルグラ

          OZIGIRI『Party People Must Die』 & V.A.『電子暴力大集会』発売記念インタビュー

          Hardcore Technoの奪還 / Manu Le Malin & kmyle『Little Big Man』に寄せて

          ここ数年ハード・テクノを取り囲む状況は目まぐるしく変化しており、今年に入ってからもその勢いは加速し続けている。ハード・テクノのBPMは上がり、ディストーションやフーバー・シンセを大幅に取り込んだ一部のハード・テクノはハードコア・テクノと呼べるものになっているが、その関係性は曖昧な状態ともいえる。これは2000年代に起きたインダストリアル・テクノのハード・テクノ化を連想させる部分があり、細分化の細分化が始まりそうな気がする。 ハード・テクノのムーブメントはハードコア・シーンに

          Hardcore Technoの奪還 / Manu Le Malin & kmyle『Little Big Man』に寄せて

          日本の最初期ハードコア・ドラムンベース/クロスブリード

          Nagazaki、Iridium、Double Kといった次世代ハードコア・プロデューサーの作品を発表しているフランスのPrototypes Recordsから日本のクロスブリード・プロデューサーQuarkのシングル『Duality』がリリースされた。 『Duality』はメインストリーム・ハードコアを自身のクロスブリード・スタイルに巧みに取り込んだアグレッシブかつメロディアスなトラックとなっていて、Quarkの優れた技術と分析力によってクロスブリードの領域を広げた素晴らし

          日本の最初期ハードコア・ドラムンベース/クロスブリード

          Tim Exileについて

          奇抜で未来的なアイディアを実現させる卓越した技術力によってドラムンベース~ブレイクコア~IDM/グリッチ~ハードコア・テクノ~シンセ・ポップまで幅広く手掛ける天才音楽家Tim Exileが去年7月に膀胱がんになってしまい、現在も治療を受けている。さらに、治療期間中に事業が破綻してしまい貯金と収入が無くなり、GoFundMeにて緊急の支援を求めている。 手術の合併症で再入院を余儀なくされ回復にはまだ時間がかかるので、それまでの間に彼と家族(双子の娘と奥様)にはサポートが必要と

          Tim Exileについて

          John Fruscianteとエレクトロニック・ダンスミュージック/US Raveシーンとの関わり

          今年5月に東京ドームで行われた来日公演が話題となったばかりのアメリカのロック・バンドRed Hot Chili PeppersのギタリストであるJohn Fruscianteとカナダの奇才電子音楽家Venetian SnaresによるユニットSpeed Dealer Momsが3年振りとなるシングル『Birth Control Pill』をEvar Recordsから発表した。 Speed Dealer Momsは両者が所有する新旧のドラムマシーンやシンセサイザーなどのアナ

          John Fruscianteとエレクトロニック・ダンスミュージック/US Raveシーンとの関わり

          MOKUM IN TOKYO - 30 YEARS ANNIVERSARY -

          オランダの老舗ガバ/ハードコア・レーベルMokum Recordsの設立30周年を記念したイベントが7月13日に中野heavySICK ZEROで開催される。 Mokum RecordsといえばTechnohead「I Wanna Be A Hippy」やParty Animals「Have You Ever Been Mellow」の特大ヒットチューンをリリースしたレーベルとしてガバ/ハードコアのリスナー以外からも広く知られており、ダンスミュージックの歴史において重要なレ

          MOKUM IN TOKYO - 30 YEARS ANNIVERSARY -

          デジタルハードコア再考 - Coakira(Fujimi Industry Records)インタビュー

          パンクのメンタリティをもとにブレイクビーツ・ハードコア~ジャングル~ハードコア・テクノ~インダストリアル~ヒップホップ~ノイズを力技で組み合わせた攻撃的かつ知的なジャンル「デジタルハードコア」の魅力に迫る特集記事を公開。 デジタルハードコアは90年代前半にドイツのRAVEシーンで活躍していたAlec Empireによって生み出されたジャンルであり、1994年に始動したレーベルDigital Hardcore Recordings(以降DHR)に所属していたAlec Empi

          デジタルハードコア再考 - Coakira(Fujimi Industry Records)インタビュー

          Meat Beat Manifesto & Merzbow『Extinct』

          老舗インダストリアル・レーベルCold Springから日本が世界に誇る電子音楽家/ノイズミュージシャン秋田昌美ことMerzbowと、ブレイクビーツの魔術師Jack DangersことMeat Beat Manifestoによるコラボレーション作『Extinct』が4月末に発売された。 「¡FLAKKA!」「Burner」という長尺の2曲で構成されており、これらの曲は2023年11月から2024年1月に掛けて作られたものだという。「¡FLAKKA!」はJack Danger

          Meat Beat Manifesto & Merzbow『Extinct』

          yumeo - Wild Tale

          パンクな姿勢をもとに優れた技術と現代的な視点でインダストリアル・テクノを軸にエレクトロ~EBM~ノイズ~インダストリアル~リズミックノイズ~ブレイクコア~IDM~ハイパーポップなど、様々なジャンルをごちゃ混ぜにしたカオスなダンスミュージックをクリエイトするyumeoのニューアルバム『Wild Tale』を6月7日にMURDER CHANNELから発表する。 今作『Wild Tale』はコンセプチュアルなアルバムとなっており、それぞれの曲に意味が込められている。CD盤には『W

          yumeo - Wild Tale

          History of Japanese Hardcore Techno - Mixed by Savage States / インタビュー公開

          『History of Japanese Hardcore Techno』ミックス・シリーズ第三弾は、大阪を拠点にグローバルに活動するSavage StatesのT4TSUYAさんに参加していただきました。 ハードテック~UKハードコア~ジャングル~ドラムンベース~Tekno~トランスの要素を高度な技術でミックスしたトラックにエモーショナルで高揚感のあるメロディが合わさったハイブリッドかつ一貫性のあるハードコア・トラックをリリースしているSavage States。Nigh

          History of Japanese Hardcore Techno - Mixed by Savage States / インタビュー公開