梅ヶ谷雄太

Murder Channel主宰 。書籍『ブレイクコア・ガイドブック』『ハードコア・テ…

梅ヶ谷雄太

Murder Channel主宰 。書籍『ブレイクコア・ガイドブック』『ハードコア・テクノ・ガイドブック』『History of Japanese Hardcore Techno』著者 https://murderchannel.bandcamp.com/

最近の記事

Tripped / MadBack Recordsの変遷

10月5日に開催されるHARDCORE ASSOCISTIONに出演する為5年振りに来日し、10月11日には待望の3rdアルバム『Celebration Of Ignorance』のリリースを控えているベルギーのハードコア・テクノ・プロデューサーTrippedと彼のレーベルであるMadBack Recordsが辿ってきた道をまとめてみよう。 2016年にTrippedと[KRTM]によって立ち上げられたMadback Recordsは第一弾作としてTripped & [KR

    • Back To Chill 18周年に向けて

      GOTH-TRAD率いるパーティー/レーベルBack To Chillが18周年目を迎え、9月22日MIDNIGHT EASTにて記念パーティーが開催される。 GOTH-TRADと親交の深いMALA(Digital Mystikz)がスペシャルゲストとして来日し、国内からはDJ KRUSH、SAMO(FULLHOUSE)、CYBERHACKSYSTEMなどが出演。Back To Chillがプッシュしてきたダブステップ/ヘヴィーウエイトなベースミュージックを軸に様々なスタイ

      • ハードコア・テクノ・ガイドブック インダストリアル編より「Tripped」インタビュー公開(10月5日まで限定公開)

        ハードコア・テクノを軸にアシッド~テラーコア~インダストリアル・ハードコア~シュランツを自由自在に掛け合わせた唯一無二のスタイルで絶対的な存在感を放つベルギーのTrippedが10月5日に開催されるHARDCORE ASSOCISTIONに来日することが決定しました。 今回はTrippedの来日を記念して、2021年にパブリブから出版した『ハードコア・テクノ・ガイドブック インダストリアル編』に収録しているTrippedのインタビュー全文を期間限定で公開します。こちらのイン

        • 福岡(FUCKOKA)の音楽史について / KenKoTaiji & MARU303インタビュー

          先日、MURDER CHANNELから福岡のポスト・ブレイクコア・アーティストKenKoTaiji(健康胎児)さんのニューシングル『Empty Your Mind』をリリースさせていただきました。 KenKoTaijiさんは福岡を拠点にブレイクコアの本質を捉えた革新的な作品を発表されており、MURDER CHANNELのメガミックスやStazma The Junglechristのリミックスも手掛けてくれています。 ニューシングル『Empty Your Mind』は、メラ

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          JUBEE『Liberation』

          今年3月にSonic YouthのKim GordonがMatador Recordsから発表した2ndアルバム『The Collective』はTrapやSoundCloud Rapの要素をアヴァンギャルド/ジャンク/ノイズ・ロックといった彼女が歩んできた道筋と並べ、インダストリアル、DUB、トリップホップを微量に混ぜ込んで作り上げた異形の傑作であった。『The Collective』はCharli XCX、Lil Yachty、Yves Tumorのアルバム・プロデュース

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          Ghost Dubs『Damaged』

          先月公開した記事で個人的に好きなインダストリアルの質感を持った良作が立て続けにリリースされていると書いたが、自分が好むポイントを突いてくるDUBの良作も各国から多数リリースさされており、2024年上半期の私的BESTの半数はDUBの作品となった。 Iration Steppas x O.B.F.のアルバム『Revelation Time』はルーツに根差しながら柔軟に現行のサウンドを取り入れており、収録曲はどれも素晴らしく名曲揃いである。リリースされてからずっと聴いているがま

          Ghost Dubs『Damaged』

          日米ラップ・コンビネーション

          「チーム友達」の特大ヒットで国際的な人気を得ている千葉雄喜が先月アメリカのラッパーMegan Thee Stallionのニューアルバム『MEGAN』収録の「Mamushi」という曲にフィーチャーされ、またしてもムーブメントを起こしている。 「Mamushi」はMegan Thee Stallionの日本語でのフックもトピックであるが、千葉雄喜のラップは中毒性が高く何度も聴きたくなる不思議な魅力があり、彼の特殊性に惹かれる人は世界規模で増えていっているようだ。 千葉雄喜はK

          日米ラップ・コンビネーション

          Atsushi Izumi『Schismogenesis』

          ここ最近、様々なジャンルで良質なインダストリアルの質感を持った作品が立て続けにリリースされている。無機質で機械的なサウンドやビートを駆使するといった表面的なものではなく、アブストラクトな電子音や低音を用いて空間を演出するものが目立ち、それらは70年代~80年頭に展開されていたオリジナル・インダストリアルの可能性を受け継いだものと思える。 映画『ミッドサマー』やゲーム『リターナル』のサウンドトラックを手掛けるなど活動領域を大きく広げていたThe Haxan Cloakはシング

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          MOKUM IN TOKYO - 30 YEARS ANNIVERSARY - / Dynamaxインタビュー

          ハードコア・ガバ・シーンの超名門老舗レーベルMokum Recordsの30周年を祝うイベント「MOKUM IN TOKYO - 30 YEARS ANNIVERSARY -」がいよいよ今月13日に中野heavysick ZEROで開催されます。 今回は「MOKUM IN TOKYO - 30 YEARS ANNIVERSARY -」に向けて、出演者でありMokum RecordsからシングルをリリースしているDynamax氏のインタビュー記事を公開します。 日本のモダン

          MOKUM IN TOKYO - 30 YEARS ANNIVERSARY - / Dynamaxインタビュー

          ダークステップ/ハードコア・ドラムンベース再考 - 柊(False-ing)インタビュー

          日本にも長い歴史があり素晴らしいプロデューサー/DJが活動しているダークステップ/ハードコア・ドラムンベースを再考すべく、世界的にトップレベルの知識と情熱と愛情を持ってこのジャンルに貢献されている柊(False-ing)さんにご協力していただき、インタビュー形式でダークステップ/ハードコア・ドラムンベースについて掘り下げてみました。 先日、ハードコア・ドラムンベースの発展に大きく関わったブルガリアのCoohが久々となるアルバム『Duality』をリリースし、ダークステップ/

          ダークステップ/ハードコア・ドラムンベース再考 - 柊(False-ing)インタビュー

          GHz music store / Hzの存在

          デザイナー/造形家であるメチクロ氏が運営するMHzが2009年に立ち上げた音楽通販サイトGHz music storeとフラッグショップHzについて。 自分とメチクロ氏との出会いは2005年2月まで遡る。MURDER CHANNELのイベントに出演してくれたL?K?O氏にお誘いを受け、彼のスタジオに遊びに行ったときにメチクロ氏と始めてお会いした。その際は挨拶程度であったが、L?K?O氏を通じてメチクロ氏とMHzと徐々に関わるようになり、MHzの音楽部門GHz music s

          GHz music store / Hzの存在

          OZIGIRI『Party People Must Die』 & V.A.『電子暴力大集会』発売記念インタビュー

          グラインドコアにスピードコア~ブレイクコア~EDM~フューチャー・ベース~ダブステップをミックスさせた「デジタルグラインド」を提唱する孤高のアーティストOZIGIRI氏がニューアルバム『Party People Must Die』を自主レーベル「わんぱくレコーズ」から発表されました。 独自のブルータリズムによってアニメ、バイオレンス映画/ゲーム、ミーム動画など様々なサブカルチャーの断片を切り刻み、それらを超攻撃的なサウンドに乗せて叩き込んでくるOZIGIRI氏のデジタルグラ

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          Hardcore Technoの奪還 / Manu Le Malin & kmyle『Little Big Man』に寄せて

          ここ数年ハード・テクノを取り囲む状況は目まぐるしく変化しており、今年に入ってからもその勢いは加速し続けている。ハード・テクノのBPMは上がり、ディストーションやフーバー・シンセを大幅に取り込んだ一部のハード・テクノはハードコア・テクノと呼べるものになっているが、その関係性は曖昧な状態ともいえる。これは2000年代に起きたインダストリアル・テクノのハード・テクノ化を連想させる部分があり、細分化の細分化が始まりそうな気がする。 ハード・テクノのムーブメントはハードコア・シーンに

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          日本の最初期ハードコア・ドラムンベース/クロスブリード

          Nagazaki、Iridium、Double Kといった次世代ハードコア・プロデューサーの作品を発表しているフランスのPrototypes Recordsから日本のクロスブリード・プロデューサーQuarkのシングル『Duality』がリリースされた。 『Duality』はメインストリーム・ハードコアを自身のクロスブリード・スタイルに巧みに取り込んだアグレッシブかつメロディアスなトラックとなっていて、Quarkの優れた技術と分析力によってクロスブリードの領域を広げた素晴らし

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          Tim Exileについて

          奇抜で未来的なアイディアを実現させる卓越した技術力によってドラムンベース~ブレイクコア~IDM/グリッチ~ハードコア・テクノ~シンセ・ポップまで幅広く手掛ける天才音楽家Tim Exileが去年7月に膀胱がんになってしまい、現在も治療を受けている。さらに、治療期間中に事業が破綻してしまい貯金と収入が無くなり、GoFundMeにて緊急の支援を求めている。 手術の合併症で再入院を余儀なくされ回復にはまだ時間がかかるので、それまでの間に彼と家族(双子の娘と奥様)にはサポートが必要と

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          John Fruscianteとエレクトロニック・ダンスミュージック/US Raveシーンとの関わり

          今年5月に東京ドームで行われた来日公演が話題となったばかりのアメリカのロック・バンドRed Hot Chili PeppersのギタリストであるJohn Fruscianteとカナダの奇才電子音楽家Venetian SnaresによるユニットSpeed Dealer Momsが3年振りとなるシングル『Birth Control Pill』をEvar Recordsから発表した。 Speed Dealer Momsは両者が所有する新旧のドラムマシーンやシンセサイザーなどのアナ

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