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ダークステップ/ハードコア・ドラムンベース再考 - 柊(False-ing)インタビュー

日本にも長い歴史があり素晴らしいプロデューサー/DJが活動しているダークステップ/ハードコア・ドラムンベースを再考すべく、世界的にトップレベルの知識と情熱と愛情を持ってこのジャンルに貢献されている柊(False-ing)さんにご協力していただき、インタビュー形式でダークステップ/ハードコア・ドラムンベースについて掘り下げてみました。

先日、ハードコア・ドラムンベースの発展に大きく関わったブルガリアのCoohが久々となるアルバム『Duality』をリリースし、ダークステップ/スカルステップ界の帝王Current Valueは『Dream Noire』でテクノイドの進化系を披露するなど、新たなフェーズに突入しそうな気配が漂うダークステップ/ハードコア・ドラムンベース・シーンでありますが、現在に至るまでにどういった道を辿ってきたのかを振り返る必要性を感じた為、今回の記事を作らせていただきました。

過去現在未来を見通した柊さんの素晴らしい視点によってダークステップ/ハードコア・ドラムンベースの魅力が細かく語られ、マニアから初心者まで楽しめる歴史的価値のあるインタビュー記事ができあがりました。ダークステップ/ハードコア・ドラムンベース・ファンの方だけではなく、ダークでハードなダンスミュージックがお好きな方には確実に刺さるものが見つかるはずですので、こちらの記事内で紹介されている作品のリンクを是非チェックしてみてください。

『ハードコア・テクノ・ガイドブック インダストリアル編』ではダークステップ/ハードコア・ドラムンベースの歴史について当事者であるEye-DやThrasherがインタビューで興味深い話を語ってくれていますので、興味が沸いた方はこちらもチェックを。

False-ing
2014年に来札したDJ Hiddenに魅入られ、Crossbreed / Hardcore DnBの探求を開始。2018年からは自身もDJ活動を行うようになる。最近は特にDnBに傾倒し、軽快で奇抜な楽曲を好んでプレイする。


Q. 柊さんがダークステップ/ハードコア・ドラムンベースを知ったのはいつ頃ですか?

学生の頃に音楽ゲームを通じてハードコアに興味を持った後、就職で札幌に引っ越してからはRoughSketchさんの主催するYatsuzaki Hardcore (ヤツコア) に遊びに行っていました。
2014年11月、ゲストにDJ MyosukeさんとNoizenecioさん、そして DJ Hiddenが来ていた回 があったんですが、当時の何も知らない自分にとってDJ Hiddenのプレイはあまりにも衝撃的で、一発でクロスブリードに魅了されてしまいました。うっすらと残っている記憶では Dylan - Virus (DJ Hidden Remix) とかをプレイしていたような気がします。

その後ジャンルの生い立ちを調べたりする中でダークステップやハードコア・ドラムンベースについても認知だけはしていったものの、初めはクロスブリードの中でもハードコア的な側面の強いトラックを好んで聴いていたので、ドラムンベースの魅力というか楽しみ方に気付いたのは、もう1~2年後のはずです。実はドラムンベース歴はそこまで長くないんですよね。

ちなみに、興味を持ち始めるまでの空白の期間・・・つまり2014-2015年頃ですが、その時期に開催されていた Kodoku というパーティがゴルジェやダークステップ等にフォーカスしていたようで、当時もっと広く興味を持てていれば!遊びに行けていれば!と思うばかりです。

Q. 柊さんがダークステップ/ハードコア・ドラムンベースを聴き始めた頃はどういったプロデューサー/レーベルが活発でしたか?当時はどのようにしてダークステップ/ハードコア・ドラムンベースの情報を得ていましたか?

これらのジャンルを聴き始めた2017年頃からBandcampをディグに使うようになりましたが、"crossbreed" だったり "darkstep" で検索をかけても想像と違うトラックが出てくることが多かったですね。その分、玉石混交っぽさというか、面白いトラックに行き当たった時の快感みたいな醍醐味は楽しんでいました。
それから、SoundcloudのLikeを遡ってみると2017年2月の PRSPCT PDCST 30 - Switch Technique を皮切りに、PRSPCT PDCSTシリーズもチェックしていたみたいです。

Bandcampを使い始めてすぐの頃に目を付けていたレーベル (で 後述される所を除いたもの) としては、Antistatik Recordings , Melting Pot Records , Insane RecordsBig Riddim Recordins 。それからフリーダウンロードもできる Chuffin NoiseDarkstep Implantant , Deathsoundbat Recordings などもチェックしていました。
今は閉鎖されているBattle Audioというレーベルから凄まじい頻度でハードコア / クロスブリードがリリースされていた時期もその辺りのはずで、Masamune (現The Masamune) や Skitzaph0nic 、Ojüun といったプロデューサー達を知れたのは大きいですね。とりあえず広く浅くフォローしていき、気になったプロデューサーは旧譜も探して、そのリリース元をフォローして... の連続でしたね。

また、その時期にハマっていたトラックを振り返ると、ダークステップ部門は Switch Technique - The First Apocalypse (Black Hoe) 、ハードコア・ドラムンベース部門は Fragz - Never Stop (Yellow Stripe) がお気に入りでした。

前者について・・・Switch Techniqueは、実は初めて知った (教えてもらった) クロスブリードのトラックが Switch Technique & The Outside Agency - Senseless Society だったこともあり、一番と言っていいほど注目していたプロデューサーです。2015年リリースの名盤 Scars から1年と少し経った2017年2月には、これまた衝撃作の Nekrogasm が発表される訳ですが、同EPに収録のSoftbreedやArt of Fearsはダークステップと呼んで差し支えないかなと思っています。

更に同年4月にはUKのダーク・ドラムンベースのレーベルTherapy Sessionsから Revisions EP がリリースされていて、こちらもドラムンベース的なアプローチの強い仕上がりとなっていたのも、自分の興味を押し広げてくれるきっかけになっていたのかもしれません。(Therapy Sessionsに関しては、2013年頃からHostageやFortitude、Konstructor (Paperclip & Dereck) らのリリースが盛んでしたね)

The First Apocalypseのリリース元であるBlack Hoeに関しては、残念ながら同作の次に出たEPから動きが止まっているようなのですが、特に2014~2016年頃にはPeter KurtenやMystification, Brainpainを始めとした面々が活発にリリースしていたようです。彼らもダークステップに興味を持ち始めた頃には既に認知していたプロデューサーで、その繋がりで Evil Beats RecordingsION Recordings にも辿り着けていました。

後者について・・・まずFragzですが、Trigger Finger / Not Human / Temper 、これらのアツいリリースが全て2017年という脂の乗りっぷりで、当時はとても注目していたものでしたが、以降 作風をニューロファンクに移してからは追えていないのが正直なところです。
Never Stopの収録されているInvictus LPにはLimewax, Katharsys, Coohといったダークステップやハードコア・ドラムンベース界の重要人物との合作も収録されており、その誰もが、同じくPosition ChromeやPRSPCT、Othercideを始めとする重要レーベルの2010年代を彩っています。

またリリース元であるYellow Stripe Recordingsは、クロスブリード / ハードコア・ドラムンベースを語る上で外せない存在です。Hallucinator - Raise Your Middle FingerBratkilla & C-Netik - Corona Virus Sa†an - Cut And Run などをリリースした功績は大きいでしょう。
もう少し後になるとComan DanteやVisceralらのダークステップ / ハードコア・ドラムンベース勢が名を連ねることになります。

Q. 柊さんは北海道でDJ活動もされていますが、DJとしてのキャリアを始めたのはいつからですか?

今ではHands Upなどのジャンルで活動しているGOHMES君に誘われて、2018年3月が初DJでした。その頃の札幌はヤツコアの他にも High Voltage!!! や Qold.1 といったハード系のパーティが幾つも開催されており、一方でドラムンベース方面では Down The Beat をはじめとした定期開催のパーティがありましたが、ダークステップやハードコア・ドラムンベースを聴ける機会はとても限られていたように思います。

Q. 北海道のクラブ・シーン/コミュニティの特徴的な部分はどんなところでしょうか?

北海道の、というと主語がすごく大きくなってしまいますね。札幌ススキノ周辺の一部のパーティにしか通っていない (何なら育ちの地・函館のクラブに行ったこともない) いち客の目線である点はご了承いただきたく。

さて、東京のクラブへ遊びに行った際に感じることですが、すごくシンプルなところだと終電が遅い & 始発が早いので、オールナイトのパーティへの行きやすさの時点で水をあけられている気はします。22時 - 4時のパーティがあったとして、首都圏だとパーティが終わって数十分ほど駄弁ったり、軽食でもとって過ごしていれば、現実的な待ち時間で始発に乗れると思うのですが、札幌では2時間近くは時間を潰さないと電車は来てくれないし、我慢して歩いて帰るのも冬場の雪が問題だったりで、お互い夜更かしの延長線上くらいの感覚で遊びに行っているのだとしても、実情はけっこう違っているのかなと。というのも都内のパーティへ遊びに行った時に、最後まで元気な人が多い(人数ではなく割合として) と感じることは多く、ひょっとしたら夜イベ慣れみたいなところで差がついているのかな?と思いました。

それに関連してくるかもしれませんが、リスナーが育っている感じもします。アンセム以外の曲への反応の良さもそうですし、海外レーベルのマーチャンダイズを身に付けて遊びに来ている人もたくさん見かけるので。首都圏と地方の単純な集客数の差だけでは測れない違いは数多くあると思います。

また、東京ではダークステップ / ハードコア・ドラムンベースにフォーカスしたパーティ (SproutやINNOVATEなど) が今まで開催されてきたと思うのですが、コアなサブジャンルのパーティが成立していることに羨ましさを覚えることも多々あります。が、裏を返せば、普段遊びに行っているパーティに垣根が少ないからこそ、そういった違いを感じるのかな、とも思います。

1つのパーティでプレイされるジャンルはオールドスクールからメインストリーム、アンダーグラウンドまで分け隔てなく、常に新しいものに触れられるチャンスを与え続けていて、そこに遊びに来ている顔ぶれも界隈関係なく集まっている気がしており、様々なシーンが混ざり合うのを自然に受け入れているんだと思います。加えて、DJ / プロデューサーとして国内外で活躍されている方の多くがパーティを定期開催されているのも大きいと思っていて、そういったところから感じられる、人と人、シーンとシーン、お互いの距離の近さ みたいな部分が魅力なんじゃないでしょうか。

Q. 日本ではスカルステップやハード・ドラムンベースなど、ダークでアグレッシブなドラムンベースを総称してダークステップとカテゴライズされているかと思われますが、柊さんはダークステップをどのような定義で認識されていますか?例えばAudio、Black Sun Empire、L 33、Maztekなどはダークステップ/ハードコア・ドラムンベース勢と親交があり、曲調もダークでハードなものがありますが、そういった彼等の曲もダークステップにカテゴライズできると思いますか?

超感覚派の自分にとって、ダークステップやハードコア・ドラムンベースという呼称は「ジャンル」よりも「タグ」に近いイメージでいます。敢えて言語化するのなら、ドラムンベースのフォーマットを保ったまま、より過激に進化したトラック (Counterstrike - The SourceHolly - Lose My Mind など) には「ハードコア・ドラムンベース」のタグを、声ネタや曲調から、ホラーチック・残虐性といったワードを連想させるようなトラック(Hallucinator - Near Death ExperienceKonstructor - Therapy など) には「ダークステップ」のタグを、激しく刻まれたリズム隊やスネアを浴びせられるようなトラック (Eye-D & DJ Hidden - RainLimewax & Slave To Society - Chair Software など) には「スカルステップ」のタグを付けている感じですね。

ただ、この理屈でいくとそれぞれの境界線がとても曖昧で、3つ全てに当てはまるトラックなんかも数多くあるので、より突出した特徴を持つトラックに対してダークステップなどの呼び方をすることが、自分は多いと思います。

暗黙の了解的なところだと、ダークステップ / ハードコア・ドラムンベースという呼び名に Freak Recordings や Tech Itch から連なるサウンドを求めているところは少なからずあると思っていて、それゆえニューロファンク的要素を色濃く感じるトラックをダークステップ等の名称で表すのを何となく避け、ハードなものでも「ハードなドラムンベース」、ダークなものでも「ダークなドラムンベース」という言い方をしている癖は正直あるんですが、
誰かが Audio - Genesis Device をダークステップと呼んでいたり、L 33 - Pulse Rate をスカルステップと呼んでいたりしても、別に間違ってはいないと思います。

Q, 柊さんはEd Rush、Trace、Tech Itch、Dylan、Evol Intentなどがクリエイトしていたダークステップの始祖的存在であるテックステップ/最初期ハード・ドラムンベースについてはどう思われていますか?現代においてこれらの要素を受け継いでいると感じるプロデューサーやトラックはありますか?

それらがダークステップの源流になっているだろうという点については自分も同意なのですが、90年代から00年代にかけてのトラックやプロデューサーに関して自分が語れそうなことは多くないのが正直なところです。
強引に得意分野に持ち込むと、最初期のPRSPCTがリリースしていたドラムンベースは幾つか聴いたことがあるので、その辺りから膨らませていってみようと思います。

PRSPCTの1作目、DJ Hidden - The Resonators / Limewax - Pain を改めて聴いてみると、過剰なまでに切り刻んだビートやグロテスクにうねるベースラインといった要素よりも、不安を煽るイントロを抜けた先に続くひたすらなブレイクビーツが中心となって紡がれるストイックなグルーヴ感に、先ほど自分で書いた「ダークステップ / ハードコア・ドラムンベースという呼び名に Freak Recordings や Tech Itch から連なるサウンドを求めている」の意図しているものが詰まっています。やっぱり感覚的な話になってしまっていますけどね。
現代における彼らの作風については、DJ Hiddenは卓越したサウンドデザインによって表現される世界観が特徴という印象を持たれる方が多いと思っており、プリミティブなダーク・ドラムンベースを発表することは少なくなってきている気がします。

一方のLimewaxですが、比較的最近の主要なリリースを順番に... Limewax LPUkrboy EPSettime LPPRSPCT 303 といった感じで聴いてみると、スカルステップという武器を手に、初期の作風を正統進化させ続けてきたかのような流れが窺えるかなと思います。この二者で (敢えて) 選ぶなら、自分はLimewaxの方が原点に近いと感じます。

続いてチェックしたいのはカタログ番号PRSPCTEP001となる Future Filth EP で、DJ HiddenとLimewaxはもちろん、Counterstrike, Eye-D, Catacomb が名を連ねています。CounterstrikeとEye-Dもまた両者とも今日まで活動を続けており、このEPに収録の合作 The Grind は無骨かつダークなサウンドで攻め立てる1曲となっていますが、1つ前の質問への回答で書かせて頂いた自分のジャンル観で言うと、Counterstrikeはハードコア・ドラムンベース寄りかなと思っているところがあります。Eye-Dが単独で作ったドラムンベースで思い浮かぶのは Mission StatementSuicide (Eye-D Remix) 辺りです。それらはすごく最近のトラックという訳ではないのが何ともですが、作風としては比較的素直なダークステップを作る方だとは思います。Catacombは、昔のPRSPCTでしか名前を見たことがないので、あまり分かりません...

この流れで来たら次にピックアップするのはPRSPCTLP001、Blood & Steel LPになるわけですが、ダークステップ / ハードコア・ドラムンベースのリスナーにとって馴染み深いであろうDonnyとCoohが参加しているコンピレーションとなっています。Donnyは Bad HumanKatharsys - Slippery Slope (Donny Remix) に見られる不穏なイントロ・攻撃的なスネアとベースラインが特徴かなと思います。初期ダーク・ドラムンベースが純粋に進化を遂げた姿... いわば現代版ダーク・ドラムンベースのスタンダードという風なイメージを (勝手に) 抱いています。Coohは凄く作風が広いので、最近のものだとチャリティーアルバムのTogether With Ukraineに収録された Hope はクラシックさを思わせる仕上がりとなっていますが、個人的には、初期ハード・ドラムンベース風の作りが得意なプロデューサーというよりは、そういった作風で書くこともある くらいの認識でいます。

そのほか、2010年くらいまでのPRSPCTからドラムンベース作品を発表していたプロデューサーの中で、最近でも名前を見ることがあるのは Machine Code, The Sect, Dub Elements 辺りでしょうか。Machine Code は今も昔も近未来サウンドを作り続けており、またDub Elementsもニューロファンクに活動フィールドを移しているので、The Sectについて。自分がThe Sectに抱いていたイメージは直球なテクノイドのプロデューサーというもので、彼の作風にはそこまでハードさを感じていませんでしたが、テクノイド全体として思い返してみると、そのグルーヴ感は初期ハード・ドラムンベースから受け継がれているものがあると思います。

個人的にテクノイドというジャンルから連想するプロデューサーは Dyslexia や Dykman & Dekel, Inerpois といった面々なのですが、彼らの最近の作品... Dyslexia - Haunt / Blast - Sleepwalkers (Dykman & Dekel Remix) / Inerpois & BackUp - Symbiosis などを聴くと、どれもひたすらにグルーヴを追求するかのようなトラックになっていて、現代のダークステップからはあまり摂取することのできない要素が比較的色濃く残っているのかなと思いました。

Q. ハードコア・ドラムンベースとクロスブリードに決定的な違いがあるとしたらどんなところでしょうか?

あるとしたら で言えば、作り手がどちらのつもりで作ったのか、くらいになると思います。クロスブリードが「ハードコアとドラムンベースの両方の要素を持つジャンル」と表現されることもしばしばあると思いますが、そうであるなら、Dolphin - Bring It On ・・・ハードコアの音で作ったドラムンベース = クロスブリードが、ドラムンベースの延長線上にあるハードコア・ドラムンベースではないと言い切れるだけの "決定的な違い" は、自分には見つけられません。

ちなみに自分の中でのクロスブリード像は、これまた雰囲気の話になってしまうんですが、「ハードコアとドラムンベースのどちらのDJ Setにもシームレスに組み込んでいける曲」くらいのイメージでいるため (もちろん、ハードコア寄り / ドラムンベース寄り、みたいな偏りもありますが) 、ハードコア・ドラムンベースとクロスブリードとの距離、クロスブリードとハードコアとの距離は比較的近く、ハードコア・ドラムンベースとハードコアとの距離は、間にクロスブリードが挟まらない分だけ遠く感じる・・・という差はあると思います。が、これも "決定的な違い" と言えるほど確かな指標ではないですね。

Q. ハードコア・ドラムンベース/クロスブリードの影響はドラムンベース・シーンよりもハードコア・シーンの方に強い影響を与えていました。ハードコア・ドラムンベース/クロスブリードの影響を受けてハードコア・プロデューサーがそれらのトラックを作ることは多かったですが、それとは逆にドラムンベース・プロデューサーがハードコア・ドラムンベース/クロスブリードの影響を受けてハードコア・トラック(Counterstrike「Rotterdam Sangomas」やHigh Rankin「The Rat」など)を作ったケースで印象的であったのは?

High Rankin - The Rat は絶妙なチョイスですね!B面のHorrorcaneも最高です。

印象深いトラックで言うと、Blockdata - Coredump は強烈なインパクトを与える1曲でした。これがBlockdataとの初邂逅だったので、クロスブリードのプロデューサーなのだと思っていたくらいです。
Inerpois - F.E.A.R. (Beterror Remix) はハードテクノのような作風がお気に入りで、よくプレイします。InerpoisはTechnoid、Beterrorはダーク・ドラムンベース畑の人だと思っていたので、こんな仕上がりになるのかと。

最近のプロデューサーだと、ハードなニューロファンクのリリースが多いNoisecrewの Verdict も個人的に推したい1曲です。チェコ・スロバキアはハード・ドラムンベースやクロスブリードのシーンが盛んらしく、そういった繋がりで生まれたのかもしれません。Katharsys & Neks からなる Prime Directive も、お互いドラムンベース方面のイメージが強いですが、ユニットで放つのはハードコア一色なのは印象的です。Change が特に好きなんですけど、最近動きが少ないなあと感じるのが残念なところですね。

別な視点では、Burr Oak (The Clamps & Opsen) - Ground and PoundGancher & Ruin - RockinRolla のように、過去にハードコアやクロスブリードを作っていたプロデューサーが、近年のドラムンベースのプロジェクトでハードコアパートを織り交ぜてくるケースもあったりして面白いです。
ハードコア・ドラムンベースやクロスブリードの影響によって作られたトラックかと言うと違う気はしていますが、最近のドラムンベース・プロデューサーでの事例で言うと gyrofield - Gutenberg なんかが挙げられるかなと思います。

Q. 柊さんの視点から感じる過小評価されていると思うプロデューサーは?

過小評価されているというか、自分の周りであんまり話題になっていないかも?と感じるプロデューサーを挙げるとしたら、Crawler, Visceral, East Kingdom, Defracture 辺りが思い浮かびました。

Crawler は自分のイメージするハード・ドラムンベースやスカルステップをリリースしているイメージが強く、New LightPuppet MasterFear といった攻撃的なトラックは往年のフリーク達にもお勧めしたいです。また OmensConspiracy などの4x4 DnBからはメジャーなドラムンベースシーンのトレンドを汲む心意気も見受けられます。

Visceral はハードコア・ドラムンベースやハードコアのリリースで勢いを見せているUKのプロデューサーで、日本が誇るクロスブリードのレーベル Aggression Audio のコンピレーションには Brain Splatter というトラックが収録されています。近年の作風はハードコアに寄っているように感じられますが、自分が初めて聴いた The Wicked One をはじめ、Panic RoomPestilence などのハードコア・ドラムンベースに彼の個性がよく表れていると思います。

East Kingdom と Defracture は、何と言うか... 「惜しい」リリースが結構多いという点で注目しています。East Kingdom は自分がクロスブリードを掘り始めた割と初期から認知していたプロデューサーで、Max Shade や Kryzys らと共にハード・ドラムンベースを長く支えてきた存在と言えるでしょう。
2020年には Future Sickness から Identity LP をリリースしており、彼特有の音作りなど特徴が詰まっているアルバムだと思っていますが、玄人向け?渋すぎ?なトラックが多く、ハードコア・ドラムンベースほどの過激さを求めている人に刺さりづらいのかなという気がしています。ちなみに個人的オススメトラックは同じくFuture Sicknessからリリースされている The DFAM Symphony で、ハード・ドラムンベースを軸にハーフステップや四つ打ちがスマートに織り交ぜられた1曲です。

一方の Defracture は2020年頃からこの名義での活動をスタートさせた、Fifthy と EarClear のユニットです。(The Oblivion Show をチェックしている人なら、New Blood で聴いたことがあるかもしれません )発足から間もない時期の Primitive Instinkt や Fifthy & EarClear時代の Nothing などのトラックから何となく察するかと思いますが、一貫してダークであるがゆえに、先ほどと同じく渋めな印象を抱いてしまうのかもしれません。とはいえ年々クオリティを上げてきているとも感じていて、合作にはなりますが最新トラックの I Am The Shadow は持ち味も活かしつつダンサブルでアグレッシブな仕上がりになっていると思います。

Q. 2013~2014年にState of Mind、Teddy Killerz、Mefjus、Billainといったニューロファンク・プロデューサーがドラムンベース・シーンでヒットを飛ばし、その影響はダークステップ/ハードコア・ドラムンベース勢にも強い影響を与えたと思います。その結果、Current Value、Fragz、Gancher & Ruinといったプロデューサーはニューロファンク方面に進み、ダークステップ/ハードコア・ドラムンベースの勢いは減少されたようにも見えました。柊さんから見てニューロファンクの登場はダークステップ/ハードコア・ドラムンベースにとってどのような影響を与えたと思われますか?

自分がダークステップ / ハードコア・ドラムンベースを聴き始めた時期から見た所感に留まるのですが、それまでのリリースがダークステップやハードコア・ドラムンベースそのものだったHallucinatorの新譜をやっとリアルタイムで追えるぞ!となった矢先に放たれた Iconoclasm LP に (自分のジャンル観だと) ハードなニューロファンクという印象を受けたり、Street Justice の Remix や、以降の Cause 4 Concern からのリリースなどから、Fragzスタイル変わったなあ と思ったりもしました。
その当時とても活発だったOthercide Recordsも、知っているプロデューサーが数多く登場するものの、(Infernoシリーズを除けば) こちらもハードなニューロファンクが多かったかなと感じていたのが正直なところですね。

ニューロファンク・シーンの拡大は紛れもない事実でしょうし、先駆者たちのヒットがあったからこそ、ダークステップ / ハードコア・ドラムンベース・シーンを牽引してきたプロデューサー "の一部" が軸足を移すに至った程度には影響力があったと言えるのかなと思いますが、プロデューサーにとっては新しい表現が出来るようになるし、メジャーなドラムンベース・シーンへのアプローチがしやすくなるしで、メリットも十分あったのではと思います。

その一方で、ダークステップやハードコア・ドラムンベースは尖ったジャンルであるがゆえに1曲1曲が印象に残りやすかったという面もあったと思うので、活気がある = 競争の激しいニューロファンク・シーンでリスナーを獲得するには、並み居るプロデューサーたちのトラックに埋もれないような個性を発揮しないといけないだろうなとも思いますね。(常に別次元のサウンドデザインを魅せるCurrent Valueや、圧倒的なバイヴスとハードコア要素を組み合わせるGancher & Ruinを見ると、無用な心配なんでしょうけど)

それから、ダークステップやハードコア・ドラムンベースの勢いの減少という点では、クロスブリードのブームが落ち着きを見せ始めていた時期とも重なるとも思えます (The Satanのハードコア方面への参入など) 。
加えて、特に活躍していた一部のプロデューサーたちがフィールドを移したことと、それによって生じる強い思い出補正から、実際の動向 (2020年代のダークステップ / ハードコア・ドラムンベース・シーンについては後述します) や、これまで通りの作風を今も貫いているC-NetikやFreqaxらの活動があるにも関わらず、必要以上にがっかりしてしまっているのかもしれません。
もしそういった考えに陥っていたのだとすれば、それはニューロファンクの影響とは全くの別物だと思います。

Q. 柊さんはフィジカル(VINAL/CD)のコレクションもされていますが、フィジカル・グッズを所有する理由とは?

フィジカルにしろデジタルにしろ、プロデューサーやレーベルに還元されて欲しい思いで購入している側面の方が強いです。しょっちゅうBandcampを使っているのもそのためですね。還元率の高さが謳われていることに加えて、金額の上乗せなんかもできるので。
トラックメイクもしていない、いっぱしのリスナーである自分ができるシーンへの貢献... と言うと自惚れが過ぎますが、心持ちとしてはそんな感じです。

ちなみに初めて買ったレコードは World's End Girlfriend - In The Name Of Love (2021) で、かなり最近なんですよね。
1曲入り1万円という驚きの1枚なんですが、敬愛するアーティスがそのようにした背景や、当時の情勢などから、ぜひ支えになりたい気持ちで (再生環境が無いという理由で今まで買うのを躊躇ってきたのを忘れたかのように) 迷わず買っていました。
1枚買ってしまえば心理的なハードルも下がるもので、2023年6月に初めての道外DJの出番を頂いて福岡に行った際には、レコード屋さんに並ぶハードコア・ドラムンベースの数々に大喜びしてお店の人を苦笑させてしまったり、持ち合わせの関係で全部買えなかったのを大いに悔しがった思い出があります (結局買ったのが こちら ) 。

Q. 日本のダークステップ関連の作品で特に印象に残っているものは?

記憶にある中で初めて触れたダークステップは RoughSketch - Memory のはずで、自分のジャンル観の核を形成する1曲になっているのは間違いありません。RoughSketchさんのトラックでは、その後リリースとなるAlice In Voodoolandに収録の View The Music (Do Not Use Ear) も印象的で、自分のDJセットでもプレイさせてもらったりしています。

また、いちクロスブリードファンとしてDJ Myosukeさんが主宰するJapanese Stream Hardcoreの名盤ISACCAシリーズを語らずにはいられないのですが、シリーズ2作を通じて最もダークステップと呼ぶに相応しいトラックは Camellia - Gene Disruption だと思っていて、自分の周りでも人気が高かったのを覚えています。ISACCA 3、いつか出ると嬉しいですねー。

日本のクロスブリード / ハードコア・ドラムンベースの中心的存在Aggression Audio からリリースされたダークステップ系統のトラックとしては、1作目MISFITの1曲目・レーベルオーナーのPemcy君による crackin' に始まり、同作に収録された kju:8 - ZEN や、21grams Records を運営するDeficitさんの The OmenConfession が、直近の3作からは Takeru - Primal WalkerAGONETIK - CarbineBolnichenka - AnanimusMilou - Moon が挙げられると思います。

さらに近年ではAggression AudioコアメンバーのHolly君が特に活躍を見せており、ダークステップ / ハードコア・ドラムンベース方面のトラックは国外からも数多くリリースされていて、その中でも象徴的なものは Pure NothingnessBreakFreaks & Drumphobia などでしょうか。セルフリリースの最新アルバム Metha Ketha Bennegurupp からは彼の底知れない作風の広さを伺い知れるため、まだの方はぜひチェックして欲しいです。

また、海外のレーベルから国内のプロデューサーによるダークステップがリリースされた例では、真っ先に思いつくのが 3x6 - Sacrifice でした。特徴的なビートが癖になる Tendon からは、ダークステップというジャンルの「らしさ」を強く感じられると思います。

Q. 日本のダークステップ/ハードコア・ドラムンベース・シーンが今後さらに発展する為に行うべきことがあるとすれば、それはどんなことでしょうか? リスナー/DJとして作品を購入する以外でシーンやアーティストをサポートできることがあるとしたら、なんだと思いますか?

偉そうなことを言える立場ではありませんが…いろいろ考えてみて思ったことの共通点は、壁を減らすこと かなと。

まず、ダークステップ / ハードコア・ドラムンベースにまだ触れたことのない、未来のリスナーとの壁について。
ダークステップやハードコア・ドラムンベースは言葉で表現するのが難しく、またニッチなジャンルゆえに出会うことさえ難しいジャンルなのかなと思っていますが、ひとたび体感すれば魅力は分かってもらいやすいと思うので、(押しつけがましくない程度に) 触れられるチャンスを用意できるといいのかもしれません。

実際に小さなことから始めていくとすれば、これは最近の自分が意識しているアクションでもあるのですが、SNSが主流な情報源になっているのを大いに活用させてもらって、パーティの告知1つにしても、音声付きのデジタルフライヤーやフィード / ストーリーを投稿する、あたりが、少しの手間で実行できて、受動的に享受してもらえるチャンスを増やせるのかなと思っています。ちなみに自分がレギュラー出演しているドラムンベースパーティのBUIYA BASSでは、メンバーのDJ GIRLFRIEND君の提案で開催前にSpotifyのプレイリストを毎回作っているのですが、もっと流行ればいいのにって思いますね。
コンテンツを楽しむために初めから "正解" を欲しがる人が多い時代になりつつあり、手探りの楽しみが薄れていくのは勿体なく感じますが、だったら習うより慣れよってことで、いきなりオススメをお出しするのが、今っぽいやり方なのかなあと思ったりしています。

続いて、ダークステップ / ハードコア・ドラムンベース以外のドラムンベースやハード系ジャンルとの壁も低くあった方がいいこともあると思っていて、別ジャンルに目を向けることによって新たな気付きを得るキッカケになるかもしれないし、じゃあ一緒にパーティ / 合作やりましょう!という話が生まれて、お互いのリスナー層がそれぞれに興味を持ってくれたり、予想もしないクロスオーバーが生まれる可能性も決してゼロではないと思います。
1つのジャンル、1つの視点を研ぎ澄ますために・お互いに必要なものを吸収し合うためにも、パーティに顔を出したりする中で生まれていく横のつながりは、どんなシーンの発展にも必要じゃないかなと思います。

最後に、ダークステップ / ハードコア・ドラムンベースのシーン内、DJ / プロデューサー / リスナーそれぞれの間にある壁について。
ここは既に隔たれていないと言っていいほど良好な距離感が保たれていると思っていて、そんな中で敢えて何か挙げるとすれば、月並みですが、お互いの活動を支え合うこと... 手っ取り早いのが、パーティへ足を運ぶことと、感想を伝えることでしょうか。たとえ見知った相手だとしても、そのシーンのオーディエンス = 生身のリスナーが居るという事実って何よりの糧になるので、いいね数が1件増えるよりも、「あなたの曲 / DJ / パーティが好き」というコメントが1件付く方が、数字以上の好影響を生むと思います。
まあ、パーティに来てまでスマホで感想を投稿してばかりいるのは勿体ないので、その時はフロアに出て踊るなり、いろいろ話すなりした方が、お互い嬉しいし楽しいと思いますけどね。

感想と似たところだと、良かったトラックやDJ Mixなどを気軽にシェアできる時代なので、そういうのも躊躇しなくていいと思います。これは界隈の外の人をダークステップ / ハードコア・ドラムンベース沼に引きずり込むチャンスという話にも関連してきますね。とっておきの1曲を隠し持っておきたい気持ちは分かりますが、そのまま誰の目にも触れられないままでいては元も子もないので、内緒にするのもほどほどでいいかなって程度に思ってます。
レビュー記事なんかもそうですね。小難しい話を書く必要なんて無いので、こちらも気軽に、直感に任せて書く人が増えたらいいなと思ったりします。そして個人的に思うのは、曖昧なものは曖昧なままでもいいんじゃないかな、という点です。ダークステップやハードコア・ドラムンベースの呼び分けについては今回の執筆を通して言語化するのに非常に頭を悩ませましたが、こうした個人の感覚に委ねられる部分が今まで残り続けてくれたおかげで、新たな解釈・新たな流行が生まれ、シーンが続いてきた面もあると思います。
それをひとたび定義しようとして、ジャンルとジャンルが、人と人が、いわゆるジャンル論争という名の強固な壁で分断されてしまうのは、あまりにも勿体ないです。みんなの思うジャンル諭を、争わない程度に... クラブのバーカウンター前とかで緩く語り合ったりするのがちょうどいいんじゃないでしょうかね。

Q. 柊さんが体験したダークステップ/ハードコア・ドラムンベースのDJで最も印象的だったのは?

DJ Hiddenです。あのとき見ていなければ、今こうしてインタビューをお受けすることも無かったでしょう。国内アクトでは、Indus Bonzeさん、3x6さん、100madoさん、MATSUDAさんのDJプレイがとても刺激的でした。

DJ Hiddenに出会ったあの日のヤツコアに実はIndus Bonzeさんも出演されていて、その時はDJセットだった?のかと思いますが、最近ですと、自分もよくお世話になっている札幌のプラスティック・シアターという会場の周年パーティなどでライブセットを披露されています。ゴルジェを軸に過激なアーメンブレイクなども取り入れた唯一無二の表現には圧倒されるばかりです。

3x6さんは前々から存じ上げていたものの、初めて見ることが出来たのは Hallucinatorが来日した時のINNOVATE だったはずです。ダークステップのDJ Mixを誰よりも理解しているかのような手さばきは今でも思い出せます。
自分がその日Therapy SessionsのTシャツを着ていて、「どこで買えるんですか!?」って反応してもらった記憶もあり。楽しい一夜でした。

100madoさんは 今年の3月に開催されていたRADICAL でDJされているのを見ることができました。パーティ自体、ガバを主軸にエネルギーで満たされた空間が一晩中ずっと続いていたのも印象的でしたし (札幌のナイトイベントではなかなか見られない光景です) 、トリで打って変わって投下されたクロスブリード / ダークステップの数々が自分には刺さりまくりでした。

MATSUDAさんは、今でこそ彼の主催するMATSUDARKNESSや各種レギュラーパーティで幾度となく肩を並べる間柄ですが、元はと言えばヤツコアなどのパーティでダークステップやクロスブリードを数多くプレイしていて、いちファンとして彼の活動を追っていたのが始まりです。
特にキックやスネアが乱れ撃たれるタイプのダークステップを繋ぎどころが分からないほど巧みにミックスする技術は、いつまでも追いつけなさそうです。

Q. 2020年代のダークステップ/ハードコア・ドラムンベースの状況をどう感じられていますか?

注目したいレーベルが今も増えているのは喜ぶべきことだし、もっと知られて欲しいと思います。

2010年代終盤にはハードなドラムンベースやクロスブリードをリリースする FractalShell Shock Recordings , Zoobass Records が出現、2019年末にはPezutekとJeicoreが運営する Nightcode Recordings がeRReのEPと共に産声を上げ、2020年に入ると、名曲 Clubwalker でお馴染みのBSAが Lost Together Recordings から新曲を発表し続けています。
イベント団体として活動していた Tarantism Records の初のコンピレーションがリリースされたのも2021年の出来事ですね。翌年からは破竹の勢いを見せるPrototypes Recordsのサブレーベル、Sentinels Records が発足し、こちらは日本のHolly君、Supireさんも参加されています。

きわめて最近では2023年9月、Machine Division の1st EPにダークステップ / クロスブリードの実力者たちが集結し、同じく2023年9月から現在に至るまで、Code 109 Music からProton Kidらのダークでテッキーなトラックがコンスタントにリリースされています。また、個人的には回を重ねるたびに盛り上がりを見せている Darkshire というフェスに注目していて (一度行ってみたい...!) 、2024年6月開催のメインステージにはダークステップ / ハードコア・ドラムンベース勢からZardonic, Sinister Souls, Shmidoo, Coman Danteらがラインナップされており、ニューロファンクのトップスターたちと一体となってシーンを築いている様子も見て取れます。

その一方で、ハードコア・ドラムンベース / クロスブリードの重要人物Forbidden Societyはディープなドラムンベース方面へとフィールドを移し、
3RDKNDとして彼とユニットも組んでいたDonny, Katharsysを擁する Barcode Recordings は、復活の兆しを見せたものの、リリース頻度を落として久しい。
先ほどの質問にもあったようにCurrent Valueらの作風も全く違うものになってきているし、GeinやSynthaktといった名前を見る機会も激減した気がします (全くないわけではありませんが) 。

自分や周りのみんなが熱中していた時代は過ぎ、それぞれの環境も変化し、知っているパーティが減り... という状況は寂しいですが、一方で、自分は参加したことがないんですがVRChat上のDJイベントでハードコア・ドラムンベースが人気らしいという噂を聞いたことがあって、それはファンコミュニティの現代らしい形だと思いますし、そういうところからリスナー層が循環していくのなら、良い変化だと思います。

下火に埋もれつつあるジャンルが今の時代に再燃するのかは分かりませんが (地方だと特に難しさを感じます) 、鳴りを潜めているからこそ、ある日のどこかのパーティでダークステップと衝撃的な出会いをして、どっぷりハマる人が現れるのかもしれませんね。

Q.New Frames(The Panacea)やGhost in The Machine(Eye-D)のようにドラムンベースからテクノにフォーカスしていったプロデューサー達もいますが、テクノ方面には興味を持たれていますか?

興味はありますが、自分にとってはBPM遅めのインダストリアルハードコアからの繋がりだったり、ハードコアがテクノ方面への回帰を見せていた流れが発端にあるので、ドラムンベースのプロデューサーがテクノ方面での活躍も見せていたから で追い始めたわけではなかったです。
自分の活動のメインに据えているジャンルと比べて知識が浅すぎるのと、記事の趣旨からも逸れてしまいそうなので、あれこれ語るのは控えておきます。

Q. 今後のスケジュールを教えてください。

ここまで読んでいただいた皆さん、ありがとうございます!
インタビューをお受けした時点で公開となっているパーティ情報をご紹介します。

[2024/6/27] BUIYA BASS @ CLUB ANiMA
レギュラー出演している、ドラムンベース (を中心としたベースミュージック全般) のパーティです。
1周年ということで、2名のゲストをお呼びしての開催になります!
こちらのパーティでは、VISIONやCritical系列の新しめのトラックを中心にプレイすることが多いです。

[2024/7/10] DEKATONCHEIRES round 02 @ Plastic Theater
「5 DJs / 4 Decks / 3 Hours / No Time Table」がコンセプトのB2Bパーティに、第2回のメンバーとして出演させて頂きます。
どういった展開になるか予測不能なので、ぜひ皆さんの目で確かめに来てください。

[2024/7/11] Extreme Hard Music Party "forBANGERS" vol.05 @ Plastic Theater
「ハードでエクストリームなクラブミュージック」がコンセプトのパーティに、札幌の暗黒ベースミュージック界の大先輩・WANさんと共にゲスト出演させて頂きます。
こちらのパーティでは、クロスブリードやハードコア・ドラムンベースを軸に選曲する予定です。

他にも、毎月開催のオールジャンルパーティ Fruit At The Bottom や、deep & dark が軸の DUCT ではドラムンベースやダブステップを、不定期で暗黒ハードサウンドをお届けする MATSUDARKNESS ではクロスブリードをプレイすることが多いです。
出演情報はSNS (InstagramTwitter (現X) ) にて随時更新しているので、気になったパーティに遊びに来てくれると、とても嬉しいです。
都内のパーティにもたまに出没するので、お会いした際はぜひ乾杯しましょう。








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