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Leica M2 と春のお写んぽ

春3月  

まだ少し寒いけれど、カメラを持って出かけるにはいい季節になりつつある。寒がりな私は、冬の間はあまり外に出ない。
冬は冬でいい被写体もある。だけど、暖房の効いた部屋でぬくぬくと過ごすほうが私のしょうには合っている。雪でも降ってくればそれを写真におさめたいけど、あいにくと積もるのは数年に一度。このあたりの小学校では雪が積もると授業そっちのけで大々的に雪合戦がはじまる。そのくらい、雪が積もるのは稀有まれなのだ。豪雪で困っている地方の方々には申し訳ないけれど。

きょうはとても暖かい。
ちょっと遠くまで足をのばしてみよう。

持っていくカメラは Leica M2。フィルムは  うん、これにしよう。

5本パックで売っている Kodak の Pro Image 100 をカメラにつめる。バルナック型のライカと違って底蓋と裏蓋が開くので、フィルムをつめるのは簡単だ。スプロケットがフィルムの穴パーフォレーションんでいるコトを確認して蓋を閉じ、二度ほど空シャッターを切る。

  おっと。

ここでフィルムカウンターを「0」にするのを忘れてはいけない。残りのフィルム枚数がわからなくなってしまうからだ。
フィルムの巻き上げやスプールを抜いたタイミングでカウンターが自動復帰する他のM型ライカと違って、M2 は手動でダイヤルを合わせる。このあたりが M3 の廉価版といわれる所以のひとつなのだろう。だけど風情があっていいじゃない。そういうところ、私は好きだよ。

レンズは……Voigtländer APO-LANTHAR 90mm F3.5 と Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4 II SC を選択チョイス

きょうは、なんとなくコシナを使いたい気分だから。

Summicron-M 50mm と Summaron 35mm がこちらをにらんでいる。

キミたちはきょうはお留守番だよ。ほら、お写んぽだからフットワークが大事。キミたちまで連れて行くと重くなっちゃうでしょ。え? ならバッグに一緒に入っている RICOH の GRIIIx は何かって? これは念のための保険です。もしかしたら「ああっ!」ていうシャッターチャンスが来るかもしれないでしょ。

……結果的に GRIIIx の出番はなかった。

目的地についてカメラを取り出す。春らしい花はまだ咲いていない。
ちょっと早かったかな。でもせっかく来たんだし。あ、あそこにユキヤナギが咲いてるじゃん。

Leica M2 + Voigtländer APO-LANTHAR 90mm F3.5
Kodak Pro Image 100

構図を決めてシャッターを切る。フレーミングはアバウトだ。いくら補正がついていようと、ブライトフレームには視差パララックスがある。完璧を求めるカメラではない。

Leica M2 には露出計もついていない。ついてくるのは M6 からだ。
私がなぜ M2 を選んだかというと、これは完全に消去法による。M3 には 35mm のブライトフレームがないし、M4 以降は巻き上げが斜めクランク。なのでそこだけどうしても「飛び出た感」がある。MP、M-A は高すぎだ。

Leica M2 + Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4 II SC
Kodak Pro Image 100

フィルムカメラの画質はレンズとフィルムで決まると思っているので、シャッタースピードさえ正確ならどのM型ライカで撮っても出てくる絵は変わらない。ならば、あとはスタイルで決めてもいいじゃない。要は楽しく写真が撮れればいいのだ。

  露出計? あんなモノは飾りです。偉い人にはそれがわからんのです。

「大佐ならうまくやれますよ」という言葉は気休め以外のなにものでもないのだけど、昔のカメラの露出計がどこまで正確なのかという疑問もある。もちろん発売当時は正確だったろうけど、数十年もたてばそれなりに劣化してるんじゃないか、という疑問だ。オーバーホールされた個体は問題ないけどそうじゃないものは……だから、まあ、その、露出計がなくてもなんとかなるんじゃないのかな。うん。知らんけど。

「ユキヤナギを撮ったら、次はヤナギかな」

Leica M2 + Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4 II SC
Kodak Pro Image 100

などと意味不明なことを思いながらシャッターを切っていく。
人影はまばらなのでフレームに入り込むことはない。

35mm と 90mm。焦点距離の違うふたつのレンズを持ってきたのには、最短撮影距離という問題がからんでいる。レンジファインダーの構造上、寄ることが難しいのだ。寄れても最短 70cm ~ 90cm。スクリューマウントのレンズだと1mなのもザラにある。
なので、寄りたいときには 90mm を使う。これの最短距離と、一眼カメラの 50mm レンズで寄ったときの画角がだいたい同じになる。135mm をつけるともっと寄れそうだけど、ピントを合わせるのが難しくなるので持ってはいない。

スナップ写真はあまり得意ではない。控えめに言っても大の苦手だ。
原因はわかっている。
撮りたいものをキチンと決めないからだ。

Leica M2 + Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4 II SC
Kodak Pro Image 100

そう、悪いのは私。
何も考えずについついシャッターを切ってしまうから、結果として「何も考えないで撮りましたね感」満載の写真が量産されてしまう。写真をひとめ見るとわかっちゃう。ごまかしようがない。
わかってはいるのだけど、やってしまうのよね。シャッターを切る楽しさのほうが勝っちゃって、見るべきモノを冷静に観ていない。だからいつも反省が待っている。

Leica M2 + Voigtländer NOKTON Classic 35mm F1.4 II SC
Kodak Pro Image 100
Leica M2 + Voigtländer APO-LANTHAR 90mm F3.5
Kodak Pro Image 100

撮りたいものをキチンと決めさえすれば、スナップ写真も物撮りなのに。


春らしい写真があまり撮れなかった。
帰りにあそこの公園に寄ってみよう。フィルムはもう少し残っている。

よかった。
まだ咲いている。満開だ。

Leica M2 + Voigtländer APO-LANTHAR 90mm F3.5
Kodak Pro Image 100
Leica M2 + Voigtländer APO-LANTHAR 90mm F3.5
Kodak Pro Image 100
Leica M2 + Voigtländer APO-LANTHAR 90mm F3.5
Kodak Pro Image 100
Leica M2 + Voigtländer APO-LANTHAR 90mm F3.5
Kodak Pro Image 100

春のお写んぽ。

タイトルに偽りなし。

  どうにか体裁は整った。

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