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調べ方について(2)

前々回で「調べ方について(1)」を書いた。今回はその続編である。

今回の「調べ方について(2)」では、(1)のような調べ方についてではなく、知識・情報を得る方法を重点的に紹介していきたい。


1.ニュース

ニュースを見ることは情報を得る手段として非常に便利である。

ニュースは自らの関心に関係なく、世の中で「重要」とされる事柄についての記事が発信されるので、知識が偏りにくいと思われる。
(しかし近年では発信媒体によって偏りが指摘されることもあるので、いくつかの媒体に目を通したほうがより多面的な観点が得られる。)

ニュースの媒体としては大きく分けて二つあると考えられる。
(1)新聞 (2)ネットニュース


(1)新聞
新聞は言うまでも信頼性の高いニュースの発信媒体である。しかし新聞も人間が作るものであるので、過度に信頼しすぎるのはあまりよい態度とは言えない。

新聞が世の中のすべてを現わしていると考えず、大きな社会のうねりの一部分、傾向を発信しているものと捉え、少し気軽に距離をとって接するのをお勧めする。


そのような新聞の活用方法としては、個人的には自分の好みの連載やコラム等を読むのが良いのではないかと思う。

読売新聞では、毎週日曜日の朝刊に掲載されている「本よみうり堂」という書評は興味深く勉強になる。

(書評を読むことは大変勉強になる。書評を行う人は大抵の場合、対象とする本に関連する分野の知識を有している人であるので、書評によってその本がその分野・歴史の中でどのような位置にあるかが理解できる。
また書評はある種その分野における自浄作用であるので、もし書評の対象となる本の内容について誤りや疑問点がある場合は指摘されていることがあり、門外漢でもその本の質が理解できる。
例えば、有名なものとしては深井智朗の著作の問題点を指摘した小柳敦史の書評が挙げられる。また深井智朗の研究不正の一連の流れはここから。)

このような書評やコラムを読みつつ、様々な新聞に目を通し自分の好みの新聞を探すのも一興かもしれない。

またなかなか個人では難しいが、大学の図書館のパソコンには新聞の記事検索ができるデータベース(日経テレコン、聞蔵、ヨミダス歴史館)へアクセスできるのでぜひ試してほしい。
明治時代の新聞記事が見れたり、また西田幾多郎の連載が読めたりなど興味のある事柄・人物を検索して気軽に散策してみるのもまた勉強になる。


(2)ネットニュース
ネットニュースは玉石混交である。

なので新聞より距離をとって接するのが良い。こんなできことがあったのかぐらいの姿勢が丁度いい。

その中でも新聞記事にないようなコンテンツを発信しているサイトもある。
WIREDやフォーブスがそれである。スマートニュース等のアプリで登録して記事を見るのが良い。
スマートニュースにはTechCrunchというスタートアップやテクノロジーを紹介しているサイトも登録できるので、ぜひいろいろ試していただきたい。

気になる点としては、WIREDやフォーブスではあまり見受けられないが、日系のネットニュースにはアクセス稼ぎのための煽情的なタイトルが散見される。そのような記事はタイトルが独り歩きし内容が追い付いてない場合が多々あるので、このような記事にも注意されたい。


以下に少し古いが個人的に興味を惹かれた記事を紹介したい。

・人類はAIのような“超知能”が地上に満ちるための「橋渡し役」だった可能性はある https://wired.jp/2020/02/19/anthropocene-and-beyond-liu-cixin/

・リアルな銃を操作する「Receiver 2」は、1発の弾を撃つ行為の恐ろしさを浮き彫りにする:ゲームレヴュー https://wired.jp/2020/06/05/receiver-2-videogame-violence/

・ダンスが生きがいのホームレスたちは、コロナ禍をどう生き抜いていくのか https://forbesjapan.com/articles/detail/35557

等々あまり新聞では見られない記事があるので、ぜひサーフィンして欲しい。


2.Twitter

Twitterは匿名で様々に情報が発信できるため、信憑性の低い情報が見受けられることもある。

しかし注意深く利用すれば有益な情報を得ることができる。

匿名アカウントはあまり信用ができないので、以下に参考になるアカウントの種類を少し挙げておく。
(1)研究者のアカウント
(2)研究会や学会のアカウント
(3)出版社のアカウント


(1)研究者のアカウント
研究者のアカウントは実名かつ所属する大学名がプロフィールに記載されているので、あまり無責任な発言をしない傾向にある。

研究者といえば遠い存在であり、何を考えているかに接する機会がないが、Twitterでは気軽に研究者の方々は発言しているので、研究者の素朴な考えを知ることができて非常に勉強になる。

また研究者が自著の紹介だけでなく、様々な本や情報を紹介している場合があり、これも勉強になる。

さらに研究者のフォローしている人物を見ると、その研究者、研究分野周辺の人物たちを知ることができる。そしてその人のフォローしているアカウントを見てそして・・と続けていくと芋づる式で多くの人物を知ることができる。

しかしある研究者のアカウントでは活発に政治的発言がなされているものがり、時に罵詈雑言が発せられている場合があるのでフォローする際にはいくつかのつぶやきを見て判断してほしい。


(2)研究会や学会のアカウント
Twitterのアカウントのなかには、研究会や学会のアカウントが存在する。

そのなかで研究会の告知がツイートされていることが多い。
告知のなかには発表する人物や内容が記されており、現在の学会で注目されている分野や人物が分かり、学問の現状が垣間見えたりする。

そしてその研究会をインターネットで調べると公式のサイトがあり、年報や記事が見れたり、リンク集があったりするので有益である。


(3)出版社のアカウント
Twitterには出版社のアカウントもある。
そのアカウントにもさまざまな種類があり、出版社全体としてのアカウント、例えば人文書院勁草書房慶応大学出版会などがある。

また集英社新書編集部講談社文庫&選書メチエ新潮新書編集部など本の種類ごとのアカウントある。
さらに書店のアカウントある。(大山堂書店など)

出版社や書店のアカウントを見ることで、どのような本が出版されているか・どのような本、分野が注目されているかが理解できる。
さらに紹介されている著者名を調べることでより多くの知識を得ることができる。


3.動画

最近はyoutubeに研究会や学会や講義の動画がアップされている。

youtubeはTwitter同様に匿名で発信できるため、信頼の置ける情報元か否かを注視する必要がある。

以下にいくつかアカウントを挙げておく。

kyodaiunion
京都大学教員組合のチャンネルであり、京都大学教員のミニ講義が見れる

angelzaidan
「一般財団法人森永エンゼル財団が運営する「エンゼルカレッジ インターネット放送局」の番組の一部を、YouTubeでも配信しています。」とある。
東西問わずいろいろな内容の動画があるが、その中でも稲垣良典のトマス・アクィナスについての動画は非常に勉強になる。

京都大学人社未来形発信ユニット
ここでは京都大学人社未来形発信ユニットが提供する講義が視聴できる。

東大TV / UTokyo TV
このチャンネルでは東京大学の公開講座や講演が視聴できる。納富信留のオープンキャンパスでの模擬講義が見れたりもする。

OCW UTokyo
このチャンネルでは東京大学の正規講義がいくつか見れる。OCW UTokyoには公式ホームページもあり講義の資料を見ることもできる。


補足として、放送大学で勉強するという方法もある。放送大学に入学せずともラジコなどを使えば聞くことができるので、気になった講義はテキストを購入してみるものよい。


調べ方について(1)(2)を通して、ここ1,2年で発見した調べ方や勉強の仕方について紹介できたと思う。

調べ方について調べている中で意識していたのは、その手段がオープンにアクセスできるか否かという点である。

知識は万人に開かれていなければいけないと大層なことを言うつもりはないが、知識を得る際に費用がかかってしまうとやはり限界がある。

そのため、インターネットにつながってさえいれば誰でもある一定程度の水準の情報が得られるような方法という基準を意識し、その方法を考えてきた。

調べ方について(1)(2)で紹介した方法のなかで費用が発生するのはあまりないと思われる。

今後もオープンかつ一定程度の水準の情報を得ることができる方法を模索し、機会があればまた紹介したと思う。





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