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2月10日(土):良いチームの土台となる心理的安全性

この数日は日経ビジネスの特集「エンゲージメント崩壊」に端を発して、そこから派生した話を続けています。

一昨日はエンゲージメントや良いチームづくりのための企業文化の参考として書籍「THE CULTURE CODE―カルチャーコード― 最強チームをつくる方法」(ダニエル・コイル著)を取り上げ、同書が説く最強のチーム像「弱さを隠さず協力し合う」点にフォーカスしながら、そのための必要な要件である「安全な環境」「弱さを見せる」「共通の目標」に触れました。

また昨日は自分を偽ることなく「弱さ見せる」ことと関連して、自分らしさを基軸にしたオーセンティック・リーダーシップについても言及しました。

そして本日は「安全な環境」としての「心理的安全性」を取り上げて、一連の内容の区切りにしたいと思います。

心理的安全性はエイミー・C・エドモンドソンによって提唱され、同氏の書籍である「恐れのない組織 『心理的安全性』が学習・イノベーション・成長をもたらす」で詳細がつづられています。

本書では心理的安全性を「対人関係のリスクに悩まされることなく、みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」だと明示しています。

より平易な言葉でいえば「ここでは、どんなチャレンジをしても大丈夫」と感じる雰囲気のことです。

そのうえで組織に心理的安全性があることで得られる効用としては次のような点が挙げられています。

・対話の量が増えて積極的なアイデアや行動が増える

・人間関係への影響を懸念せずに指摘し合える、ミスも迅速に報告して修正できる

・保身ではなく共通の目標を達成することに集中できる

・チームの学習行動が促進され、パフォーマンスも向上する

一方で心理的安全性にありがちな誤解を招かないために、次のような点への理解も必要です。

・心理的安全性は率直に建設的な発言ができる状態であり、意見へ反対しないことや無条件に支持を得られることではない

・心理的安全性は単に感じよく振る舞うことや、気楽さ・心地良さを指すものではない

・心理的安全性は目標達成基準を引き下げることではない

・「心理的安全性=高パフォーマンス」ではなく、そのための土台になるもの

その他、心理的安全性の特徴として以下のような点を把握しておくのも大事でしょう。

・心理的安全性はグループの特徴として表れ、対人関係の文化が組織内のグループごとに大きく異なる。強力な企業文化を持つ会社でも、部署によって心理的安全性が高かったり、低かったりする

・心理的安全性の度合いは個人との相互作用であり、個人の感じ方・認識によっても左右される

・心理的安全性は脆く持続しにくい性質があるため、それが保たれるように腐心する必要がある

加えて書籍内では心理的安全性が不可欠になっている要因として、現在のような知識労働主体になっている現状では組織内での知識の共有をしたいと思えるかどうか、また今日ではチームで協働する時間が増えていることも挙げられていました。

組織として入口の部分で優秀な人材を雇用するのはもちろん大事な観点ですが、個人や集団の能力を引き出して最大化していくには心理的に安全なカルチャーを築いているかが大きく左右すると言えます。

反対にものを「言えない」「言わない」が蔓延してしまうのは、「言う」ことの先に望ましくない何かがあるからにほかなりません。

そこを取り除いていくことが大事で、とりわけ「失敗」に対する組織や上司の捉え方、態度といったものがそこに深く関与しているから、そこの在り方を変えていくことなどが示唆されています。

先ほども記したように心理的安全性はグループの特徴として表れるので、いきなり会社全体の心理的安全性を高めることはできなくとも、自分のもっとも身近な数人の小さいチーム、部署からでも高めていけるので、昨日に触れたオーセンティック・リーダーシップとあわせて、それを試みていくのが良いんじゃないかと思います。

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