8月24日(土):オーバーツーリズムの解決は共同体の自治力がポイントに
このところは日経新聞でクローズアップされていた欧州のオーバーツーリズムの記事を契機に関連したことに触れて、本日もその続きです。
日本でいえば直近の2024年7月の訪日外国人数が約330万人となって単月の最高記録を更新したばかりで、オーバーツーリズムは対岸の火事ではなく、現在進行形で抱える課題となっています。
国内では富士登山や京都、沖縄をはじめ、私の身近なところでは鎌倉でも目に見える形でオーバーツーリズムが生じており、是正が求められるところでしょう。
本件に付随して書籍「オーバーツーリズム解決論 ‐日本の現状と改善戦略‐」をもとに一昨日はオーバーツーリズムを引き起こす要因である観光客の「量」と「質」の観点に触れつつ、同書が提示するオーバーツーリズムのコントロール方法である「規制的手法」「経済的手法」「情報的手法」の3つの切り口を説明しました。
一方でこれらの手法の規制や課金にあたっては「多様な利害関係者との調整」が不可避で、同書では「『この合意形成と実施にかかる時間とコスト』こそ、日本におけるオーバーツーリズム対策を阻む障壁である」と言及しています。
こうした点をふまえると、方法論以上に合意形成、それらを進めていく調整力や推進力が重要ですね。
一言でいえば、その地域における「共同体の自治力」が問われるものだと言えるでしょうか。
地域内ではインバウンドの恩恵を受ける人もいればそうではない人もいて、それぞれ立場の異なる人が混在しています。
そのなかで互いの立場を超えて地域にとって最善な方向に歩み寄りをして、対話をしていけるような関係性、風土があるかどうかです。
この点は例えば以前にnoteで取り上げた野沢温泉村のような地域は高い自治力があるから、そこを解消しやすいのでしょうね。
また前述の書籍では規制をする側にある自治体の人事に関した問題点も挙げています。
役職者から担当者まで、その多くが2~3年でジョブローテーションを行い、なおかつ減点方式の評価をしていると、任期中の失敗を避けて面倒なことが先送りされやすくなるお役所体質への問題提起です。
これら自治体のあり方も含めた地域共同体の自治力が、それを左右するのだろうと思います。
オーバーツーリズムのように局所的に地域で生じる問題はローカル内で解決していく必要があるから、自治力のようなローカルの力を高めていく必要性を感じた次第です。
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