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8月9日(金):中一の息子、一人旅へ②

昨日は「中一の息子、一人旅へ」と題した内容を記しましたが、本日はその続きです。

我が家の長男が長野県野沢温泉村の自治の仕組みなどに興味をもったことがきっかけで、本人たっての希望で夏休みに自由研究をかねて一人旅をしてきました。

実際に旅を終えて帰ってきた時には矢継ぎ早に野沢温泉村について、自分が見聞きしてきたいろいろな話を教えてくれましたね。

その内容は非常に示唆に富んだものだったので、本日はそれに関連した話を少しばかり。

野沢温泉は江戸時代から続く地域住民の自治組織「野沢組」によって営まれています。

こちらは室町時代に生まれた村人の共同体組織「惣」に由来しており、「温泉」という村人の共有財産の共同の利益のために自然発生的に誕生したのが野沢組の組織だといいます。

息子は、その野沢組の惣代さんにアポイントをとっていろいろな話を聞かせてもらってきました。

一例として村人の大半が野沢組に加入をしていること、野沢組の会費は一律ではなくそれぞれの世帯の経済状況を勘案した金額であること、惣代は投票によって1年後ごとに選ばれること、惣代や副惣代の報酬、温泉などの共有財の維持・管理の仕方、繁忙期の対応や人の流入、外国人比率など、たくさんの説明をしてくださったようです。

そして、長くこの地域にいる方も、新しくこの地域に来る方も、皆が野沢組に加入するのは「助け合いが必要な地域であるから」だとの話です。

真冬になれば2メートル以上も雪が積もる地域で、そんな時に風邪でも引けば病院に行くにも、買い物に行くにも難儀をするので、地域のなかで互いに助け合うことなしには生きていけない、との理解が浸透しているみたいですね。

昔であれば、このような結びつきの強さや共同体による自治が行われていた地域も多かったのでしょうが、今もなお、それが続いているのは特筆すべき点でしょう。

実際に、この特異な組織を研究しようと毎年、何組かの研究者(大学など)が調査に訪れたりしているとのことで、息子の着眼点も良かったのかもしれません。

惣代の方が書かれた言葉も目にしましたが、そこに以下のような記述がありました。

「野沢組は、江戸時代から連綿として守り続けている自治組織であり、現代社会にそぐわない面も見受けられる反面、伝統・文化が変化し、あるいは消滅していく現代社会においては類い希な貴重な組織である。
(中略)
ある意味で頑迷な野沢組の組織は、先輩の方々が英知を集めて守り育て後世の我々のために引き継いできたものであり、これからも我々の貴重な財産(温泉、共有林、伝統文化等)を子孫に継承していく責任が課せられている。世の中が目まぐるしく変化していく今日において、野沢組は現代社会が失った自治の原点を残す組織であると自負している。」

現代のような変化の早さ、激しさを考えれば、何かを守るとか残そうとすれば、意思をもってそれをしていかないと、風化や形骸化が避けられません。

そうしたなか、先ほどの言葉にもあるように野沢組では大切にすべきことがブレなかったからこそ、それが今の時代まで守られ続けてきたのは確かです。

今回は息子の一人旅を優先しましたが、いろいろな話を聞かせてもらって私も野沢組や野沢温泉村に興味がわいて、足を運んでみたい気持ちになりました。

明日も「中一の息子、一人旅へ」の続きです。

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