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陸上競技:走りの基礎~短距離走<理論編・技術編>

地域のクラブチームで、小学生の中・高学年、中学生(初心者)を対象にした陸上競技の指導関連情報を紹介します。
最も大切な走りの基礎作りから、短期間で成果をあげる練習法・指導の視点、目の前の結果を出しつつ発達段階を考慮した将来につながる指導(県代表・日本代表入り、高校・大学での県大会優勝等多数)について、これまでの実践を通した指導法と考え(理論)について書いてみます。
参考になれば幸いです。

理論編(速く走るには)~陸上競技全ての基本


★ 世界の一流ランナーは、100mを50歩前後で走る。
この歩数でいかに速いピッチで走るかが重要(2m以上の歩幅で 10秒間に50回以内のピッチで走る)。
つまり、スプリンターは非常に敏捷な神経爆発的に動く筋肉が必要となる

★ 一般には、35m~45m付近が一番速く、70m付近から徐々に減速していく。
それを食い止めるためには、優れた筋肉と正確な(走る)技術が必要。

★地面をキックした足は、素早く尻の下にかいこまれ、膝が高く引き上げられる。
このとき、後方へ軌道が大きくふくれ出ているのは、「脚が後ろに流れている」悪い動作(ピッチが遅くなる)。

★腕振りとは反対に腰の横軸がひねりあっている(上体と下体がひねりあってバランスを保っている)。
このひねり(ヒップスウィング)が、ランニングでの脚の動作を大きくし、ダイナミックでカ強い歩幅(大きなストライド)が生まれる。

★緊張しすぎるとスムーズな動作ができなくなる。
スピードが出ないばかりか、無駄なエネルギーを消費してしまうので、リラックスして走る

着地の脚の膝がよく伸びていることが重要。
膝や足首で緩衝(吸収)して力を逃がさず、パワーを全て地面に伝えると、地面から反動で前に進む力がもらえる。

「脚の運び」「腕振り」のどちらかに正しさが欠けては、よいランニングはできない。
左右両方とも正しい動作でなくてはならない(自分の癖を矯正する)。
特に、短距離の腕振りは重要な役目。

「ストライドを広げる」という意味を誤解してしまうと、大きなミスにつながる。
身体の重心の先に足をもっていく(置きにいく)「オーバーストライド」は、ストライドの長さを増すことができても、同時にピッチを激減させてしまう。

技術編(各段階別のポイント)


スタート~加速 (25~30m付近まで)

💡 スタート合図に瞬時に反応し、後足側の腕(肘)を素早く大きく後ろに振る。
💡 前足のブロックを、つま先と膝が目いっぱい伸びるまで瞬発的に強く押す(爆発的なイメージ)。
💡 後足は蹴り上げず、膝からまっすぐに胸に引き付けるように前へ引き出す。
💡 上体はすぐに起こさず、体の軸を一直線にして深い前傾を保つ。
このとき、つま先から頭までが一直線になっていない(腰・首で折れている)と、力が地面に伝わらない。
※筋力が必要なため、小学生に深い前傾は無理(腰から折れ力が逃げる)。
💡 静止状態から重心を前にずらしアンバランスな状態にすることで、前傾姿勢もキックも可能となる。
重心が前に動いてからキックする感覚や前に腰が移動する感覚が分かると、2歩目、3歩目とひたすらまっすぐな軸を持続することができる。
💡 歩幅は無理に広げず、早いピッチで足を運ぶ。腕も素早く振る

中間疾走 (30m~80m付近まで)

「腰の高い走り」をするため以下を意識する。
振り下ろした足の膝がつぶれると、腰の落ちた走りになり、緩衝作用で力を逃がしてしまう。

💡 前足の「振り下ろしスピード」(股関節まわりの筋肉が重要)を速くする(ムチのイメージ)。
💡 「膝や足首をブロック」(極力つぶさない)する。
腰・膝・首が曲がっていると、力が地面に伝わらない。
💡 左右の足の「切り替えを速く」する。
右脚と左脚の入れ替えのタイミングが重要。
「振り遅れ」ると、足が後ろに流れ、腰もピッチが落ちてしまう。
「前足が接地したときに、後ろ足の膝が追いついている」のがベスト!

★上級編:実は、最後まで後ろに蹴っていると足が流れてしまう。やや早目にキックを止め、足を前に引き出す動作に移行するタイミング(ストライドを犠牲にしないベストな切り替えタイミング)をつかむ。

ラストスパート(80m以降)

💡 足が流れオーバーストライドになりがちなフォームを立て直し、ムチのような速く強い振り戻しを意識する。
💡 トルソー(胴体部)を突き出してゴール板を走り抜ける。


※ 細かな技術習得には、スプリントドリル部分練習が重要ですが、選手自身がこうした理論を理解し、考えて練習させることが大切です(小学生でも!)。
正しい練習メニューで、正しいフォームが身につけば、結果(記録)は、必ずついてきます。


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