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この世でいちばん美しい色は玉虫色


2023年9月22日(金)朝の6:00になりました。

青い薬を飲めば、お話は終わる。君はベッドで目を覚ます。

どうも、高倉大希です。




お笑いコンビ「ラランド」のYouTubeチャンネルで公開さた「お母さんヒス構文解説」という動画が、ずいぶんとバズっていました。

お母さんヒス構文とは、論理を飛躍させたり、論理をすり替えたりすることによって、相手に罪悪感を抱かせる構文です。


動画で紹介されていた論理飛躍型の例文を、ひとつ引用します。

くわしく知りたい方は、リンク先の動画をご覧ください。


ヒス構文① 論理飛躍型
娘「猫アレルギーだから帰省できないな」
母「じゃあ子猫をいますぐ捨てろっていうの?捨ててってことね。あ、じゃあ虐待するような人のところに預ければいいんだ」

ララチューン「お母さんヒス構文解説」より


極端な例を、引き合いに出したり。

わかりきったことを、疑問形で投げかけてみたり。


いやいや、そこまで言ってないよ。

思わず、こう言いたくなってしまうような発言です。


ついつい笑ってしまうのですが、どこかにぼんやりと「あるある」を感じます。

きっとだれもが、聞いたこともあれば、使ったこともある構文なのです。


ものごとを実際以上におおげさに言いあらわす表現を、古典レトリックでは《誇張法》あるいはイペルボール(ハイパーボリ)と名づけ、ことばのあやの一種として数えていた。

佐藤信夫(1992)「レトリック感覚」講談社


「勉強ができないのは遺伝だから仕方がない」とか。

「産んでくれなんて頼んだ覚えはない」とか。


引き合いに出すものが、あまりにも極端です。

おそらくそもそも、コミュニケーションをとるつもりがありません。


極端な例をいくつか挙げましたが、似た類の表現は日常に溢れています。

必ずしも、あらゆるものごとがゼロか百かではないのです。


安心していられる共同体こそが信頼の育成に最も有効な環境であると思われています。しかし、信頼の解き放ち理論はこの直感的な理解に挑戦し、このような共同体は信頼を育成するのに有利な環境なのではなく、逆に信頼の育成を阻害する環境だとしています。(中略)このような閉鎖的な集団における仲間うちでの安心が、いわゆるよそ者に対する不信感と表裏一体の関係を形成しているからです。

山岸俊男(1999)「安心社会から信頼社会へ」中央公論新社


男でなければ女なのかというと、そういうわけではありません。

白でなければ黒なのかというと、そういうわけでもありません。


バカがすべて悪口なのかというと、そういうわけではありません。

天才がすべて褒め言葉なのかというと、そういうわけでもありません。


この世でいちばん美しい色は、玉虫色です。

極端に考えてみることは、ひとつの手段でしかありません。






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