見出し画像

「バカ」という言葉に罪はない


2023年3月20日(月)朝の6:00になりました。

ルールや普通という言葉。思考回路に巧みに絡みつき、根をはられたが運の尽き。

どうも、高倉大希です。




・今日のごはんは、なににしようか。

・土鍋で炊いたごはんは、おいしい。


ひとつ目の「ごはん」は、いちどの「食事」を意味しています。

ふたつ目の「ごはん」は、主食としての「米」を意味しています。

おなじ「ごはん」ですが、文脈によって意味合いが変わります。


日本語は、ハイコンテクストな言語です。

起こったできごとやその場の空気感が、言葉の意味に強く反映されます。


私は日本社会を「わかりあう文化」「察しあう文化」、ヨーロッパ社会を「説明しあう文化」とも呼んできました。そこに良し悪しはありませんが、「日本のようなハイコンテクストな社会は少数派だ」と認識しておくことが必要です。

平田オリザ(2022)「ともに生きるための演劇」NHK出版


「先生!あの子にバカって言われた!」

「こら!そんな言葉をつかったらダメでしょ!」


学校では、こんな場面をよく見かけます。

「バカ = 悪い = 禁止」というロジックのもとで、このような指導が行われます。


・こんな問題も解けないなんて、お前はバカか。

・バカになれる人がいると、飲み会は盛り上がる。

・バカみたいに空が綺麗だぜ。


「上手に両方で言えるようになりたいわけよ。本当に否定する『バカ』と、本当に最高という『バカ』と。両方とも言えるようになりたい」

「ボクらの時代」2013.4.28 いとうせいこうさんの発言より


ひとつ目の「バカ」は、相手のことを「見下す」という意味です。

ふたつ目の「バカ」は、盛り上げるために「明るく振る舞う」という意味です。

みっつ目の「バカ」は、空の綺麗さが「ふだん以上である」という意味です。

おなじ「バカ」ですが、文脈によって意味合いが変わります。


子どもたちに教えなければならないのは、「その言葉自体がよいのかわるいのか」ではありません。

「その場面で用いたことがよいのかわるいのか」です。


同調圧力を強く感じながら育ってきた日本の子どもたちにこれを教えると、他人を否定してはいけないと習うので、誰がどんな意見を言っても、「イエス、イエス、イエス」となり、「そうですね、そういうこともありますね」と同調するだけで終わってしまう。自分自身の価値観をもとに考えを表明することさえできません。

平田オリザ(2022)「ともに生きるための演劇」NHK出版


「バカ」という言葉そのものに罪はありません。

なんでもかんでも禁止にしてしまうと、考える機会も同時に失われてしまいます。





サポートしたあなたには幸せが訪れます。