見出し画像

嘘が通用しない人


2023年6月20日(火)朝の6:00になりました。

本当の自由な心とは、認めるということである。

どうも、高倉大希です。




ときどき、嘘が通用しない人と出会います。

その人の前では、小手先のテクニックが無効化されます。


いつもなら、愛想笑いで受け流していたようなお話も。

適当な相槌をうって、ごまかしていたようなお話も。

その人には、なにもかもが通用しません。


そんな人と過ごす時間は、いつも非常に有意義です。

嘘を許してくれない分、相手も嘘をつかないからです。


知りあいが、知りあいの外科医の人を誘って連れてきたことがあったんです。その人なんか面白くて「あんたはおいくつですか」って。で、さ、七十九ですよというと「もうそれだけ生きればいいじゃないですか」と即座に言いましたから。こちらはもう自信のあるお医者さんだなと思って、そう聞くとラクになるし、げらげら笑う以外にはないわけで。そのぐらいで、もういいんじゃないかと思うんです。

吉本隆明、糸井重里(2004)「悪人正機」新潮社


「唯一普遍のありのままの姿」で対峙してくれているというわけではありません。

取り繕っていないだけであって、「唯一普遍」とは限りません。


あくまでも、その瞬間に思ったことを、包み隠さず述べているだけです。

明日にはちがうことを言っていたとしても、まったくおかしくありません。


変わりゆくことを前提にしながら、いまの自分には嘘をつかない。

これが、今日の記事で言うところの「嘘が通用しない人」です。


人間は元来、「対話」を欲してはいません。価値観が近い気の合う仲間だけで楽しく暮らしていけるのであれば「対話」は必要ない。「会話」だけで十分なのです。しかし、もはや世界に出るまでもなく、日本社会も多様化が進んでいますから、「会話」だけでは対応できない。

平田オリザ(2022)「ともに生きるための演劇」NHK出版


嘘が習慣づいていると、「嘘が通用しない人」が恐ろしく見えてきます。

なぜなら、ふだんの自分では太刀打ちができないからです。


だからといって、嘘をつかずに話す方法がわかりません。

どうにもこうにもいかなくなって、最後には黙り込んでしまいます。


嘘をつかずに話す方法が、わからなくなっている。

この事実に気づくことができただけでも、そこには大きな価値が生じています。


わからないに決まっていることを、「語るために語る」のは間違っている。吉本隆明さんは、「語るために語る」という大人たち、ことばの専門家たちの「悪い癖」こそが、ウソのことばを蔓延させた原因だと気づかせてくれる。

吉本隆明、糸井重里(2004)「悪人正機」新潮社


自分の嘘を見逃してもらえる世界で、生きていくのか。

自分の嘘が通用しない世界で、生きていくのか。


べつに、どちらが正解かではありません。

あなたが、どちらを選ぶかです。






サポートしたあなたには幸せが訪れます。