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【ラブライブ!服飾史シリーズ】Liella!×上野マルイコラボイラストから どうして全員デニムなの? 上野とジーパンの歴史

全員デニムの描きおろし  このほど、5月31~6月9日まで開かれるLiella!と上野マルイのコラボイベントのビジュアルが公開されました。  上野といえば?で真っ先に思い浮かぶパンダの被り物をしたメンバーが可愛い描きおろし。ただ、このイラストではもう一つ、全員が共通して身に着けているものがあります。デニムを使ったアイテムです。  「まぁ、デニム流行ってるしね~」で済ませたいところですが、場所が上野ということで、ここからは明確な意図を読みとることができます。  上野動物園、上

    • 蓮ノ空が示す「見たことのない、ありふれたもの」 

      「見たことのない、ありふれたもの」とは  23年の秋口、一つの示唆的なフレーズがファッション業界をかけめぐりました。それが今回のテーマ、「見たことのない、ありふれたもの」です。  このフレーズが登場したのは24年春夏のパリ・ファッションウィーク(いわゆるパリコレというやつは半期先のコレクションを見せるので、シーズンが半年ズレます)。ドリス・ヴァン・ノッテンのコレクションのテーマでした。  見たことがないのに、ありふれている。  一見すると矛盾する言葉です。しかし、ファッショ

      • 【ラブライブ!服飾史シリーズ】石川県の繊維産業の歴史 絹から紡いだ“伝統”

        豊かな石川県の繊維系伝統工芸  蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブにも、ついに新メンバーが入部しました。その中でも早速注目を集めているのが、既に活動報告で活躍(?)している百生吟子ちゃんです。  実家の家業は地元金沢の伝統工芸である加賀繍。服飾そのものにも興味があり、自分で衣装のデザイン画も描けるとあって、何ともこのシリーズ向きのキャラクターです。  さて、吟子の実家の家業である加賀繍は作中にも登場しましたが、あれを見ただけでは何かの刺繍だってことくらいしかわかりません。そ

        • 【ラブライブ!服飾史シリーズ】ユニットシャッフルの衣装を読む! 90年代で〝リンク〟するコーデ お茶会はヴィクトリアンに

          巧みに散りばめたコンテクスト  1カ月に渡って話題をさらった蓮ノ空のシャッフルユニット。その集大成の2月度フェスライブも大成功に終わりましたが、ここはこのシリーズらしく、その衣装に注目していきましょう。  3ユニット共に個性あふれる衣装です。花帆と慈は可愛いを体現するかのようなピンクのフリルドレス、綴理と瑠璃乃は部屋着風のパーカーが印象的、梢とさやかは瀟洒なドレスで上品にまとめています。キャラクター、ストーリー、曲調によくあっている衣装で、表面だけを見ても十分にメッセージ

        【ラブライブ!服飾史シリーズ】Liella!×上野マルイコラボイラストから どうして全員デニムなの? 上野とジーパンの歴史

        • 蓮ノ空が示す「見たことのない、ありふれたもの」 

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          【ラブライブ !服飾史シリーズ】 衣装の読み方を知ろう 組み合わされたコンテクスト 隠された意図を導き出せ!

          衣装とはコンテクストの組み合わせである  ライブの楽しみの一つに衣装があります。いつもとは違う推しの姿を拝めるものであり、キャラとキャストの境界をより曖昧にするツールでもありますね。  衣装も身につけるものですから服の一種なわけですが、日常で私たちが着ている服とはデザインや使う生地の派手さがかなり異なります。どんな美人であれイケメンであれ、コスプレ以外でライブ衣装を着て外を歩いてたら確実に周りから注目を集めることでしょう。  ただ、この注目を集めることがライブ衣装の一つの目

          【ラブライブ !服飾史シリーズ】 衣装の読み方を知ろう 組み合わされたコンテクスト 隠された意図を導き出せ!

          【ラブライブ服飾史シリーズ】KALEIDOSCORE『ベロア』 テキスタイルから見る歌詞の巧みさ

          『ベロア』ってなんだ?  発表と同時に超高評価を受けているKALEIDOSCOREの『ベロア』。  ジャジーで大人っぽくておしゃれ。それでいて切なさを帯びた楽曲に「こう来たか!」となった人も多いでしょう。  さて、この新しい名曲の歌詞にはとある特徴があります。一度も表題の「ベロア」という単語が出てこないのです。  てか、そもそも「ベロア」って何よ?って方もいるでしょう。  これは結論から言うと、とあるテキスタイル(布)の名前です。  いったいどんなテキスタイルなのか。  実

          【ラブライブ服飾史シリーズ】KALEIDOSCORE『ベロア』 テキスタイルから見る歌詞の巧みさ

          あたしは〝幻ヨハ〟を読み切れなかった Aqoursと虹ヶ咲 地方と東京 焦りとヌジャベス

          「ハナマルはSDGsじゃねえよ」  待ちに待った「幻日のヨハネ」の放送が先月末から始まりました。  冒頭、「トカイ」なるブレードランナーみたいな街で夢破れて故郷に呼び戻されるヨハネですが、2年ぶりの地元にも関わらずド田舎扱いで、まぁめちゃくちゃに文句言ってブー垂れるわけです。  「ほぼ200年前だろこんなん」みたいなデフォルメされきった田舎の街並みを描き、キャラにここまで文句言わせて「いくら沼津じゃなくてヌマヅだからって大丈夫かよこれ」と思ったのが最初の感想。さすがに怒られ

          あたしは〝幻ヨハ〟を読み切れなかった Aqoursと虹ヶ咲 地方と東京 焦りとヌジャベス

          【親方の視点】キャンプは楽しい、ただのんびりはしちゃいない

           今週の土日を使って友達と5人でキャンプへ行ってきた。  キャンプといってもテントは張らずに、バンガローを借りてやる、ちょっとお気楽なもの。  あたしは、まぁよくいる「ゆるキャン△」から興味を持った人種で、キャンプというのはソロでマイペースに、または仲間とわいわいと都会の喧騒を離れてのんびりとやるものだというイメージを持っていた。  ただ、本当にそうなのかと思う。キャンプってものは全くもってのんびりしているとは思えない。ソロも含めて何度もやったけど、どこがのんびりしてるんだと

          【親方の視点】キャンプは楽しい、ただのんびりはしちゃいない

          【親方の視点】二郎はカウンター寿司へ通ず

           基本的にあたしは食べることが好きである。  とことん朝に弱いので、朝食を抜くことは多いけど、昼と夜を抜くことはありえない。第一、昼を抜いた自分の脳みその回転を信用していないし、昼を抜いた他人のそれも信用していない。必ず頭は鈍るし、空腹状態の人間はイラつきやすくて色んな判断を見誤る。なんて偏見も持ってるくらいだ。実家が料理屋という出自も関係していると思う。  とはいえ、いつだって丁寧に食事をするわけではない。あたしは取材する物書きの仕事をしているから、速報の入稿と次の取材が近

          【親方の視点】二郎はカウンター寿司へ通ず

          【ラブライブ服飾史シリーズ】(ショート版) MOTTO-ZUTTO be with youと三宅一生  “一枚の布”とダンス

          MOTTO-ZUTTO be with youの美しさ  Aqoursのソロ楽曲の中でも、独特の美しさ、アート性を感じる曲があります。MOTTO-ZUTTO be with youです。  小宮有紗さんの顔とスタイルが圧倒的に良いのは当然として、ライブで生み出される世界観は、EDMをベースにした音楽と澄んだ声、そして美しい衣装に起因していると思っています。  分解して語ると、EDMというジャンルが持っている陶酔感やトランス状態をもたらす力と、白無垢や狩衣を思わせる衣装、そし

          【ラブライブ服飾史シリーズ】(ショート版) MOTTO-ZUTTO be with youと三宅一生  “一枚の布”とダンス

          【ラブライブ服飾史シリーズ】自分より知ってるキャラの身体 「あの子に似合ってる/似合いそう」の正体 『ちぐはぐな身体』より

          近くて遠い自分の身体  『ちぐはぐな身体』という本があります。  「身体とは像(イメージ)である」という言葉で始まる、このファッション論の歴史的名著を書いたのは鷲田清一さん。有名な哲学者であられます。  噛み砕いて言うならば、自分の身体を肉眼で見ることができるのは手とか足とかお腹とか限られた範囲だけ。あとは鏡や写真を介しての認識で、顔ですら死ぬまで肉眼で見ることは叶わない。  つまり、自分の身体のほとんどは像(イメージ)でしか認識できないということを書いた本です。  そうし

          【ラブライブ服飾史シリーズ】自分より知ってるキャラの身体 「あの子に似合ってる/似合いそう」の正体 『ちぐはぐな身体』より

          辰砂の色の女の子

           あたしの家の棚に、とても美しい赤色の花瓶があります。  真っ赤、深い赤、まさに深紅と言える色で、スカーレットです。これは辰砂という古い顔料を使って染めた品物。  あたしは貧乏人なので骨董屋なんかは行かず、メ〇カリで美術品を買うので、価値を知らん出品者から安く買いましたが、まともに買えば20万はするでしょう。  なぜこんな話をしているのかと言うと、今日はどうしたって深い赤色を見ていると、色々考えてしまうからです。  さて、花瓶を見ながら独り語りを続けます。  先ほどチラッと

          辰砂の色の女の子

          果林さんて普段何してんの?  二次創作に使えるモデルのお仕事講座 部屋が荒れてる原因も……?

          意外と知らない果林さんの仕事  「高校生でありながらモデルとしても活躍し……」という設定、結構な作品で見かけるので、「あ、モデルもやってるんだ」と理解した感じになってしまいそうですが、お洋服を着て写真や映像に出るということ以外は意外と知らないことが多いのが、このモデルというお仕事です。  しかし、果林さんのことを二次創作で描く時に、彼女のパーソナリティに踏み込もうとすると、どうしても避けて通れないのはモデルをやっているという設定。  そこで、今回は彼女のお仕事は普段どんな人

          果林さんて普段何してんの?  二次創作に使えるモデルのお仕事講座 部屋が荒れてる原因も……?

          【ラブライブ服飾史シリーズ】短信版 『WE WILL‼』衣装に見る解放感 47年ディオール「ジャングル」ルックと22年SSの色柄の祭典から~

          衣装に現れた〝トレンド〟感  今回のラブライブ!服飾史シリーズは、短信版。ショートバージョンです。話題に挙げるのはラブライブ!スーパースター‼2期OP「WE WILL!!」の衣装。   ダブルライダースのジャケットのディティールを取り入れた半袖のアウターにフレアスカート。色は水色・ピンクのパステルカラー。印象的に映えるのは同系色でまとめたレオパード柄。ガーリーながら力強さも感じる、OP曲にぴったりの衣装です。  これを初めて見た時、「お、すごいトレンドっぽい」と感じるのと同

          【ラブライブ服飾史シリーズ】短信版 『WE WILL‼』衣装に見る解放感 47年ディオール「ジャングル」ルックと22年SSの色柄の祭典から~

          【雑感】狩野川花火大会 「空を取り戻した日」

           記事というのは〝事柄を記す〟ものであって、一応は記事を書いてどうにかこうにか、生活費を稼いでいるあたしは、記事というものに矜持やプライドみたいなものを、なんとなくだけど持っている。今この瞬間、キーボードを叩いている理由は、あたしにとって夏を夏と認識するための儀式のようなイベントが3年ぶりに開かれたことへの興奮が、自分の内面だけで処理しきれなくなったからだ。雑に吐き出す、〝雑な感想〟。だから雑感だ。  夏を夏と認識すると、肌だけではなく、頭というか心が暑くなるし、熱くなる。熱

          【雑感】狩野川花火大会 「空を取り戻した日」

          【ラブライブ服飾史シリーズ】 ギルキス2ndライブメイン衣装 タータンチェックは何故〝ロック〟なのか ヴィヴィアン・ウエストウッドの構造 挑発するコラージュ

          タータンチェック 記号化された〝ロック〟  ラブライブの衣装について、服飾史と絡めてお話しするコラム【ラブライブ服飾史シリーズ】も3本目となりました。  さて、同シリーズのバックナンバーでディオールのニュールックについてお話した時(https://note.com/fine_quince486/n/n3e3a046fe100)、あたしは「ファッションとは一種の言語」で、ある種の記号論的な要素があり、アイドル衣装はその極地の一つだとお伝えしたかと思います。  今回は、その視点

          【ラブライブ服飾史シリーズ】 ギルキス2ndライブメイン衣装 タータンチェックは何故〝ロック〟なのか ヴィヴィアン・ウエストウッドの構造 挑発するコラージュ