【番外編】20代の時に付き合った40過ぎのおっさんに三股かけられた話【前編】

若いころはおっさんが好きだった。
アプリでいろいろな人に会う中で、過去の恋愛の中で強烈に思い出したエピソードがあった。


付き合うきっかけ

27歳の時に41歳のおじさんと付き合っていた。
ざっくりいうと仕事関係の出会い。
当時私は20代で某専門職として仕事を始めて数年目。「将来的には海外でこんな仕事もしてみたいな♪」と希望に満ち溢れていた。仕事終わりや休みの日には、そのための研修に出て意識高く自己研鑽にいそしんでおり、彼はその研修で講師をしていた。
キャリアでも10年以上も上、しかも自分がやりたいと思う仕事をしている先輩。とてもキラキラして見えた。若い頃にはよくある憧れ方だと思う。

その彼主催で、研修メンバーでBBQをすることになり、その日をきっかけに付き合うことになる。

ウキウキ期からのプロポーズ

彼は研修の講師をしているくらいなので、その界隈では少々有名人で、その道の第一人者だった(当時)。
そんな彼が自分の彼氏になる。なんだか自分の仕事や将来性まで認められたようで(気のせいなんだけど)、最高潮にウッキウキだった。彼は海外出張の多い人だったけど、海外出張から戻ると空港から私の家に直帰していて、ほぼ半同棲と言ってもいい生活をしていた。

海外出張中もまめに連絡を送ってきてくれて、相手国政府要人との会議中に「今○○国の××(政府の偉い人)と会議をしているんだけど…」と仕事の話をされるのもウキウキポイントだった。今となってみれば、会議中に女にメール打ってるのも、会っている人の肩書を外部に漏らすのも、どう考えてもマジであり得ない大バカなのだけど、当時、憧れと恋愛で頭がバカになっていた私はそれさえも喜んでいた。

ウキウキと付き合って半年と少し経った頃だろうか。彼が「結婚したい」と言い始めた。ウキウキ期最高潮の私だったが、もともと結婚願望が薄く、バリバリ働いて野垂れ死んでもいいとさえ思っていたほどキャリア志向が強かったので、「ん?結婚??」と突然現実に引き戻された。これは彼にとっては想定外だったかもしれない。

結婚と言われて全く嬉しくないかと言われたらウソになる。彼がそれだけ真剣に自分の事を考えてくれているのだという意味で嬉しかった。そこで、まじめに考えてみた。
まず、彼の年齢は自分よりも1回りよりも上だったので、介護が結構早めに始まりそうだな…というのが一番初めに頭によぎった。今思えばずいぶん冷静である。

次に、彼と結婚した場合、私は彼と同じような仕事をすることをあきらめなければならないかもしれないと思った。その仕事はかなりニッチな分野で、関与している機関や人間が相当限られている。「夫婦で」というのはさすがに周囲も気まずいだろうし、彼がここまで作ってきたキャリアを邪魔したくないと真っ先に頭に浮かんだ。彼の方はどう思っていたんだろうか。

最後に、私は彼の家に一度も行ったことがないことに思い当たった。彼はうちにほぼ入り浸りになっていたし旅行にも何度か行っていたので、二人でいるときの生活ぶりは見えていた。他方で、自分の家をどのように整えて一人の時にどのような生活をしているかが全く見えない。そんな人と結婚ってどうなんだろう…と考えるようになった。

二股発覚

彼は実際どこまで本気なんだろう…と悩み始めた矢先、同業で同い年の女友達がフェイスブックで奇妙なポストを上げていた。彼が講師を務めるセミナーを宣伝して「ぜひ行ってあげてください」と書いていたのだ。
宣伝するのは良い。でも、行って”あげてください”というのは何だろう?どういう立場で言っているのだろう。フォロワーからのコメントへの返信を読んでも、どう見ても妻気取りである。それだけの事なのだけど、野生の勘というのか女の勘というのか、とにかく直感で「…こいつ、浮気してね?」と思ったのだ。

早速友達(ここから先はAちゃんとする。)に連絡をしてみた。
たまに連絡は取るけれどそう頻繁にやり取りをするというほどの仲ではない。何と切り出せばいいのか。というか、なんと切り出したかもう覚えていない。その研修の話とか当時検討していた海外留学の話かなんかで切り出したのだと思う。
匂わせる会話を何度かしつつ、こっちから先に情報を出さないと話が進まないなと思い、「いや実は私言ってなかったけど、彼(ここから先はNとする。)と付き合っててさ~」と恋愛相談の体で切り出した。

Aちゃんは、「…え、そうなんだ?!」と驚きはしたものの、その場で核心めいたことは一切言わず会話は終わった。結局それから数週間経ったころ「はちみつちゃんに話したいことがあるんだ…」と切り出してきた。

どうやら彼女は、数年前にNと付き合っていたらしい。ならば少なくとも二股ではない。元カノってことでAちゃんが妻気取りになっちゃっただけのかな?彼女の話によれば、数年前に付き合った際に自分から振ったものの、その後もNからのアプローチは続き、最近になってAちゃんの中でもようやくヨリを戻そうかと思って連絡を取っていた矢先だという話だった。

正直、Aちゃんの話からはNとの現在の関係はよくわからなかったが、とりあえずNはこの間Aちゃんともしっかりセックスをしている事だけはわかった。

おいおい、結婚とか言いながら浮気してるじゃねえか…。

AちゃんはAちゃんで、長いアプローチの末に自分がようやく付き合ってやろうと思った矢先、他の女、しかも友達(私)が発覚したのでいたくプライドが傷ついたようであった。NはAちゃんにも結婚の話をしていたようで「婚約破棄として1000万円の慰謝料の請求をする!」「勤務先に内容証明を送り付けてやる!」と息巻いていた。前述のとおり、私は将来的にはNと同じような仕事をしたいと思っていて、Nの現在の勤め先にも興味があった。なので、職場に内容証明を出すとかはやめてほしい、私にとってもreputation riskがあるぜと思ったものの、とりあえずAちゃんが大変ご立腹なのはわかった。ここは共同戦線を張って共にNを追い詰めようではないか。

しかし、Aちゃんの行動は最初からあまり信用できたものではなかった。
「Nを確実に追い詰めるためにも少し作戦を練ろう。その間Nは泳がせよう」と二人で話し合ったにもかかわらず、彼女は翌日から海外出張中のNに鬼電し始めたようである。なかなか繋がらないので同じ職場の知り合いづてにまで連絡し、ついに連絡が取れた瞬間「はちみつちゃんから全部聞いた…」と言ってしまったのだ。アホか。

慌てたNは海外出張から戻るや否や「説明させてほしい」と言って私に連絡をしてきた。
私はその時点では、AちゃんからNへの鬼電の経緯を知らないので、馬鹿正直にAちゃんに「Nが連絡してきたけど同席するか?」と提案した。Aちゃんは、自分ではなくNが私(はちみつ)に先に説明しようとしていることにプライドを傷つけられたようで「なんで…」と言って上記の経緯を説明してきた。正直、この期に及んで誰が先かなんてどうでもいい。肝心なことは、Nに逃げ場を与えず追い詰めてスパッと息の根を止める事である。漫画やドラマで、女性が連帯して男を成敗するスカッとシーンをよく見るのでそれをやりたいのに現実にはうまくいかないものだ。

Nとの対面

Aちゃんは結局来ないことになった。
そこで私が一人で会うことに。
待ち合わせ場所は私の自宅の最寄り駅。Nはしょんぼりとかわいそうオーラ全開で現れた。土砂降りの雨に濡れた野良犬みたいな顔をしていた。くうーん。子犬ならまだしも、41歳の老犬、あんまりかわいくないんだが。

Nは普段から私の家に入り浸っていたので、この日も家に上がれると思っていたので驚く。んなわけなかろう。他の女とも交尾しまくっている濡れ野良犬、家に上げるバカがどこにいるんや。ということでその辺の個室居酒屋に入った。Nは言葉少なで、なんなら少し泣いている。41歳のおっさんが自分の浮気が原因で泣いている姿はシュール過ぎて、私はとても冷静になっていった。私は事実関係を確認したいのでいろいろと質問したのだが、結局どれもはっきりした回答は得られなかった。とりあえずNの認識の中では、Aちゃんとは今は付き合っていないらしかったが、肉体関係があるのではないのかという質問には黙秘していた。

私は、一応それなりに真剣に将来の事も考えて悩んでいた気持ちが切れてしまった。Nのことはもちろんまだ好きだが、憧れの対象であったキラキラした彼にはもう見えない。目の前にいるのは、雨に降られて濡れている老犬である。あまりに哀れなので捨てて帰るのもどうなんだろう…という気持ちになっていた。

…一つの記事まとめようと思っていたのですが、長くなったので前後編で分けます。前編はここまで。後半はここから。

もう一人いる…!

二股じゃなくて三股だった

Nとの再対面

あれから10年…



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