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Music × English なエッセイ 【27】

今回の動画

執筆時点、昨日公表されたばかりのYouTube動画。
何についての震えなのかが気になりますね。
西野カナさんのとは違いそうです、このモノクロ映像では。


Shiver

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歌詞

The last dream of every dying soldier
I've seen you there
Flowers in your hair

The last dream of every dying lover
I've seen you there
flowers in your hair

It's all too much today
Liz has gone away
Well the giant courtesan
With the tiny hands that makes

Me shiver
Shiver
For the Albionay【※1】

The last dream of every dying soldier
I've seen you there
Flowers in your hair

The last king of every dying empire
Just let it die
Sit back enjoy the ride

They all queued up to see
The old girl boxed away
As the tattered standard hits the ground
Another coronation day

Shiver
Albionay

There we were
Top and tail Arcadia ※2】【※3
Reasons to stay alive
Not to die at 25

I shiver On the Esplanade
Shiver
Albionay

Shiver
by The Libertines
動画概要欄より

試訳

死にゆくどの兵士の最期の夢でも
そこであなたに会った
髪に花を挿していた

死にゆくどの恋人たちの夢にも
あなたは居た
髪に花を挿していた

今日はいっぱいいっぱいでダメだ
リズが旅立ってしまった
貴族相手の商売上手
小さな手で稼ぎ出した

僕は打ち震える
泣きむせぶ
古き良き時代の英国女のために

死にゆく兵士の夢
あなたを見かけた
髪には花輪

滅びゆく帝国の最期の王
滅ぶに任せなよ
ゆったり腰掛けて乗り心地を楽しんでよ

皆が列を作った
老いた少女の棺桶の葬送を見守るため
古臭い物差しは地に堕ちて
新たなる戴冠式だ

しびれるよ
アルビオンの女

僕らは実質
理想郷(アルカディア)に居るようなものだった
生き延びる理由
25歳で死なずに済むような

僕は遊歩道でむせび泣いている
震えるよ
アルビオネ

今回は古語が多く、ノンネイティブには訳の美化ニュアンスをとるのがいつも以上にきつかった
文法自体はそうでもないんだが…😅

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訳出にあたり考えたこと


かつてストロークスと双璧で語られることが多かった、リバティーンズ。

2000年~10年代の洋楽リスナーにとっては、70年代前後のクラシックなロック(一説にはガレージロックと限定する人もあるが、もっと幅広い気もします)を復活させたリバイバリストの旗手の一派という感じでした。

が、ピート・ドハーティが薬物中毒でヘロヘロで、もうダメなんじゃないかなんて囁かれていました。

なんの、最近頑張っているみたいでほっとしています。
今もツアー中らしいですね。

ただ、昨年師走の少し前に、こんな不名誉な話が日本でも取り上げられたりしていました😅ちょっとピート…🥶

ところで、歌詞の解釈についての私見です。(前置き長い)

歌詞を動画とリンクさせての解釈なので、歌詞だけを読んだ人とは別解になってしまうかもしれません。

リズという女性を、死んだ恋人のように捉えると、かなり、古語とも相まって、『ロード・オブ・ザ・リング』などファンタジーに出てくるエルフみたいな、神々しく美しい女性になってしまうかもしれません。

でも、このモノクロ動画において、目に飛び込んでくるのは、お葬式の一部始終です。

三途の川の渡し守に渡すコインが目に置いてあって、日本の古い習わしを想起させます。

さて葬列が進んでいくと、棺桶に居たはずの、ボタンだらけのジャケットのおばあさんが葬列を率いたりしています。なんだかノリノリで。

ファッション界における、ヴィヴィアン・ウエストウッドみたいなロックな(?)おばあちゃんが、亡くなったリズだったようです。

というのも、次の場面ではこのおばあちゃんが消えてしまうのです。

チャーミングだったり豪胆だったりで(歌詞から察するにですが)、親戚縁者に愛されていたのかもなあと。

しかしその形容が相当美化されているのも歌詞の通りです😅。
ピートはおばあちゃんっ子であったのだろうか。

🔵2024年2月9日追記

この曲自体が人の死にまつわるものなので、考察の方向性がスピリチュアル(カタカナ英語の怪しい商法や宗教ではなくて、spirit の語源から来る、本来的な意味の方、精霊とか霊魂にまつわること)へと向かった、追加的な想像をしたのです。

映画であれ、漫画やアニメであれ、人間の想像を可視化する作品は世にたくさんありますけども、ピートのこの歌詞を映像で具現化するとき、リズはどういう見目形なんでしょうね?😅

やはり、一番美しかった年齢帯で髪に花を挿した状態で、死にかけの兵隊の夢に表れていたんでしょうか?その兵隊というのはピートの祖父だったりするんだろうか?

なぜこんな野暮な想像になったかというと、失礼ながら美的に、難があってはならない、そう思ったからなんですよね。

亡くなった時の年齢で夢に現れるとなると少しホラーっぽいし😅、かといって、赤ん坊に戻るんだとか、それ以前、霊魂その他エネルギー体のように形が無くなってしまうという類いの説明だと、ピートの歌詞は美的ではないんですよね😅。

歌詞に居る兵隊や恋人が、最期において憧憬の眼差しで見る相手ではなくなってしまう。

なので、非科学的なんですが…一番ベストな妙齢の頃合いで現れていた…んじゃないかなあ…と。蛇足でした。


若干の政治的な要素

ただ、そういう美化についての仮説とは裏腹に、日本のネトウヨ化と似た現象をも想起してしまうんですよね。

感性の違いというべきなのか、一歩引いて波及効果まで見ちゃうのがいけないのか…。

古き良き時代の英国(他国からは強すぎて邪悪扱いだったとしても、イギリス人には栄光の時期だろうので)というのを、わざわざ歌詞として用いてまで、故人の修辞にするあたりが…。個人的には若干△要素かもしれません。いや、美しいんですけどね。危険な美しさ?😅

※ ご参考まで(スペル違いのアルビオネ)


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