佐良土 賢樹

定時制高校教員、公認心理師。定時制で進路指導を行う傍ら、兼業申請をして翻訳も行っています。 大学院時代の研究領域はいわゆる人工知能(パターン認識と機械学習)。 文芸部とバスケットボール部とアニメ同好会の顧問経験

佐良土 賢樹

定時制高校教員、公認心理師。定時制で進路指導を行う傍ら、兼業申請をして翻訳も行っています。 大学院時代の研究領域はいわゆる人工知能(パターン認識と機械学習)。 文芸部とバスケットボール部とアニメ同好会の顧問経験

マガジン

  • 不登校は怠けなのか?

    全国で12万人にも登る不登校の原因を、身体面、精神面の不調を中心として取り上げます。明確ないじめや体罰などの問題がなく、「どうして不登校になったかわからない」と本人も周囲も思ってしまうような不登校も多く存在します。 そうした明確な理由のない不登校では、家族だけでなく学校関係者ですら本人の「怠け」のように捉えてしまう場合もあります。 ここでは、定時制高校教諭として経験や公認心理師として視点から事例を紹介し、少しでも当事者や支援者の助けになればと思います。

  • 発達障害とは何か

    発達障害として認知されている「自閉スペクトラム症(ASD)」、「注意欠陥・多動性症候群(ADHD)」、「学習障害(LD)」の裏側にある身体的な基盤を考察し直し、「感覚、意識、身体の調整能力の不具合」として捉え直すことを提案します。

  • スプレッドシートからフォームを出力するマクロを作りました。

  • 新型コロナウイルスのある世界

  • すべての組織論を総括する5つのステージ

    書籍『トライブ』で語られた「集団の5段階」という概念を基礎とし、あらゆる組織論、リーダーシップ論、教育論を総括し、再構築する。

最近の記事

クジラになりたい私たち ~真の障害理解に向けて~

発達障害等の見えにくい障害を抱える人たちを、水中で生きる人間に例えた話があります。 障害を抱える人は、「海の中で暮らす人間」のようなもので、 障害によってできないことを責めるのは、「どうしてエラ呼吸できないの」という言葉かけに等しい。 けれど、ボンベを使うことで多少の不便があるものの、同じ世界で生きられる、という内容です。 ボンベは、例えば、聴覚過敏を持つ自閉スペクトラム症の方であればイヤーマフかもしれませんし、AHDHの方ならコンサータかもしれません。あるいは、周り

    • GAS(Google Apps Script)でスプレッドシートからフォームを自動生成するマクロを作りました その2〜フォームを作成する〜

      スクリプトの基本前回の記事で、スプレッドシートからフォームを出力するマクロを公開しました。 記事内で、マクロ自体が配布されているので、必要な方はコピーしてご使用ください。 前回は、スクリプトエディタを表示するところまでを掲載したので、続きを書きたいと思います。まず、スクリプトエディタを立ち上げると、 function myFunction() { } というような記述かあるかと思います。これは、myfunctionという関数を「{」から「}」までの範囲で記述します、と

      • GAS(Google Apps Script)でスプレッドシートからフォームを自動生成するマクロを作りました その1〜GASとは何か〜

        GASとは何か私の職場では、アプリのインストール権限がなく、アプリの購入費用もないため、VBAを利用してExcel、Word、PowerPointのマクロを作ることが多くあります。Excelの自動印刷、Wordに自動でルビを振れるマクロ、パワーポイントの選択箇所を四角で隠してフリップボードのようなアニメーションを作るマクロ、ワーキングメモリをトレーニングするフォームアプリなど。 そんな経緯があり、Excel周辺のVBAプログラミングには比較的慣れていました。そんな中、職場の

        • 不登校は怠けなのか?③ トラウマの治療法と学校でできること

          前回の記事で、学校に通えない程の肉体的、精神的な不調に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)が関わっている可能性を示唆しました。  では、PTSD(心的外傷後ストレス障害)俗にいうトラウマを治療することは可能なのでしょうか。  精神の不調、というと、精神科に行って投薬によって治療する印象が強いように思いますが、薬物療法は万能なわけではありません。  もちろん、うつ病のような症状があり、脳内のセロトニンの分泌状態が変化してしまっていることが明確であれば、SSRI(選択的セロ

        • クジラになりたい私たち ~真の障害理解に向けて~

        • GAS(Google Apps Script)でスプレッドシートからフォームを自動生成するマクロを作りました その2〜フォームを作成する〜

        • GAS(Google Apps Script)でスプレッドシートからフォームを自動生成するマクロを作りました その1〜GASとは何か〜

        • 不登校は怠けなのか?③ トラウマの治療法と学校でできること

        マガジン

        • 不登校は怠けなのか?
          3本
        • 発達障害とは何か
          6本
        • スプレッドシートからフォームを出力するマクロを作りました。
          2本
        • 新型コロナウイルスのある世界
          1本
        • すべての組織論を総括する5つのステージ
          6本

        記事

          不登校は怠けなのか?② トラウマによる闘争/逃走反応、あるいは凍りつき

          はじめに前回の記事で取り上げましたが、日本財団が行った調査、「不登校傾向にある子どもの実態調査」では中学生の学校に行きたくない理由は、1位「朝、起きられない」。2位「疲れる」。3位「学校に行こうとすると、体調が悪くなる」という体調面の原因が挙げられています。 こうした体調面の不調は、どこから来るのでしょうか。生徒により、様々ではありますが、今回は、体調面の不調を招くトラウマを扱います。 経験上、学校への出席が難しい生徒は、多かれ少なかれトラウマ的な体験をしていることが多い

          不登校は怠けなのか?② トラウマによる闘争/逃走反応、あるいは凍りつき

          集団の5段階⑥ ステージ5 「人生は素晴らしい」 ~無限に発展していく文化とネットワーク~

          書籍『トライブ』で定義されている最高のステージが、ステージ5です。 『トライブ』で、ステージを分類するために用いたのは、集団に所属する人間がどのような言葉を使っているか、ということです。 ステージ1 人生、最悪、めちゃくちゃ、ぶっ壊す、無理、無視、どうでもいい ステージ2 上司、人生、やってみる、無理、あきらめる、やめる、最悪 ステージ3 わたし、わたしに、わたしの、仕事、やった、やる、ある、いった ステージ4 わたしたち、わたしたちの、チーム、やる、彼らに、ある、

          集団の5段階⑥ ステージ5 「人生は素晴らしい」 ~無限に発展していく文化とネットワーク~

          不登校は怠けなのか?① ~身体とこころから見る不登校~

          はじめに私が勤務する定時制高校には、小中学校で不登校を経験しているという生徒が多くいます。  平成30年度、全国中学校の不登校人数は12万人にのぼり、全体の3.6%を占めているといいます。不登校、と聞くと、どうしても「いじめ」や「人間関係」が理由であるというイメージを抱きがちで、実際、そうしたケースは多いでしょう。しかし、日本財団が行った調査、「不登校傾向にある子どもの実態調査」では中学生の学校に行きたくない理由は、以下のようになっています(複数回答可)。 一般のイメージ

          不登校は怠けなのか?① ~身体とこころから見る不登校~

          集団の5段階⑤ ステージ4 「私たちは素晴らしい」 ~全員が主役の分散処理ネットワーク~

          ステージ4の概観ステージ3とステージ4の違いはネットワークの効率性です。 一匹狼のプレイヤーやトップダウンのマネージャーが支配するネットワークでは、いくら個人が優れていようと、個人が集まれば集まるほど効率性が低下します。 それは、互いの意思疎通や情報共有のためだけに膨大なコストが生じ、集団が持つリソースが膨れ上がった事務作業、会議、報告決裁、社内政治に対処することに使い尽くされてしまうからです。  このステージの人間は3者関係を形成し、相手との間に価値観に基づいた人間関

          集団の5段階⑤ ステージ4 「私たちは素晴らしい」 ~全員が主役の分散処理ネットワーク~

          集団の5段階④ ステージ3 「私は素晴らしい」 ~孤高の戦士、もしくはトップダウンの世界~

          ステージ3の概観 自己の人生を否定的に見ていたステージ2までとは打って変わって、自らを肯定的にとらえている点がステージ3の特徴です。 ステージ3「私は素晴らしい」  ステージ3の意識の根底は、「自分は素晴らしい」という考え方である。自分の能力や仕事に誇りを持ち、誰よりも熱心に活動をする。裏には、「自分は素晴らしいがお前は違う」という思いが隠れており、ステージ3の人間が集まると相手を貶めようと必死になる。  ステージ3がステージ4に至るためには、ひとりでは達成できないプロジェ

          集団の5段階④ ステージ3 「私は素晴らしい」 ~孤高の戦士、もしくはトップダウンの世界~

          集団の5段階③ ステージ2 「私の人生は最悪だ」 ~自己効力感を失った諦めの世界~

          ステージ2の概観ステージ2は、無条件に人生を最悪のものとみなしていたステージ1からは一歩進んで、「人生には最悪ではないものもある」という認識を得た上で、 それでも「自分の人生は失敗であり虐げられている」という思いを持っています。 その思いを一言で表すと、「私の人生は最悪だ」となります。 ステージ2「私の人生は最悪だ」  ステージ1との大きな違いは、最悪なのはあくまで「自分の」人生だけであり、人生がうまくいく可能性はあるものの、自分の人生はそうではないという思いがある点で

          集団の5段階③ ステージ2 「私の人生は最悪だ」 ~自己効力感を失った諦めの世界~

          集団の5段階② ステージ1 「人生は最悪だ」 ~生存が脅かされた孤立状態~

          ステージ1の概観書籍『トライブ』の集団の5段階において、ステージ1は、「集団」とは到底みなせない完全に孤立した状態にあります。 ステージ1「人生は最悪だ」  他者から孤立し、人生は無条件に最悪のものだという考え方をする。このステージの人間が集団を作った場合、ギャング組織などの形で絶望的な敵意が行動に表れる。 ステージ1から抜け出すためには、会食や会議や集会などの場に参加し、人生にはうまくいく場合もあるということを理解させることが有効である。 この状態を図示するなら、下のよ

          集団の5段階② ステージ1 「人生は最悪だ」 ~生存が脅かされた孤立状態~

          集団の5段階① すべての組織論を総括する5つのステージ

          集団の5段階とは世の中には様々な形のリーダーシップ論、組織論が溢れています。その中身は千差万別ではありますが、大きく分けて2つの系統が存在するでしょう。 ひとつは、リーダーとしての個人の経験を語ったもの。 もうひとつは、何らかの指標を元に統計などの手法で分析したもの。 ここで紹介する「集団の5段階」は、『Tribal Leadership(邦訳:トライブ―人を動かす5つの原則)』の中で語られた概念であり、この書籍はどちらかといえば後者に属するものとなります。 そもそも

          集団の5段階① すべての組織論を総括する5つのステージ