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集団の5段階④ ステージ3 「私は素晴らしい」 ~孤高の戦士、もしくはトップダウンの世界~

ステージ3の概観

 自己の人生を否定的に見ていたステージ2までとは打って変わって、自らを肯定的にとらえている点がステージ3の特徴です。

ステージ3「私は素晴らしい」
 ステージ3の意識の根底は、「自分は素晴らしい」という考え方である。自分の能力や仕事に誇りを持ち、誰よりも熱心に活動をする。裏には、「自分は素晴らしいがお前は違う」という思いが隠れており、ステージ3の人間が集まると相手を貶めようと必死になる。
 ステージ3がステージ4に至るためには、ひとりでは達成できないプロジェクトを中心として、3者以上の関係を築くことが有効である。
 企業組織においては、上司がステージ3にあり、部下がステージ2にあるという状況が散見される。

 ステージ3の人間は集団が目的とする課題に対する自己効力感が高く、意欲には溢れています。その反面、自身のやり方に固執しやすく、プレイヤーとしては一匹狼、マネージャーとしてはトップダウンの運営体制が構築されます。

 これを図に表すと以下のようになります。

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 新しい取り組みに対しても「なんとかなる」という思いが強いため、積極的な推進をすることもありますが、一方で自身の意にそぐわない場合には何としても叩き潰そうと抵抗勢力になる可能性も秘めています。

 これを、NBAで11回の優勝を誇る名将フィル・ジャクソンは「孤高の戦士たちの集団」と呼び、彼がNBAを制するために腐心したのは、チームをステージ3からステージ4へと引き上げることでした。

 スーパースターたちの集団であるNBAチームは、ほとんどの選手がステージ3には到達しているものの、チームがさらに上のレベルに到達するには対立を乗り越えてステージ4に達することが絶対条件だったのでしょう。

改善のためのアプローチ

 自己効力感の高い者たちの集団は、それぞれの思惑が対立してしまった場合には互いが抵抗勢力となり、組織に対する自己効力感が低下してしまう可能性もあります。そうなった場合には、ステージ2まで後退してしまう危険性すらあります。

 トップダウンの組織の問題点は、ネットワークが非効率であることです。いつも中心を経由しなければ情報や意思決定ができず、自由な発想やスピード感、柔軟な対応が妨げられます。

 そのため、ミッション・ビジョン・バリューを設定した上で権限の移譲をすることによって、ネットワークの効率性を向上させることが重要になります。

 ミッション・ビジョン・バリューはピーター・ドラッカーが重視した概念です。
 ミッション・・・使命
 ビジョン・・・ミッションが実現した状態
 バリュー・・・ミッションを元にして作られた集団内の価値基準

例)Google
『Google の使命は、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」です』


Googleが掲げる10の事実(バリューに相当)
1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
2. 1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
3. 遅いより速いほうがいい。
4. ウェブ上の民主主義は機能する。
5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。
8. 情報のニーズはすべての国境を越える。
9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。
10.「すばらしい」では足りない。

 第4段階に至るためには、共通のミッション、共通の敵、共通の課題など、互いをまとまらせる要素が必要となります。

 ステージ3を脱するキーポイントは権限を委譲することですが、注意が必要なのはステージ2の人間に権限を委譲させようとしても上手くはいかないということです。

 自己効力感の感じられない事柄に対して権限を与えられても行動を起こそうとはせず、却って重圧を感じたり逆恨みをしたりということが往々にしてあるでしょう。

 だからこそ、集団の5段階は必ず段階を踏んで発展していくものとして語られているのでしょう。

まとめ

 ステージ3とは、自らを成功者として捉える者たちの作る集団であり、孤高の戦士たちの集団、もしくはトップダウンの組織となる。こうした組織はネットワークの効率に問題を抱えており、共通のミッションや敵、課題などを通して組織をまとめ、組織内で権限を移譲していくことがステージ4に至るための鍵となる。

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