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Fieldism Live Report #23 West Side Unity Pre. Leave Youth Here -Extra Party'' (2024-3-3)

 いつもお世話になっております。Ryotaです。

 すごい久しぶりにライブレポを書きます。というのも、最近は「ライブ終わった後のことより、公演前に一人でも多くの人に興味を持ってもらったほうがいいのでは」という思いもあって「○○のススメ」シリーズに着手していました。事実「''T.M. Music オーディションショー''のススメ」は700PVくらい、「''VS LDD TOUR OSAKA - Beginning''のススメ」も450PVくらい叩きだしてます。多謝。

 今回の公演、West Side Unity企画に関しても本来であれば特集まとめるべきではあったんですが、筆者が前週東京出張だったのと直前(確か3~4日前に遊びに行くのを決めた)のもあってまとめる時間がありませんでした。

 最近ハードコアのライブは頻度を減らしていますが、それでもこの日は遊びに行って本当に良かったと思うし、何より関西のハードコアシーンの歴史の大きな転換点になった出来事だったと思うので、これを当日あの場にいた人だけの記憶にとどめるのは勿体ない気持ちにさせられましたので、久しぶりにレポにまとめようと思います。

 行った方は当時の余韻に浸り、行けなかった方も是非当日の様子を想像してもらえたらと思います。

 2年前のWSU企画もよかったら覗いてみてください↓


※各出演者・関係者の名前は敬称略になること、予めご了承ください。また、あくまでも一オーディエンスが感じたことなので何か新しい視点の発見や思考のきっかけになったら幸いです。

Fallen Grace

 トッパーはWSUからニュースクール/ミリタントハードコアFallen Grace、昨年はのちにALSEID & StainedとスプリットEPをリリースするきっかけとなったキャリア初の自主企画から始まり(過去にライブレポ上げてます)、秋にはその二組とEP ''To Get Closer To The Ideal'' を引っ提げて名古屋、東京、山口とリリースツアーを敢行。年明けにはツアー大阪編としてTIGER, RE-BUILD, EDGE OF SPIRITとFallen Graceの面々のルーツとなったバンド3組をゲストアクトに加えて2度目の自主企画を開催したりと、今勢いにものっています。

 昨年末にオリジナルメンバーだったGt. Shimaponが脱退したことを始め、ここ最近は公演の度に体制が入れ替わっている印象ではありますが、当日はツインボーカルの片翼であるスリがギター/ボーカルを務め、Sup Dr.にSatoshi(別会場でSleepless With Isabelleのサポートと2ステージ)を加えた5人体制にて出陣。筆者は年明けのReVERSE BOYZの企画に行けなかったのでスリがギターとボーカルを兼任する光景は初めて観ますが、単音リフとアップライジングを織り交ぜながら要所要所でVo.ぐっちのシャウトの掛け合いを繰り出すのは様になってたと思います。


 ’’Divine Maria‘’~スプリットにも収録されている ''Toward a goal'' はじめ、メロディックかつ攻撃的な単音リフとモッシュ誘発系ビートダウンを織り交ぜたドラマティックなFallen Graceのスタイルを提示し、終盤のキラーチューン ''Revolutionary'' のビートダウンパートでは、おなじみWSUのフレンズ2組のフロントマンのアユム(ReVERSE BOYZ)とGKT(UNHOLY11)が登場。トッパーから一気にピットが広がり、間違いない一日になることを確信させてくれました。

 今週末には約半年間続いた先述のALSEID, StainedとのスプリットEPリリースツアーファイナル東京編が初台WALLにて行われます。ゲストアクトには新鋭豊橋ニュースクールGloomy Morning(O.A.)& もはや説明不要のView From The Soyuzを加えた5組でのイベント、デイイベントでその後のハシゴも可能なうえEPのフィジカルを持っているとチケット代割引特典もあるのでお近くの方は是非天を仰いでみてはいかがでしょうか?



Decasion

 2組目は名古屋を拠点に活動しているオルタナティブ・デスメタリックハードコアDecasion、2022年もアルバムリリースやツアーなどで精力的な活動を行っていましたが、昨年は名古屋で自主企画を6度にわたり開催 (特に最終回はa Soulless Painが久しぶりにステージに上がるほど)、BLOODAXE FESTIVALでのオープニングアクトの出演、最後にはEP ''Epitome of the Affected Throng'' のリリースと、その活躍ぶりで大きなインパクトを残したバンドの一つです。

 今回唯一の東海枠として出演した彼ら、「客演者関係なしにかませ!」というVo. Rikuの言葉通り、重量感とスピード感を感じる暴走パートから容赦なくビートダウンに移行する変幻自在な楽器隊のグルーブと重苦しさを振りまくドゥーミーなサウンド、 ''Wicked Monachism'' などで出てくるGt. Yamatoのシュレッドや時折挟まれる不気味なインダストリアルサウンドなど、「メタル」「ハードコア」という共通項はありながらも5人それぞれ違った解釈で展開される楽曲とそのライブパフォーマンスは現行の東海ハードコアシーンを代表するバンドとしてふさわしい貫禄を見せてくれまます。

 音源では一切フィーチャリング・ゲストを加えていないものの、最近では客演を入れることが増えているようで、定番曲の ''Common Suffering'' で本来Gt.SYがシャウトする部分ではUNHOLY11のGKTがfeat.。容赦ないビートダウンとミドルテンポの応酬でモッシャーも歓喜、ピットも当たり前のように広がっていました。最後の曲が終わったあと「名古屋には俺ら以外にもカッコいいバンドいるんで」と言い残してフロアを去っていく姿も大きく見えた印象です。


 Decasionは今後のライブが多数決まっているので詳細は公式アカウント参照ですが、彼ら主体でのイベントで言えば6/15(土)にはホームの上前津Zionで自主企画 ''Hellish Sight'' を開催予定とのこと。当日はFIGHT IT OUTの出演が決まっているSATANIC CARNIVALと被っていますが、感触を聞いた感じ相当自信ありなキャスティングになっているらしいので、今後のアナウンスには要チェックです。



UNMASK aLIVE

 ここでポップパンクUNMASK aLIVEがWest Side Unity企画に殴り込みに来ました。筆者も最近遊びに行ってますが現在の関西ポップパンクシーンはアンマスを中心にLauncher No.8, All is Well, recessなどハードコアにも負けない勢いで盛り上がっていて、アンマスのメンバーもよく後輩のライブに観に行くことが多い印象です(Gt. テツヤかVo. KDのどちらかは必ずいる気がします)。昨年も新神楽のキャパシティの限界ギリギリまでオーディエンスを詰め込んだ灼熱ライブ ''BASED IN THE BASEMENT'' や、2度目の開催となる ''ONE AND ONLY FESTIVAL'' など伝説的な瞬間を残してくれました。

 「やっている音楽はハードコアでないけど、好きなことを貫こうとする気持ちにはリスペクトを持っているし、俺たちも気持ちは一緒だと思っている」と嘘偽りのないKDのMCの通り、実際のライブも「ジャンル」という壁を一切感じさせないオーディエンスとステージが一体になったライブで熱量も半端なかったです。ライブの定番曲となっている ''Focus'' ''Mirage'' もフロアからの大合唱とステージダイブが一生止まらなかったですね。

 個人的にはショートチューン ''春を待つ、無人駅にて''やってくれたのゲキアツでしたね。自分アンマスはライブから入ったのでポップパンクに移行したての音源はあまりチェックできていない中この曲がサブスクに入っていてお気に入りの曲なんですが、10回以上ライブ観てやっと生で聴けました。 終盤には「俺たちはありのままの姿でハードコアのライブに殴り込みに来た」という言葉から最新作 ''故郷'' を披露。フロアのシンガロングの熱量もダイレクトに伝わりました。

 アンマスは予定されているライブが非常に多いので詳細は公式サイト参照ですが、その中でもGood GriefとのスプリットEP ''Satellite'' リリースショーのリベンジが4/29に下北沢LIVEHOLICにて行われます。リリース当時はコロナ禍根で延期になっていた公演が2年越しに実現、前日にGood Griefが主催する新宿HEISTでの自主企画''EVERGREEN Vol.8'' a.k.a. 東西ポップパンク戦争も併せてチェックしておきましょう。


RESENTMENT

 4組目は金沢のデスメタリックハードコアRESENTMENT、そもそもが初来日となる海外勢2組を除けば唯一初見となるバンドです。Erolin (SMD Crew, BURNING SIGN, NODAYSOFF etc.) のBLOODAXEの特集TDR(PRESS ON AHEAD)のnoteでどんなバンドかチェックはしていたんですが、メキシコのカルテルを連想させる目出し帽やバンダナで素顔を隠しているメンバーのアー写、「凶暴性・残虐性の高い轟音」「今の極悪ハードコアを標榜するバンドとは説得力が違う」というコメントからもただならぬ雰囲気を感じとっていて、今回実際に観るのを楽しみにしていました。

 先述した素顔を隠しているメンバー達がステージに上がる光景や、2000年代から活躍している極悪ハードコア代表として活躍し続けている貫禄もそうですが、それ以上に地獄を感じさせるデモニックなリフワークとジワリジワリと嬲り殺しにされるような感覚を覚える戦慄のビートダウンパートに満ち溢れた楽曲陣には戦慄を覚えました。「極悪ハードコア」と形容されるバンドを観るのはこれが初めてではないんですが、正直彼らほどの衝撃とインパクトを受けたことはなかったと思います。

 楽曲もそうですが、フロントマンの地獄の閻魔様張りに容赦のない超低めのグロウル、そして黒の闇深さを一層際立たせる青い照明、MCなしで展開していく楽曲の応酬とたった25分間ながらもその世界観/パフォーマンスの仕上がりは特筆すべきものがあり、モッシャーが容赦なくフロアを縦横無尽に駆け巡る光景も含めて戦慄に値するものがありました。公演の後でYoutubeに上がっているMVも暴力と狂気そのもので文字通り「説得力の違い」を感じました。


 今後のライブについて発表はないようですが、個人的にはなかなか行けていない金沢や新潟にはそろそろ遊びに行きたいな~とは考えています。同じ漆黒具合で言えばDOOMS OF GHETTOがいるNORTHLANDPUREHATE、そして重く美しいブラックゲイズサウンドを提示するRoleあたりも気になっています。


ReVERSE BOYZ

 イベントも折り返しといったところで、ここでお祭り/パーティーといえば彼らReVERSE BOYZの出番です。昨年はアーメンブレイクを取り入れた話題性抜群の ''PONPON!!'' を収録した2nd EP ''BiTCH and PiZZA'' のリリース、PDF SUMMER BASHROTTING NOISE TOKYOなど大きなステージでのライブも経験。今年も年始から自主企画 ''Babylon Killer Night Ver 2.0''が満員御礼で盛況に終わり、CombustJudiciaryなど海外のハードコアバンドとの共演なども果たしており今年もお騒がせしている様子です。

 共演した海外アクトからも定評がある、90年代後半~00年代前半のサブカルチャーを感じさせる空気感とビートダウンハードコアとミクスチャーを組み合わせたパーティー感あふれるスタイルもう音出しの時点から大盛り上がりで「リハからモッシュしようぜ」とVo.アユムも煽り立てるほど。実際始まってからもそのボルテージはフルテンで新曲 ''LFG!''や定番曲 ''PONPON!!''なども大盛り上がり、何なら曲間で流れているドリル調のビートですらMCそっちのけでしたしね。

 この日はWest Side Unityのお祭りということで、終盤には昔の曲 ''Code Red (おそらく初めてWSUの企画を行った時に無料配布されたCD収録、間違ってたら教えてください…)''や ''B.D.P''を披露。GKTやGucci、ZETTONのキスケなどWSUのフレンズたちも集合してステージから一気にフロアを煽り立てていき、フロアもモッシャー達が狂喜乱舞。そのフリーダムなスタイルは「日本のハードコアバンド」を見事に体現していて今回もカマシていました。


 ReVERSE BOYZも今後のライブが多数決まっているので詳細は公式アカウント参照でお願いしますが、次回のライブは今週末に南船場地下一階で行われるSOILED HATEKLONNS主催の企画 ''DIFFERENT SENSE'' に、地下一階で久しぶりのハードコアライブなのも面白いですがSOILED HATEは今回が解散前ラスト大阪になります。あと、個人的には6/22にYogibo HOLY MOUNTAINで行われるAzamiの ''LETTERS'' リリースツアー大阪編、同日横浜で行われるView From The Soyuzの自主企画と被ってますが、DEXCOREとの共演が面白すぎるのでこちらもチェック。


waterweed

 イベントはここから後半戦、1組目は大阪を拠点に活動している''NU-SKOOL MELODIC HARDCORE'' waterweed。飾りげのないまっすぐな感情を疾走感と泣きのメロディに乗せて爆発させる楽曲と熱量溢れるパフォーマンス、「ラウド」「ポストハードコア」「スクリーモ」という言葉からメロディックハードコアの深化を続けているスタンスには定評があります。また、Ba/Vo. Tomohiro OhgaはYogibo HOLY MOUNTAINの店長を務めており、関西のパンク/ハードコアカルチャーの発信地となっています。

 UNMASK aLIVEと同じく、今回ビートダウンハードコアなどあまり詳しくないオーディエンスにもアプローチできるようラインナップに加えられた部分がある彼ら、 ''Music is Music'' や ''Monologue''などの定番曲ではシンガロングやステージダイブなどを煽っていく感じ高速メロディックパンクチューンを連発。今回出演しているDespizeやDemonstration Of Power、WSU陣と毛色は違いますがやはり根底にはハードコアがあることを再認識させてくれます。

また、この日は''キングダム'' の主題歌 ''Deep Inside'' ~ 「治癒魔法の間違った使い方」'' の主題歌にもなった新曲 ''Cure'' までアニメの主題歌にも加えられた楽曲もセットリストに加えられていました。特に辛い現状に立ち向かうためメッセージが込められた ''Cure'' はここ最近メンタルに来ることが色々あって生で聴きたかったのでぶち上がりでしたね。惜しむらくは個人的に一番好きな ''Dreaming Dead'' やってほしかったです…


 waterweedで個人的にピックアップしたいライブはこちら、カナダのメロディックハードコアバンドBelvedereが6年ぶりに来日 & 彼らと交友の深いwaterweedは大阪・名古屋・山梨の3か所帯同が決まっています。先述の''Music is Music''のイントロで出てくるスポークンワード「音楽は音楽だ。言語が何であろうがそれは変わらない。」はBelvedereのSteve Rawlesによるもの。感慨深いです。


SAND

 さて、ここで関西ハードコアの極北SANDの出番になりました。もはやこの記事を読んでいる方は説明不要かもしれませんが、関西のハードコアシーンは90年代、特にSxSxSの影響が色濃く残っており、彼らのアー写/音楽性みたいな極悪・メタリック・ストロングなスタイルの影響だったりというところに憧れる方は多い印象です。いで立ちでいえば黒のパーカー・だぼだぼのボトム・バンダナ・手袋などですがそれはWSU陣も例外ではなく、今回WSUにとって偉大な先輩をイベントに呼ぶというのはかなり大きな意味があると感じております。

 筆者はLAST DAY DREAMVICTIMOFDECEPTIONのスプリットEPリリースツアー大阪編のゲストアクトで観たとき以来、それこそ約7年ぶりであの時も常軌を逸したライブでの殺気や暴力性に我を失ってぶち上がった記憶がありますが、2024年になった今でもそれは衰えることなく今回後ろで観ていた自分も鳥肌が立つほど異様な存在感を放っていました。開幕から ''Too Late'' ''POSER'' とキレキレのグルーヴと凶悪すぎるビートダウンを活かした、「極悪」というイメージをどこまでも突き詰めたそのパフォーマンスは流石の貫禄でした。

 7年間ライブは観ていなかったとはいえhate5sixPDF SUMMER BASHの動画でチェックはしていましたが、スラッシュメタル・ビートダウン・ニューメタルなどを組み合わせた暴力的な音の組み合わせを用いたサウンド、そしてVo. MAKOTOの「大阪スタイルは大人見じゃねえだろ!」と舐められたくない気持ちが感じ取れるような怒りの感情をむき出しにするパフォーマンスは特筆すべきところ。そこにはどこまでもストイックに「極悪」という境地にたどり着くために裏打ちされたファクターでもあります。最後の ''PIERROT'' とかマジで怖かったです…。


 次回のライブは4/14にYobigo META VALLEY / HOLY MOUNTAINの2会場で行われるFURIOUS WORLD FEST、MAKOTOとCrystal LakeのGt. YDがキュレーターを務めているイベントで、アメリカからデスメタルSuffocation、ブラックパワーバイオレンスZulu、約17年ぶりの来日となるメタリックハードコアSworn Enemyを始め、国内も豪華ゲストアクトで隙がありません。筆者は前日もCHASEDのTERRA COMBAT +Bounce out innocenceのレコ発ツアー大阪編からの2デイズなので間違いなく体が爆散します。FURIOUS WORLD FESTは特集上げると思います。



Despize

 いよいよ公演は終盤へ、ここから2組はスコットランド・グラスゴーのゲストアクトになります。まずは先月末にリリースされたデビューアルバム ''Scotland's Hardcore'' の国内盤リリースがアナウンスされたDespize。今回の来日直前でざっと音源はチェックしたのですが、モッシュグルーヴとビートダウンをちりばめた90年代のNYHCからの影響を強く感じるものの、(すごい言語化しにくくて申し訳ないですが)それだけではないスコットランド特有の空気感/感性も組み合わされていてユニークな印象でした。

 Despizeと後述のDemonstration Of Powerは今回手ぶらで日本に来たらしく、Kruelty/Dead Sky Recordings/CKS PromotionsのGt. Zumaがギターなどの機材を手配した様子。実際に下手ギタリストはEversolitude/SOLITUDE A SLEEPNESS NIGHTSのGen Sunamiのストラト使ってましたね。Vo. Andrewはその体格の良さに違わないとタフなシャウトで圧倒的な存在感を醸し出していましたが、個人的にはBa/Choを務めていた方(次のDemonstration Of Powerのフロントマン)アグレッシブなステージングには目を見張るものがありました。


 そして音源でも触れたニューヨークハードコアとその土地特有のユニークな空気感、(筆者があまりハードコアに詳しくないのもありますが)聞いたことがあるようでない、既視感を感じる様で感じないそのバランス具合も絶妙だった印象です。DOPの部分で詳しく後述しますが、今回日本への憧れは相当なものだったらしくこの日以前の公演で共演したバンドに対しても「今日出てるバンド皆すごい」「初めて日本に来たけど本当に最高!」と大絶賛していました。


Demonstration Of Power

 さて、グラスゴーの刺客2組目のDemonstration Of Power、音源チェックした限り今回ライブ観れるのを楽しみにしていたバンドです。メタリックハードコアをベースにしながらも、フロントマン「DEAD-REFORCE, T.J.Maxx,SECOND TO NONE, そしてもちろんSAND、そういった日本のバンド達から影響を受けたんだ」と語るように日本のいわゆる「極悪ハードコア」の要素も取り入れながら、Despizeと同じようにそのローカル特有の空気感と感性で独自にアレンジした音楽性はしっかりぶっ刺さりました。

 フロントマン含め、先のDespizeのメンバー3人がこのバンドとツーステージというシャカリキぶり。トリプルギターから出てくる重厚でメタリックなリフワーク・デスメタリックハードコア張りにブラストビートを取り入れたファストな展開を取り入れたかと思いきや、そこから一気に地獄に叩き落すかのようなビートダウン、そして2ステージ目とは思えないフロントマンのエネルギッシュなパフォーマンスにはフロアの熱も再びピークに。

 曲間のMCで上述した日本のバンドからの影響について言及した後、ダメ押しとばかりに神戸のハードコアレジェンドDyingraceの''After All'' カバーを披露。今回の来日ツアーで全公演(少なくとも前日東京で行われたモッシュアカデミーではセトリ入りしている)やっているかと思いますが、関西でやってくれたことに愛を感じました。


 今回の来日ツアーで爪痕を残したDespizeとDemonstration of Power、この二バンドの一部のメンバーはUKの注目度抜群メタリックハードコアバンドMourningでも活動しており、5月にはヴィーガンエッジメタルTemple Guard帯同で来日ツアーが予定されています。こちらもアルバム ''Disenlightenment'' の国内盤がRETRIBUTE RECORDSからリリースされており、90年代のNYHC〜エッジメタルをベースにデスメタルやブラックメタルといった鋭くも邪悪な世界観を提示していてバチイケなので要チェック。特に5/19に東京で行われる"Blood of Judas Vol.5"はニュースクール/エッジメタル好きな方はドストライクです。


UNHOLY11

 長い一日もついに大詰め。最後はWSU所属極悪メタリックハードコアUNHOLY11がステージに立ちます。2021年春に行われたWSU初企画での初ライブから約3年、音源は始動時のデモCD以外リリースはないものの、ROTTING NOISE TOKYO 2022, 多数の海外アクトとの共演, 自主企画 ''NEW WORLD ORDER''など精力的なライブ活動を通して各地のハードコアリスナーに指示されている印象です。筆者も初ライブから追いかけていますが、日を増すごとにVo. GKTの貫禄と音の迫力が増しています。

 Dyingrace, Center Wrong Unitなど90年代後半から00年代前半にかけて活動していた関西の極悪ハードコアバンドの音楽性を基盤にしているのは一貫していますが、ここ最近披露されている楽曲ではツービートやブラストビートなど過剰なまでの音圧で襲い掛かってくるビートダウンと対照的な要素も織り交ぜられていてダンサブル。GKTのMCでのオラつきぶりも回を増すごとに説得力を増しており、「横にいる奴はぶっとばせよ」「明日仕事だろ?ストレスなんて吐き出しちまえよ!」と煽り立てていく光景、RESENTMENT同様青を基調としたダークな照明にフロアはまさに戦場そのものでした。

 また、途中では同じ関西で活躍しており6月のBLOODAXE FESTIVALでO.A.を務めることが決定しているTiveからVo. Hajimeが客演で参加。GKTの重心の低いシャウトとは対照的な甲高いボーカルスタイルは斬新な印象を持ちました。


 この日はGt. 晴仁が「この日のために気合入れて来ました」とトレードマークの長髪をばっさりと切ったヘアースタイルでステージで臨んだり、初期から特殊構成員を務めてきたHama (SLUG,IDENTITY, remainingresidue etc.)の任期満了だったりとバンドとしても相当な気合を入れて臨んだことがわかります。最後には「ReVERSE BOYZとFallen Grace愛してる、これからも末永くかましましょう」と仲間を鼓舞する言葉と代表曲 ''In dro'' で祭りを締めくくりました…(その後アンコールではさっきHajimeがfeat.した曲をスリ & ぐっち feat. ver.を披露しました。ちなみにアユムは酒を飲んでつぶれてました)

 U11はこの日の前週に自主企画 ''NEW WORLD ORDER'' を完遂させたばかりですが、今後もLast Wishes & Headbussa, Zulu, そして先述のMourning & Temple Guardと来日ツアー大阪編のサポートアクトとしての出演が予定されています。あとは先述の通り始動以来デモしかリリースがないので、そろそろ音源のリリースも期待したいところです。


その他/末筆

 ということで全10組、久しぶりにライブレポを書いたのもあるんですが既に取り上げているバンドに対してどう新しく書き加えていこうか試行錯誤しているうちに2週間以上経ってしまいました...。冒頭でも述べた通り関西ハードコアシーンの「歴史」「現在」「未来」を繋ぐ重要な一日のように感じたのは筆者だけではないと信じています。

 個人的にはViolent Magic Orchestraの自主企画以来約4年ぶりに訪れた東心斎橋CONPASS、雰囲気も良かったしドリンクの種類も多くていい会場だなと思ったのと、CE$(she luv it), MOON SHOW (JAH WORKS), DJ ACE (JAH WORKS)のDJ3人によるレゲエのBGMが流れるラウンジもハードな音楽ばかりが集うフロアとギャップがあって趣がありました。テキーラガールまで出てきたのは流石パーティー感あふれるWSUといったところです…。

 自分たちの大先輩も巻き込んだイベントを大成功させたWSUですが、次は夏祭りということで8/10に和歌山県・片男波海水浴場で夏フェスを開催するようです。筆者も発表があってから(というか当日ポスターが貼ってましたが)どんな感じのロケーションか調べていたんですが、どうやら砂浜から少し離れた場所に野外ステージが設置されてあるようで、そこで機材を持ち込んだDIYスタイルでライブする…ということでしょうか?筆者は夏コミ行くかもしれませんが、これからの動向に目が離せません。


 今後は面白そうな公演をピックアップして特集をあげていく方向にシフトしていくと思うのでライブレポの投稿頻度は減ると思いますが、また更新されたらお手すきの際に目を通していただけますと幸いです。この記事が皆様の新しい発見の場になれば幸いです。

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