寺田寅彦 『津浪と人間』 1933 日本 20240809

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寺田寅彦 津浪と人間
 昭和八年三月三日の早朝に、東北日本の太平洋岸に津浪が襲来して、沿岸の小都市村落を片端から薙なぎ倒し洗い流し、そうして多数の人命と多額の財物を奪い去った。明治二十九年六月十五日の同地方に起ったいわゆる「三陸大津浪」とほぼ同様な自然現象が、約満三十七年後の今日再び繰返されたのである。
 同じような現象は、歴史に残っているだけでも、過去において何遍となく繰返されている。歴史に記録されていないものがおそらくそれ以上に多数にあったであろうと思われる。現在の地震学上から判断される限り、同じ事は未来においても何度となく繰返されるであろうということである。
 こんなに度々繰返される自然現象ならば、当該地方の住民は、とうの昔に何かしら相当な対策を考えてこれに備え、災害を未然に防ぐことが出来ていてもよさそうに思われる。これは、この際誰しもそう思うことであろうが、それが実際はなかなかそうならないというのがこの人間界の人間的自然現象であるように見える。
(中略)
 しかし困ったことには「自然」は過去の習慣に忠実である。地震や津浪は新思想の流行などには委細かまわず、頑固に、保守的に執念深くやって来るのである。紀元前二十世紀にあったことが紀元二十世紀にも全く同じように行われるのである。科学の方則とは畢竟「自然の記憶の覚え書き」である。自然ほど伝統に忠実なものはないのである。
 それだからこそ、二十世紀の文明という空虚な名をたのんで、安政の昔の経験を馬鹿にした東京は大正十二年の地震で焼払われたのである。
(昭和八年五月『鉄塔』)
底本:「寺田寅彦全集 第七巻」岩波書店1997(平成9)年6月5日発行
底本の親本:「寺田寅彦全集 文学篇」岩波書店1985(昭和60)年
初出:「鉄塔」1933(昭和8)年5月1日
※初出時の署名は「尾野倶郎」。
※単行本「蒸発皿」に収録。

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寺田寅彦 震災日記より
(昭和十年十月)
底本:「寺田寅彦全集 第七巻」岩波書店1997(平成9)年6月5日発行
底本の親本:「寺田寅彦全集 文学篇」岩波書店1985(昭和60)年
※生前未発表稿。
※単行本「橡の実」に収録。

https://www.bousai.go.jp/kantou100/
「関東大震災100年」 特設ページ : 防災情報のページ - 内閣府
関東大震災とは
大正12年(1923年)9月1日11時58分に、相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9と推定される関東大地震が発生しました。この地震により、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県で震度6を観測したほか、北海道道南から中国・四国地方にかけての広い範囲で震度5から震度1を観測し、10万棟を超える家屋を倒潰させました。また、発生が昼食の時間と重なったことから、多くの火災が発生し、大規模な延焼火災に拡大しました。
この地震によって全半潰・消失・流出・埋没の被害を受けた住家は総計37万棟にのぼり、死者・行方不明者は約10万5000人に及ぶなど、甚大な被害をもたらしました。下表のとおり、近年の大震災と比べても、その被害規模と社会経済的なインパクトは極めて大きかったことが分かります。

https://note.com/fictitiousness/n/ncc1023aa5194
津波34m 死者231,000人 南海トラフ巨大地震の被害想定について 内閣府政策統括官(防災担当) 2019.06 巨大地震注意 南海トラフ地震臨時情報 気象庁 2024.08.08 地震 震源 M7.1 日向灘 2024.08.08 日本 20240809|極論空手形 / Extreme Argument Fictitious Bill

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