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原画展をはしごしたら

食べてばかりだというのに、1日の歩数がぐんぐん減っている。

春だ。外に出よう。
おいしいものだけでなく、うつくしいものも摂取したい。

神奈川県民、国境(と書いて多摩川と読む)を越えて、東京へ。

渋谷の公園通りは外国人観光客のほうが多く、本当に国境を越えたのではと錯覚するくらいだった。

今日は、原画展のはしごだ。

■ ひみつストレンジャー展

スピッツのアルバム『ひみつスタジオ』におさめられた全13曲の歌詞を、画家のjunaidaさんが物語として可視化した歌画本『ひみつストレンジャー』。

その原画展が、渋谷PARCOで開かれた。  

「ほぼ日曜日」のギャラリースペース

土日は整理券も出る混雑ぶりだが、平日だったのでゆったりとしていた。

ツアーも一緒に回ったi-Oくんがお出迎え

実はまだ『ひみつストレンジャー』そのものを手に取っていない不届き者。

絵本だし、草野さんが描いたわけじゃないし、失礼ながらjunaidaさん存じ上げないしな、となんとなく見合わせてしまっていた。

この日のわたしのコートの色と同じ青

チケットは数種類の絵柄があり、ランダムであてがわれるらしい。

この青い子は、劇場版『きのう何食べた?』の主題歌になった『大好物』の絵物語に登場するキャラクター。

原画1枚のみの接写はNG

着色されているものもあるが、下書きはすべて鉛筆のようだ。線や陰影がやわらかくて、あたたかい。

『Sandie』という曲の歌詞に出てくる、「しなやかで/オリジナルなエナジー」というフレーズがしっくりくる。

見終わったころには、すっかりjunaidaさんのタッチのとりこになっていた。

「君の大好きな物なら/僕も多分明日には好き」という大好物理論(と勝手に呼んでいる)が立証された。

紫の夜を越えて

そもそも、なぜ草野さんがjunaidaさんに惹かれたのかが気になっていたのだが、原画をじっくりみて、分かったような気がする。

かわいいけれど、不思議な世界観。

でも、細部は真実をえぐっていて、ほの暗いところもある。
草野さんが紡ぐ歌詞と、親和性がある。

そして、絵全体のまるみ、やわらかな空気を纏ったふわりとしたアウトライン、陰影をつける線の間隔や長さ。

草野さんがファンクラブの会報で毎回披露しているイラストのタッチと、どこか似ている。

壁に描かれた「参上!」のサイン

左が草野さん、右がjunaidaさんのサイン。
丸っこい文字も、似ている。

会場ではBGM+αの音量で『ひみつスタジオ』の曲が流れ続けているのだが、わたしの頭の中では『大好物』が流れ続けていた。

映画に出てきたカラメルりんごが食べたいな、とうっすら思いながら、会場をあとにした。

■ しばいぬと春のおやつ展

渋谷PARCOから徒歩2分、渋谷ロフトで開催されているのは、イラストレーター村田夏佳さんが描く『しばいぬと春のおやつ』展。

ロフトの売り場の一角なので、無料で閲覧できる。飾られている原画は、最終日に販売するそうだ。

団子にまみれる柴犬たち

大福、草餅、みたらし団子、いちご大福、桜餅。

お菓子のうえに小さな柴犬がたわむれているという、こちらも不思議な世界観なのだが、そんなことは気にならないくらい愛らしい。

かわいいものにかわいいものを掛け合わせたら、すこぶるかわいいのである。

ポストカードやピンバッチ、ポーチなどのグッズもところせましと並べられており、夢中になってしまった。

わずか二畳ほどの空間に、30分は居座っていたと思う。

迷わず買ったポストカード

カラメルのグラデーションが実にリアル。濃淡といい、染み具合といい、垂れ具合といい。

プリンの天面のふちがほんのちょっと盛り上がってエッジが効いているところとか、イラストの風合いを残しつつも再現度が高くて驚く。

ブースのしつらえもかわいい。こういう、整然としながら雑貨が多い部屋が理想だ。

なんだか、無性にカスタードプリンが食べたくなった。

黄色と茶色に、白い生クリームと赤いさくらんぼが乗っているだけで、どうしてこんなに心をつかまれるのか。

ダイソンも驚きの吸引力。

ちょっと草野さんぽいなと思って買った

■ ペンギン喫茶

ちょっと移動して、新宿へ。

Suicaペンギンやチーバくんの生みの親、坂崎千春さんの原画展が、伊勢丹アートギャラリーで催された。

その名も、ペンギン喫茶。

グッズ販売はないものの、原画と版画の販売が行われている。
原画はすべて成約済みで、隠れている値段はおそらく一点数十万。

さすが伊勢丹のお客様だ。

ペンギンが喫茶店でお茶やお菓子を飲食している、という不思議な世界ながら、すんなり受け入れてしまう、かわいさの二乗。

アクリルの色彩があざやかだ。
グレーの部分は、原画だとキラキラしている。

ペンギンと文鳥がマカロンパーティーする世界線に、わたしも行きたい。

おしゃべりよりも、緑と黄色どっちのマカロンを食べようか真剣に悩んでいそうな右下の子、気が合いそうだ。

草餅と煎茶、カレーパンとチャイ、あんぱんと牛乳、豆大福とほうじ茶、最高の組み合わせはどれかを問う、四連作?の作品は、パステルカラーが春めいている。

張り込みをする予定はないが、あんぱんと牛乳かな。

ペンギンの頭のまるみ、目のまるみ、草餅のまるみ、テーブルのまるみ、飲み物の水面のまるみ。

構図は同じでも、ペンギンの表情が微妙にちがう。シンプルなベタ塗りなのに、ペンギンがおいしそうにほおばるから、とても魅力的だ。

版画は、予約を受け付けている。

この、『ペンギンとプリン』が圧倒的な人気だという。版画も、開始数日で予約受付を終了したそうだ。

やはり、カスタードプリンと生クリームとさくらんぼは最強の組み合わせなのだ。

近々、どこかの喫茶店で、生クリームとさくらんぼが乗ったカスタードプリンを食べよう、と強く心に決めて東京をあとにする。

感性は豊かになったが、つい食べもののことを考えてしまい、糖分が切れた。

ふと、横浜で北海道展をやっていることを思い出し、プルマンベーカリーのアップルパイを購入する。

カレーパンが有名なパン屋だが、ここのアップルパイはシナモンを使っておらず、バターとりんごの甘みが程よくて、大好物。

北海道にしか店舗がないので、催事を待ち構える

10000歩以上歩いたし、結局のところ、うつくしいものだけでなく、おいしいものも摂取したいのである。

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