見出し画像

楽器を弾かないアリー・ウィルス【星野源のおんがくこうろん】

今回はアリー・ウィルス特集。デトロイト出身のアリー・ウィルス、全く知らないな…と思っていましたが、番組が始まると同時にかなり聞き覚えのある楽曲が。Septemberは私も通勤電車でリピートしていた時期がありました。バーディヤー♪

Septemberの作詞をモーリス・ホワイト(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)と共作したのがアリー・ウィリス。しかも、アリー自身、バーディヤーの部分は仮の歌詞で、後から別の言葉に置き換えられると思っていたそうです。意味のない歌詞であったがゆえ、バーディヤーの採用に反対していた。そんなエピソードを知ってから聴いてみると、また違ったおもむきがありますね。

アリー・ウィリスの代表的な曲

プレイリストはこちら。

Boogie Wonderland、聴いてみると思わず体が動き出すようなリズムです。意外なことにBoogie Wonderlandのテーマは現実逃避だそうで。

アリーから影響を受けているという噂のある「Week End」、聴いてみましょう♪

シホかいせついん

初登場のシホかいせついんについて。中の人は渡辺志保さん。音楽ジャーナリストで、ヒップホップを中心としたブラックミュージックや黒人文化に詳しい音楽ライターです。

モータウン

モータウンとはレコードレーベルの名称で、Motor townモーター タウンの略。アリーの音楽の原点は、10代の頃にモータウンの庭で聴いていた音楽にあったそうです。

レコーディングスタジオから漏れ聞こえてきたフレーズで音楽を身につける…ストーリーとしては美しく聞こえますが、未成年期は苦難から早く抜け出したかったことがうかがえます。

「ほんとはやってみたいけど親に『意味がない』『役に立たない』と言われた」という話を聞くことがあります。複雑だったアリーの家庭事情を聴くと、実は楽器をやってみたかったのではないか?と思わざるを得ません。

アリー自身、父親からは「アフリカ系のカルチャーには近寄るな」と言われていたものの、複雑な家庭で過ごした反動で黒人のカルチャーに傾倒していった可能性があるとのこと(ヨシかいせついんより)。

アリーはインタビューの中で、

・モータウンが青春時代のすべてだった
・音楽を聞いていると気分が明るくなる

と答えています。

この話の流れで星野源が、若い時にどんな曲を聴くかという点に触れていました。私が若い時に聴けた音楽はごくわずかでしたが、今やインターネットさえあれば音楽を浴びるように聴くことができます。みなさんは、10代の頃に聴いた音楽の影響というとどんなものがあるでしょうか。

なお、モータウンからはマーヴィン・ゲイやスティービー・ワンダーなど、人気と実力を兼ね備えたアーティストが生まれているそうです。デトロイトの音楽環境とエネルギーはすごいですね。悲しい場所から抜け出し、気概を持ち続けたからこその音楽だと思いました。

ディレクション

アリー・ウィリスは楽器を演奏しません。そのため、他のミュージシャンと合同で音楽を作ることが中心だったそうです。合同制作、楽しそうな響きです。

仕事にはいろいろなタイプがあります。雑に分けると、

・ディレクション業務
・指示どおりこなす仕事
・同じことを繰り返す仕事
・臨機応変な対応ばかりの仕事
ゼロから1を作り出す仕事
・ブラッシュアップする仕事

この中でもアリー・ウィリスはディレクション業務に頭角を現していたようです。タイプ毎に難しさはあると思いますが、判断しながら指示を出す仕事は人柄も良くないと続きません。人柄に問題があれば、周りは離れていきますから。

アリーはさまざまなキャリアを経て、2005年にミュージカル「カラー・パープル」を手掛けました。カラー・パープルのクライマックスで、主人公が自分の決意を歌った曲がI'm Here(2016)。

最期のプロジェクト

アリー・ウィリスの集大成である「The D」というプロジェクト。デトロイト讃歌です。歌もさることながら、5,000人以上の協力を得て作られた音楽と映像に心打たれます。高齢になっても音楽への熱意をもって表現し続けたいものです。

パペットがノってる映像

パペットと人間が音楽を聴いてノリノリになっているシーン。これが絵になる番組は他にあるでしょうか?色々な番組で活躍してきたパペット。ほんわかして癒される。喋らなくても音楽の楽しさが伝わってきます。

数年前まで、私も「楽器が弾けないと立派な音楽は作れない」と思い込んでいました。楽器を弾けなくてもグラミー賞クラスの音楽を制作したアリー・ウィリス。番組で彼女の人生を知り「明日から音楽頑張ろう」と思ったのは私だけではないはずです。


読んで下さりありがとうございます。読みやすいコラムを目指します。