「サージウスの死神」を読む・物語の主人公は呪われている
佐藤究の「サージウスの死神」には、ギャンブルに取り憑かれている破滅的な主人公が登場する。地下カジノに通い詰めるために会社を辞めて、昼間からルーレット盤を見つめて賭け続ける。途中で今が昼か夜なのかもわからなくなる。錯乱と破滅。勝負を邪魔する客がいれば鏡の割れたままの薄汚いトイレで殴り倒す。カネを賭けまくって預金が底をついても特に感慨をおぼえない。後戻りできない。ギャンブルで決めた数字に賭けるということと、「ひっこみがつかない」という喧嘩上等な性格がうまくシンクロして描かれてい