はなし

某音楽事務所で小さく小さく働かせて頂いています。小説を読むこと、書くことが大好き。新人…

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某音楽事務所で小さく小さく働かせて頂いています。小説を読むこと、書くことが大好き。新人賞に向けてがんばって執筆中です。

マガジン

  • 小説と建築

    小説と建築を結びつけたエッセイです。まだ、あんまりうまくいってないです。伸びしろしかありません。

  • 小説について考える記事

    だいたい軽めのエッセイになりますが、小説論や創作論と少し絡めて書いています。

  • 個人的にお気に入りの記事

    個人的にお気に入りの記事です。

  • 小説と料理

    小説と料理を結びつけたエッセイです。まだ、あんまりうまくいってないです。

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はなしはこんな人です

 自己紹介文にとりかかって、何も書けないまま数か月が経ちました。  せっかくnoteに投稿をするのだから、箇条書きのポイントを埋めていくような書き方はしたくない。きちんと誠実に人生を振り返ってみようと思っていたのですが、本当に書けることがない。まず最初の投稿は自己紹介からと思っていたんですが、いきなり頓挫しそうでした。  僕の名前は「はなし」と申します。現在30歳で、小さな音楽事務所のスタッフをしています。特別なご縁があってお仕事をさせていただいていますが、世間から見ればボラ

    • 小説書きの同士に、改めて薦めたい本はない。しかし……

       おすすめの本はありますか?  noteに限らず、ネット上でありとあらゆる人が「名刺代わりの10冊」とか「作家志望におすすめの5冊」とかおすすめの本を挙げてくれているので、ああいうリストが自分にもあればかっこいいなと思っていた。  本当は、読者がじぶんで選ぶのが一番尊く、楽しいのだ。そのことは承知の上で、なんとなく自分のルーツというのか教養というのか外に示せるものがあればいいなというのは、履歴書的な考え方ではある。紙にリストを書いて「よろしくお願いします」的なお辞儀をして

      • 「どくろ杯」「ねむれ巴里」を読む。民族的ルーツをもった風景。あと少し建築の話。

         なんとなく「風景描写を楽しめる小説は強い」と思っている。冒頭に入る花鳥風月や、登場人物の住んでいる建築について描かれると、より熟読したくなるし、じぶんでも魅力的な風景描写をしたいと常に思っている。  中央にブロッコリーみたいな木があって、横に赤い三角屋根の一軒家がある。お父さんとお母さんと私が横一列に並んでいる。遠くにはきれいな川が流れている……。  いきなりとんでもない書割だが、僕なんかは風景描写を考えるときに最低限のことしか考えられない。茫漠としたイメージはあるのだ

        • 前記事「「雨を知るもの」を読む」をnote公式さんがマガジンに追加して下さいました。 この機会を与えて下さった秋田柴子さん、noteさん有難う御座います。

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        記事

          「雨を知るもの」を読む。誰にとっての「事件」だろうか?

          (秋田柴子先生がやまなし文学賞佳作を受賞されました。 読者の内の一人として、僭越ではありますが、お祝い申し上げます。本当にご受賞・ご出版おめでとうございます!  以下の感想と考察は少しネタバレが含まれますので、未読の方はご注意下さい)  小説を書いていると、意識的にも無意識的にも「事件とはどんなものか」と考えるようになる。  ミステリー小説でも純文学でも、大抵の場合、話の中心にあるのは事件である。何故なら、事件を通じて人間関係が変わり、その前と後ろとを検討してはじめて、「

          「雨を知るもの」を読む。誰にとっての「事件」だろうか?

          前記事「「宙返り」を読む」を編集し直しました。うぅーむ……。もしよかったら、読んでみて下さると嬉しいです。

          前記事「「宙返り」を読む」を編集し直しました。うぅーむ……。もしよかったら、読んでみて下さると嬉しいです。

          「宙返り」を読む。理屈を超えた、瞳のちから。

           謝罪会見というのは、気が重いものである。  いや、実際に聴衆を集めて謝罪会見をしたことなんてない。けれど権威のある年配の方が、じぶんの人生が固まってきたときにガラガラと瓦解するかのような勢いで土下座したりしているのを見ると、「あぁ、恐ろしいな。きっと気が重いだろうな」と想像する。  僕自身も、日々のなかでミスを犯して謝罪することはしょっちゅうあるのだが、もちろんそれとはスケール感が違う。従業員たちを裏切ることになるとか、家族を路頭に迷わせることになるとか、多くの人生が大

          「宙返り」を読む。理屈を超えた、瞳のちから。

          「サージウスの死神」を読む・物語の主人公は呪われている

           佐藤究の「サージウスの死神」には、ギャンブルに取り憑かれている破滅的な主人公が登場する。地下カジノに通い詰めるために会社を辞めて、昼間からルーレット盤を見つめて賭け続ける。途中で今が昼か夜なのかもわからなくなる。錯乱と破滅。勝負を邪魔する客がいれば鏡の割れたままの薄汚いトイレで殴り倒す。カネを賭けまくって預金が底をついても特に感慨をおぼえない。後戻りできない。ギャンブルで決めた数字に賭けるということと、「ひっこみがつかない」という喧嘩上等な性格がうまくシンクロして描かれてい

          「サージウスの死神」を読む・物語の主人公は呪われている

          文筆家、人の話を鵜呑みにする

          批評が出来る人間は格好が良い。 長い射程で世の中を見つめながら、ジャンクな言葉の海に捨てられた真理を掬い上げる。はじめて東浩紀や鷲田清一の文章を読んだ時に、心が解きほぐされれる感触があったが、この10分の1でも自分に知性があればいい。その知性を元手に、お金が複利で増えていくみたいに賢くなれるといいなと思っている。  とりあえず自分の眼で世界を見て、色々な人の言葉を吸収して、そのためにニュースサイトも読んで……というこまごました地道な努力をしている内に、気づくことがあった。

          文筆家、人の話を鵜呑みにする

          人生のためにならない話も、漬物樽に入れておく

           この日はお昼のおやつを食べるために、駅前のマクドナルドに向かっていた。天からスポイトで一滴ずつ光が落下してきて、垂直に腹の底に波紋を作っていくような、さわやかな空腹感があった。空腹というのがこんなに明るいものなのかとみずから驚きながら、途中で横断歩道に差しかかった。信号が青になるのを待っていた。年齢も服装もバラバラの人々が真横に並んでいて、そのはすかいにある奥まった隘路から、絵画から飛び出してくる虎みたいに車が走ってきた。  そろそろ青になるかなと、一歩だけ前に進んだその

          人生のためにならない話も、漬物樽に入れておく

          「テスカトリポカ」を読んでいます・構成は生き物だ

           (若干ネタバレあります)  今読んでいる佐藤究の「テスカトリポカ」の感想をノートにまとめている。まだ4分の3ほど進んだところなのだが、途中経過としてここに書いてしまう。  素晴らしく面白くて、かつ独特の小説だ。エンタメとして面白い以上のなにか稀有な秘密があるはずだと思う。  たまにこういう小説を読む機会に恵まれるけれど、構成が生き物みたいにオーラを放っている。「起承転結」や「ハリウッド3幕構成」といったものを超えて、構成が話を盛り上げるためのツール以上の輝きを持ってい

          「テスカトリポカ」を読んでいます・構成は生き物だ

          note執筆にAIが導入されるかも?

          (僭越ながら結論から述べさせていただくと、僕は生成AIに関して否定的です。ここでは呆れられるような、技術論抜きの幼稚な「感想文」しか書いていません。申し訳ありません。もしよければ、ご容赦下さい。それでも読んでやるか!という方には最大限の感謝を致します)  note代表の深津貴之さんがtwitterに書かれた声明を読んだ。  そうか、noteの執筆にもAIが関与するようになるかも知れないのか……。実装は未定なうえ機能もハッキリしないので、今の時点では何を言ってもいい加減な応

          note執筆にAIが導入されるかも?

          なんの専門分野も持たない、子供が主人公の小説は「軽い」のか?

           読み始めた小説が、例えばいきなり食事中の雑談から始まると 「これって、エンタメとしては禁じ手なんじゃ……」と思ってしまう。 光景として凡庸すぎるということだ。午後7時くらいに食卓を家族で囲む。お爺ちゃんが魚の煮つけの感想を言う。 「このエラの下のビロビロは食べれないんだよ」とか蘊蓄も言う。 母や姉が、「お前この時間までゲームしてたけど、もう宿題やったのか?」とか子供に聞きもする。 昭和の家族ドラマのような湿っぽい出だしだが、僕は「これから掴みがでてくるのかな…

          なんの専門分野も持たない、子供が主人公の小説は「軽い」のか?

          宇宙語でしか説明できないことがある

           定期的に足を運ぶ喫茶店で、この日もお茶をしていた。常連がたくさんいる喫茶店で会話も起こりやすい。いつものように談笑していたら、ドアの鈴が鳴って、初老の紳士が入って来て、コーヒーを注文した。この老紳士こそが宇宙開発事業に携わっている偉い社長さんだった。立派な髭をたくわえて、袖から出ている厚ぼったい褐色の両手は、過去にきっと町工場で部品をつくってきたような雰囲気があった。「下町ロケット」みたいだ。  貴重な機会なので、僕たちは社長さんからたくさんの仕事の話を聞いた。  日本

          宇宙語でしか説明できないことがある

          記憶に残したい2023年の抱負

          あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。  例年通りにお正月をゆるゆる楽しんでいたら、記憶喪失になりました。1日から7日まで何をどう楽しんでいたのか思い出せない。僕はお酒を飲みませんし、人に会うこともない。つまりメリハリのない無味無臭の快適さに漬かっていて、何も頭に残らなかったわけです。  唯一探れそうな記憶は初詣です。神社の階段を埋め尽くす人の波に僕も加わって、体感1時間ほど寒さに震えながら抱負を考えていました。手袋をしてきて良かったなぁとか、10

          記憶に残したい2023年の抱負

          わぁ!陰謀論って大好き!

             冷戦以降の世界の歴史はすべて謎の人物「P」によって形作られている。  「P」はもともとハンバーガーの間に挟まっているピクルスの生産加工業者で、男か女かもわからない。ただ神秘的に、生涯独身だった。ピクルスの生産に生涯を捧げたからだ。  世界中がアメリカのハンバーガーを食卓に招き入れたのを皮切りにして、その人物「P」の意志が波及した。彼はピクルスにある暗号を仕込んだのだ。ピクルスの流通が世界的に増えたことで、誰もが知らぬうちに「P」の意志を口にし、ある者は暗号を解き、

          わぁ!陰謀論って大好き!