編集長のつぶやき <フェルマー出版社>

スペインへ向かう飛行機の中でフェルマー出版社は立ち上げられた。 自分たちで本を作り、自分たちで販売する。利益はなくてもいい。自分たちが納得できる書籍、それを作りたい。夢と希望と理想を求める本作りの旅が始まった。

編集長のつぶやき <フェルマー出版社>

スペインへ向かう飛行機の中でフェルマー出版社は立ち上げられた。 自分たちで本を作り、自分たちで販売する。利益はなくてもいい。自分たちが納得できる書籍、それを作りたい。夢と希望と理想を求める本作りの旅が始まった。

    最近の記事

    #023 お気に入りのマスキングテープ

     ものを受け取った人が、ちょっと幸せな気分になる。そのような工夫をすることが日課になっている。  このマスキングテープは大阪に住むOさんが送ってくれた。使用済み切手のデザインで図柄が素晴らしい。ハサミを使わなくても手で切ることができるので作業もスムーズだ。何よりも、書籍を受け取った人がちょっと嬉しい気持ちになってくれるかもしれないと期待することが楽しい。使用済みの古切手には温かみがあり、ほんわかとした気持ちにしてくれる作用がある。  あっという間に使い終わったので、どこで購入

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      • #022 3人のサイン 『万年筆談義』

         万年筆研究会WAGNERの森睦さん、画家の古山浩一さん、そして私の3人が『万年筆談義』発売の数ヶ月後に、フェルマー出版社で表紙の裏にサインを書いた。森さんと古山さんのサインはデザイン性が高くて実にかっこいい。限定100冊。  作業が終わったらワインを飲もうと用意していた。まあ、2〜3時間はかかるだろうと予想していたが、予定時間の半分もかからずに作業は終わってしまった。ワイン効果による集中力。素晴らしい。  森さんと古山さんとの付き合いは30年近くになる。2人の創造力・発信力

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        • #021 『万年筆談義』 まえがき

           そこに行けば万年筆の情報を豊富に得ることができる。万年筆談義をすることができる。一人でも参加できる。万年筆に関する企画を立てることもできる。ミニ学習会や教室を開くこともできる。そこには修練を重ねた職人がいて、時間をかけて修理やペン先調整をしてくれる。クライアントが納得できるまで職人は付き合ってくれる。  自由度が高い。技術力が高い。大人の遊び場として究極のもの。  このような理想的な空間を多くの人が長いこと望んでいた。しかし、これらの条件を全て満たすことなど考えられないこと

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          • #020 『万年筆談義』

             1980年頃から1990年頃、ボールーペンに押されていた万年筆に新たなライバルが登場した。ワープロとパソコン。家電量販店には争うように新機種が並んだ。ワープロ・パソコン関連のムックが飛ぶように売れた。その影で、文房具屋の万年筆売り場は年々縮小され、万年筆関連の書籍も出版されなくなってきた。店仕舞する万年筆専門店もあり、そのうち万年筆は消えていくのではないかと思われた。まさに凋落という単語がピッタリする状況だった。  その後、万年筆は再び注目されるようになったのだが、そのとき

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            #019 愛用の辞典 三省堂GEM

             三省堂の国語辞典GEM。この辞典との付き合いは、もう30年になる。縦11センチ、横6.5センチ。手のひらに収まる感覚が気持ちいい。手に取らない日はない。鮮やかな赤色だった革の表紙はくすんだ薄茶色になっている。小口の金色の塗りも、指が当たる箇所は色が薄くなり取れてしまった。  教員をやっていたときに書いた学級通信や組合のニュースのことを思い出す。生徒たちに伝えたい思い、職場の問題点とそれを改善するための取り組み。それらを、このGEM片手に書いた。手書きだった。一文字、一文字と

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            #018 切り絵作家 辰己雅章さんからの絵葉書 『鞄談義3』

             『鞄談義3』で、切り絵作家 辰己雅章さんのことを書いた。彼とはスペインへの旅で知り合った。辰己さんにとっては海外旅行と言えばスペインで、出会った旅が15回目のスペインだと言っておられた。他の国には興味はないと。 「そんなにスペインばかりで、飽きないですか」 「スペインへの旅の目的は何ですか」  私の質問に対して、辰己さんは明快に答えてくれた。 「飽きないね。何度来ても」 「旅の目的はないよ。ただビールを飲んでボーとしているだけ」  実際、新しい町に着くと、辰己さん、すぐビー

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            #017 私のデビュー作品?

             『鞄談義3』の打ち合わせをやっていた際、私の「CAFE・鈴木のマスターのバッグ」のイラスト画を、私自身が描いたらどうかと古山さんから言われた。古山さん、自身の作品制作のためイラスト画を描く時間がないのか、それとも、もうイラスト画に疲れてしまったのかは分からないが、私にとっては、とんでもない話であった。  絵は全くの素人。書籍の1ページに掲載するなどということは、有り得ない話だ。それを「それさあ、でべそが描いてみたら?」と古山さんは、あっさりと涼しい顔で言った。彼は私のことを

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            #016 『鞄談義3』 古山浩一さんのイラスト画

             『鞄談義3』を製作するにあたって、画家の古山浩一さんに鞄のイラストを依頼した。『鞄談義2』は写真で構成したので、『鞄談義3』は絵で構成しようということになったのだ。その後、古山さんは自身の制作活動の合間を縫って、一枚一枚イラスト画を描いてくれた。古山さん個人の作品であれば、それは制作であるから、創造性のあるものでよい。しかし、書籍『鞄談義3』のイラストとしての絵となると話は違ってくる。  特に、巻頭のエースのカバン博物館に展示してある鞄の絵となると、これは神経を使う。正確さ

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            #015 『鞄談義3』 まえがき

             鞄は文化である。  これは命題だ。命題というのは、解決を要する課せられた問題のことであり、数学の場合、その内容が真(正しい)であるのか偽(正しくない)であるのかの判断を迫られる。そして、真であるとすればそのことを証明してみせなくてはならず、偽であればそのことを証明するか、または少なくとも一つの例外を提示しなくてはならない。  そもそも文化とは何か。辞典にはこのように記されている。  人間が本来の理想を実現していく活動の過程。その物質的所産である文明に対して、特に精神的所産の

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            #014 『鞄談義3』

             発行は2017年6月1日。この『鞄談義3』から、編集の全てを私がやるようになった。『鞄談義2』までは剣先太郎さんがやられていた。  特集はエースの「世界のカバン博物館」。何度も取材し、館長の廣崎秀範さんには大変多くのアドバイスをいただいた。博物館には10回近く行ったと思う。  巻頭のカラーページでは古山浩一さんのイラスト画が、館長の廣崎秀範さん、鞄専門店Fugeeの藤井幸弘さん、同じく鞄専門店ORTUSの小松直幸さんらの話とともに掲載されている。表紙の絵も古山浩一さんのイラ

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            #013 小林鞄 トートバッグ

             『鞄談義2』で特集した小林哲夫さんの工房に行き、オーダーしていたトートバッグを受け取ってきた。小林鞄の定番の一つで、20年間憧れ続けてきたもの。ガッチリとしていて、A4サイズのファイルが縦に入り、肩にも掛けられるトートバッグ。私の残りの人生のよきパートナーとなってくれることだろう。  実は小林さん、ある年に、もう鞄は作らない宣言をした。理由は、自分の残りの人生の長さを考えると、作った鞄のメンテナンスができないということ。責任を持てない仕事はしたくないと。いい革が入手できな

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            #012 『鞄談義2』 トラのある小林鞄

             この写真は『鞄談義2』のカラーページのもので、鞄は私所有の小林鞄。背景は松本市にある古い旅館「まるも」の入り口。小林さんの所に取材に行き、松本で一泊したときに撮影したものだ。  この鞄のことは『鞄談義2』にも書いたが、かぶせと本体の前面にトラがふんだんに入っている。トラというのは、縞模様のことで、牛の首の後ろ辺りの革ではないかと思う。シワというかスジというかムラというか濃淡というか、とにかくイレギュラーな感じが嫌がられるので、鞄を作る際、普通は使われることのない部位だ。

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            #011 『鞄談義2』 小林鞄

             写真は『鞄談義2』の巻頭カラーページを撮影したもの。  長く使われた小林鞄で、小林さんがユーザーからのメンテナンス依頼を受けたものだ。  取材に行った際、これが小林さんの工房に置かれていて、思わず見入ってしまった。長く使ったバッグは、ここまで豊かな表情になるものなのだ。汚れがユーザーの生き様を語っている。どのような方なのだろう。お会いしてみたい気持ちになった。  小林さんは鞄全体を見て、必要とあらば糸を解き、全部を分解して補強しながら縫い直す。全体のフォルムを感じながら縫

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            #010 『鞄談義2』 まえがき

             音楽を聴いた瞬間、その曲が流行っていた頃の記憶が鮮明に思い出されることがある。その頃の空気のようなものまでが心の中で再現される。私の場合、それは何故か、ほろ苦い思い出であることが多い。  鞄にもそういう一面がある。部屋の片隅に置かれている鞄を見るとき、または鞄に触れるとき、その鞄をメインで使っていた頃の記憶が甦る。私の場合、それは何故か、ほろ苦いながらも人生のプラスになったことの思い出であることが多い。  その当時、自分がどのような夢や希望や理想を持って生きていたのか、どの

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            #009 『鞄談義2』

             『鞄談義2』は2015年8月31日に発行された。毎年1冊のペースで発行していこうということでスタートした鞄談義シリーズであるが、最初の『鞄談義』から4年も経ってしまった。  執筆者は以下の通り。   剣先太郎(自動車関連会社経営/写真家)   杉山明信(茗渓学園教諭/成城大学講師)   太田垣博嗣(システムコンサルタント)   鈴木健嗣(資産防衛コンサルティング会社経営)   神津正男(ジェットエンジン開発従事者)   古山浩一(画家/絵本作家/随筆家)   ボンジョルノ松

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            #008 『鞄談義』 もはや幻の書籍に・・・

             写真は『鞄談義』の裏表紙である。『鞄談義』出版当時、この面を上にして店頭に並んでいる書籍を見つけた人が、「もう新しい『鞄談義』が出たんだぁ〜」と喜んで手に取った。しかし、それが既に発売されている『鞄談義』の裏表紙だと分かった瞬間、幻の『鞄談義』となったという話を聞いたことがある。  出版から10年。既に『鞄談義』は完売してしまった。在庫の問い合わせを多くいただいており、再販して欲しいという声もいただいているが、今のところ、その予定はない。在庫を保管しておく場所がないという

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