見出し画像

#089 e+mのボールペン

 万年筆愛用家のなかにはボールペンが苦手だという人もいるが、私はケースバイケースでボールペンも使っている。
 e+mとの出合いはクラッチペンだった。5.6ミリ径の芯を装填して使うクラッチペンに夢中になった時期があり、何本も買った。どれも魅力的なもので、特にゼブラノと呼ばれている、木目が鮮明な縞模様になっているものを好んで使っている。
 クラッチペンを使っていたら、e+mのボールペンも視野に入るようになり、e+mのボールペンが1本1本と増えていった。木製の軸が程良く太くて、手にしたときの感覚が万年筆とほぼ同じであることが嬉しかった。

 写真のe+mのボールペンは、e+mのなかでも異質なものだ。このスリムな形状が面白くて、また、木の種類がそれぞれ異なるのも面白くて、3本まとめて買い求めた。しかし、やはり、やや細くて使い辛く、時々手に取っては悪戯書きなどに使っている程度だ。
 同じ雰囲気の万年筆があっても購入することはないだろうと思っている。ボールペンだから購入した。私にとってはボールペンは、万年筆とは異質な遊びの世界の対象のようだ。

 ところで、このe+mのボールペンだが、どうしちゃったの? というくらい値段が高くなっている。私がe+mに夢中になった数年前の3倍くらい。なかには4倍というのもある。この値段だと、もう買えない。あの時買っておいて良かったぁ~と胸を撫で下ろしながら、あの時、これも買っておけば良かったなあなどと、殊に美しい木軸のe+mのボールペンの写真を見ながら欲の面を張ったりもしている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?