今「火花」の事を書き始めた好井氏は天才なのかもしれない
Netflix制作ドラマ「火花」。
みなさんご存知の又吉直樹氏の芥川賞作家受賞作を一番最初に映像化したのがこの作品である。
そこに、主人公徳永の相方、山下役で出演していた好井まさお氏が、先週突然ドラマの思い出や裏話をnoteで綴り始めたのである。
まずは好井さんに感謝の気持ちを伝えたい。
沢山の貴重なエピソードを書いてくださって、本当に有難うございます。
枯渇していた湖民にとって恵みの雨
湖民とは、SNSにおけるここ数年の間に林遣都ファンになった人達(私も含む)の呼名である。
朝ドラ「スカーレット」終了後、唯一の現場だった朗読劇が中止になり、生で見るどころか、彼の消息は完全に絶たれた状態になった。
映画出演の発表はあったが、来年の話だし、この流れではそれもいつ公開出来るか分からない。
Twitter上には「ちゃんとご飯食べてるのかしら」「フラフラお外に出たりしてないかしら」などと彼の生活を心配するオカンが溢れ、他の芸能事務所が色々発信しているのを見ながら「自撮り写真1枚でいいから元気な顔を見せてくれ」「マネージャーさんからの報告メールでいいから、うちの子が元気か教えてほしい」「なんなら電報でもいい」などと、息子の安否確認を欲するオカン…いや湖民の心の叫びが響き渡っている。
そんな時に突然、好井さんの連載が始まったのだ。
息をするように課金する
湖民の枯渇ぶりを知っていて書き始めたなら、マーケティング能力の高い素晴らしい策士だし、たまたまこのタイミングだったとしたら「天才やな」としか言いようがない。
そのくらい素晴らしいタイミングだった。
好井さんはお金払ってまで読んでる私たちを変態と言っていたが、甘い。
湖民たちの「火花愛」は尋常ではない。
正直、同じ沼にいる私でもちょっと引くくらい、凄い熱量で火花を繰り返し観ている。だからドラマの話はいくらでも聞きたいし、ましてや相方の好井さんが「火花の話するよ」なんて言ったら、それはもう流れるように300円のボタンを押すわけです。
目を閉じてもどのシーンか分かるくらい、繰り返し見ている人達が、どんな風にそのシーンが撮影されたかを知れることは、本編とはまた別の価値がある。
文字から湧き上がる尋常ではない熱量
毎日更新されるだけでも凄いですが、それより凄いのは読んでいて、とても4年前(撮影は5年前?)とは思えない熱量で綴られていること。
荒削りな文章だけど、だからこそ「火花」という作品と、作品に関わる人々をどれだけ愛しているかリスペクトしているか、怖いくらいに伝わってくる。
しかし、さすがネタを書く芸人さんである。
それだけの熱量なのに、読んでいて全然重くない。
普通あの愛情と熱量で語られたら、胃もたれしそうなところだけど、彼の文章を読んでいても全く胃もたれしない。
なんなら一緒に胸が熱くなるし、読みながらもう一度そのシーンを観たいと思いながら、同時に笑い転げている。
そしてちょいちょいおかしい遣都氏へのツッコミもキレが良くて愛を感じる。
もうずっとふたりでスパークスやったらええやん!とか思ってしまう。
何より、好井氏が映像の世界を全く知らない所から始まっているから、読者も置いてきぼりにならずに同じ目線で一緒に熱くなれる。
ここはとても大きいと思う。
この連載を他の誰かがやっても、こんな風に気持ちが巻き込まれることは多分ない。好井氏にしか出来ないこと。
っていうか、毎日日記付けてたなんてマメすぎる…爪の垢を煎じて飲みたい…。
知ってから見るか知らないで見るか
ドラマ化の発表を聞いた時、原作が良かっただけに不安と期待でソワソワし、当時そこまで浸透してなかったNetflixに恐る恐る加入した記憶がある。
(この時はまさか林遣都に堕ちる日が来るとは夢にも思わなかった)
一話を観終わり、ただただ贅沢なドラマだと思った。
普段ドラマよりも映画を観て暮らしているので、今作を観た時に「映画を作るようにドラマを作っている」と感じた。このクオリティで全10話なんて、地上波では絶対できないな、すげーなNetflix!と。
好井さんの連載を読んでいると、それが更に裏付けられていく。
あの量を順撮りしてるとか、本人のスイッチ入るまで同じシーンを撮り続けるとか、贅沢の極み。どんだけ時間と予算を確保してたのだろうか。
そして何より、彼の目線からではあるが制作側の情熱をとても感じることができる。
正直、映像作品の評価は完成したものが全てだ。
だからこそ、作り手は全力を注ぐ。
そう思うとまた本編を観たくなる。
すると、裏側を知らなかった時よりも更に思い入れを持って観ることになる。
これが作品のファンを、更に濃いファンにしていくのではないだろうか。
作品を観たことない人が読んだとしても、彼の語るような軽快な文章を楽しく読むうちに、きっと本編にも興味を持つ。
有料記事なので、なかなか未視聴の人に届けるのは難しいかもしれないが、もし届けば確実に視聴者数を伸ばすことになるだろう。
(どんな作品も、初見は何の情報も入れないまっさらな状態で鑑賞した方が、フィルターのない正直な感想を持てると、個人的には思いますが…)
「終わって欲しくない」という気持ち
記事中で、撮影が終盤に近付いてきて、終わってしまうのが寂しいというようなことを書かれていらっしゃいましたが、今まさに私たちは(少なくとも私の周りの人達は)この連載が「終わってしまうのは寂しい」と思っています。
そんな訳で、コンパクトにまとめたりせず、書きたいこと全部残らず書く勢いで、しばらく連載を続けていただけたら嬉しいなぁ…と思っている次第です。
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