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宮内義彦著(2014)『グッドリスクを取りなさい!』ダイヤモンド社

至極真っ当なご意見

本棚の奥に眠っていた本を読んでみた。
オリックスの成長を支えてきた人の考え方がコンパクトに纏まっている本である。

まずは世の中を読み取る大局観を感じること。そのためには自分の専門性を高める必要があると説いている。専門性の土台の上に大局観の現実を見る目、特に現場を体感する重要性があるという。

また会社は自分をアウトプットする場であり、自分自身で学び取り、受け身ではいけない。人脈も仕事に関係ある人脈よりも仕事に関係ない人脈が大切。縦割りの蛸壺には入らないように自分を戒めよなど、色々と観点は広い。

また、会社は面倒を見てくれるものでもなく、企業活動は「時代」と「技術」、「社会システム」の3つの要素から進むべき道が見えてくると説いている。著者はアメリカの例を出し、馬車から鉄道、自動車へと交通手段が変遷していくのに鉄道会社で自動車産業にシフトできたところが無いと。日本でもテレビ局が当初動画サイトをバカにしていたが、今はむしろテレビ局側の経営が危ない事態になっている。そのように技術や社会システムは変化するが、その本質はあまり変わらないのかも知れない。

宮内氏の面白い見解としては、多様性が企業の強みとなることを強調しているところにある。多様性に富んだ人材を無理矢理に既存の型に押し込まず、異質な要素をどう活かすかを考えることと説いている。そしてリーダーに必要なのは専門性と人間力であると述べている。その専門性と人間力というキーワードが、本書を読んだ後に一貫して主張したかったこの本の本質であることがわかるのである。

わたしはこの手の本を読むときには、時の成功者というのは、ある程度運を味方につけてきた人だと思うけれど、それでもどこかに魅力はあるのだろうと思う。そのエッセンスだけでも感じられれば、読まないよりは読んだほうが良いと思う次第である。

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