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今こそ素直にピンクを受け入れる時。

今回は、インテリアに欠かせない「色」のお話。その中でもピンクを取り上げます。インテリアのベーシックカラーとして使われる白でも黒でも茶色でもなく・・・ピンク。あんまり興味ないわーという方もいらっしゃると思いますが、実はこの色、結構複雑で奥深い背景があったんです。

私が好きな映画、音楽、ファッションの世界を通して考えてみたので、そのあたりの引用情報も多めです。カルチャー話にもご興味あれば、ぜひお付き合いください(最後はちゃんと(?)インテリアの話をしています)。

2023年はピンクの年!

PANTONE®社が発表した2023年を表す色は「Viva magenta」。ただのマゼンタじゃない、赤みが強いピンク。温かみを感じつつも、キリッとシャープで華やか。そして、なんだか意思の強さを感じる色だと思いませんか?

そのほかにも、Z世代から絶大な支持を集めるゼンデイヤが最近の授賞式でピンクドレスを披露して話題になったり、他の俳優のドレスもピンク色の多さに注目が集まりました。

公開前から欧米で話題沸騰になっている映画「Barbie」も、文字通りバービー映画とあってピンク一色です。この映画から、「Barbiecore(バービーコア)」という言葉も生まれ、ピンク色がファッションのみならず、インテリアにも影響を及ぼしています。(それにしても、映画公開前なのにブームになっているのがすごい。)

現代においては、「取り扱い要注意」な色?

個人的に、ピンクほど論争を呼ぶ色は無いんじゃないかと思っています。なぜならば、この色は長らく女の子の色というイメージがあったから。最近では、「男の子はブルー、女の子はピンク」というステレオタイプな育て方を避ける風潮もありますよね。私も、友人に女の子(生物学的な性別)が生まれたとき、出産祝いにはあえてベージュや黄色など、ピンクを避けるときもありました。好きな色なんですけど。

でも、実はピンクが女の子の色になったのは、戦後なのだそうです。一説では、アメリカのアイゼンハワー大統領夫人のお気に入りの色だったとか、ケネディ大統領夫人も好んで着ていた色だったとか。もしかすると、テレビと広告の時代の幕開けとともに、根拠なきピンク色のブランディングが出来上がっていたのかもしれません。

一方で、伝説的バンドThe Clashのポール・シムノンが、「ピンクは真のロックンロールの色だ」と発言したこともあるそうです。(後年、ハリー・スタイルズがローリングストーン誌のインタビューでこの言葉を引用しています。ハリーも性差を超えたファッションで有名ですね)。

このロックンロールのイメージは、もしかすると1930年代が由来かもしれません。この時代、デザイナーのエルザ・スキャパレリがショッキングピンクの色を生んだと言われています。ココ・シャネルと同様、古い女性像を刷新する力強いイメージとして、当時センセーションをもたらしたそうです。

さらに、中世ヨーロッパまで遡ると、ピンク色は女性的な色とみなされておらず、むしろ、赤に由来することから、「火」、「強さ」などの力強いイメージがあったそうです。

なんだか奥深いピンク色の世界・・・。

なぜ今ピンクがトレンドなのか?

こうしてピンク色のイメージを辿ってみると、ふわっとした女の子の世界観からロックンロールまで、ギャップがすごいですよね。こんなに乖離したイメージをもたれる色って他にあるでしょうか。ある意味、そのくらい人を惹きつける魅力が強い色なのかもしれません。

一歩間違えると、受動的な女性の色として見られてしまうピンク。それが今年を象徴する色として選ばれたのは、むしろ、こういう幅広いイメージを包括する色が、多様性そのものを表しているからなのではないかと思います。

フェミニンさを表現するためにピンクを使っても良いし、力強さやユニークさを表す色として使っても良い。喜びやグラマラスさを表す色として、どんな性別の人が着ても良い(そういえば、最近ではサム・スミスがピンク色の鮮やかなドレスを纏って話題になりました)。情熱的な赤とクールな青の間で架け橋となって、変幻自在にイメージを変えられる色が、むしろ今っぽいのかもしれません。

ピンクって実はインテリアに使える色

突然ですが、あなたの部屋に、ピンク色のものはありますか?「ピンクって女の子って感じがするし、可愛すぎて使わないよー」と思っている方もいるかもしれません。でもピンクって、色合いによってはベージュのようにニュートラルなカラーとして使えるんですよ。

下の写真のように、淡いピンクのソファを入れることで、明るく落ち着いた雰囲気にできますし、

グリーンとの組み合わせで、ちょっと個性的だけれど大人っぽいトーンも実現できます。この組み合わせは我が家でも採用しています。

こちらが我が家のベッドルーム。ピンクのベルベットカーテンと、緑のアクセントウォールです。

個人的に、このデザイナーの家がとても好み。ピンクのソファがあることで、可愛らしさよりもむしろ、余裕を感じるカッコ良さが際立っています。

こんな風に、ピンクはあらゆるテイストの部屋に使えます。性別関係なく、ぜひインテリアに取り入れていただきたいカラーです。

男らしさとか女らしさとか関係なく、ジェンダーフリーに使えるピンク。この記事を通して、ピンクの新しい魅力を感じていただけるきっかけになれば嬉しいです。

ではまた次回の記事でお会いしましょうー。

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※トップ画像は、昨年ポルトガルのリスボンで泊まったお部屋。ピンクの壁が印象的でした。


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