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小説に耽溺したい人にお薦めの三冊

April 28. 2019

今月から来月の読書。『月の本棚』なら、「耽溺する」の章に置くに違いない、寝食を忘れて読み耽ってしまう二冊『雪の階』と『アップルと月の光とテイラーの選択』を猛烈な勢いで読み終えて、それでもまだ、江國香織さんの新刊『彼女たちの場合は』があって、わたしの連休はすでに満ち足りている。

『アップルと月の光とテイラーの選択』はカズオ イシグロのように、英語を母語とする日本人作家のフィクションで、英語で書かれたのを翻訳したものだ。

ジャック・キングという、不動産王で実業家でテレビでも活躍し、外国人が諸悪の根源だと説くとんでもないひとが大統領になる世界とその終末。移民などマイノリティーや核の問題、環境や抗がん剤の問題、AIと雇用、宇宙物理学と宇宙の成り立ちの秘密、死後のスピリチュアルな世界に至るまでを、10代の女の子の目を通して鮮やかに綴っている。その著者が高校生ということに驚いて、感動する。この本についてはまたゆっくり書きます。

宇宙は紙コップのなかに、吹きやまない風のなかに、リンゴと月の光のなかにある。わたしは宇宙のなかにも、外にも存在している。わたしは宇宙のひとかけらなのだ。だから答えはわたしのなかにある。ふとそんなことが心に浮かんだ。まるで、誰かにささやきかけられたみたいに。

ジョン・レノンの〈アクロス・ザ・ユニバース〉を聴きながらもう一度読みたい。



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