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映画館に行こう

amazonプライムだか、Netflixだか、ディズニープラスだか、Apple TVだか知りませんが、そんなもので観る映画は、映画ではありません。

 映画は、映画館で観るものです。

 まず、映画館に行く、という行為そのものが能動的です。映画を観る心構えが違います。そして、「よし、この映画を観てみよう」というスタンスの人たち、言わば同じ嗜好の人が集まるその空間、暗闇の中で物語に集中できるその時間は、なんと幸せなひとときでしょう。単に画面が大きい、音が大きい、椅子がいいといった設備のことだけでなく、”映画館へ行こう”、と家を出た時からワクワクは始まっているのです。

 遠足は、家を出て帰るまでが遠足、旅行は、行先で何を楽しむかでなく、その”過程”も楽しむものなのです。えぇと……つまり、映画館で観ることで、ワクワク度はより高まり、その映画を観たという旅、経験がより深くあなたの大切な思い出となって刻まれるのです。スマホの小さな画面などでは記憶に残りません。日劇で観た『スターウォーズ』、新宿ミラノ座で観た『グーニーズ』、渋谷パンテオンで観た『アビス』、銀座シネパトスで観たアル・パチーノのB級映画『88ミニッツ』、川崎チネグランドで観た『男はつらいよ』、横浜東宝会館で観た『ミザリー』…そして、一人で観た、家族と観た、彼女と観た、映画館を出たら辺りは暗く、雨が降っていた…そんな記憶が映画と共に刻まれる。そして、それが一生忘れられない映画との出会いであったなら、なんと幸せなことでしょう。

 という訳で、今回はジム・キャリー主演の名作『マジェスティック』(2001:アメリカ、監督フランク・ダラボン)の名セリフを紹介したいと思います。マーティン・ランドーが古ぼけた名画座(「マジェスティック」という名の映画館)を復活させようと、ジム・キャリーに映画の魔法について熱く語りかけるシーンです。

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(この映画館は)
昔は宮殿のように輝いていた。
だから ” 威風堂々(マジェスティック)”の名が

大人も子供もチケットを買って — ここを通る
” はい どうぞ、ごゆっくり お楽しみを ”

この建物に入れば そこからは夢の世界だ
悩みがあっても 一度ドアをくぐれば ―

チャップリンさ そしてキートンにロイド
ガルボにゲーブル 
J・スチュアート J・キャグニー
フレッドとジンジャー そんな ” 神々 ” が —

あそこで動き出す 銀幕は神殿だ

映画館に来る幸せを忘れたか?
映画を見る感動を


なぜ家にこもって テレビなど見る?
便利だから? 座って気軽に観られるからか?
そんなものが娯楽と言えるか?
他のみんなはどこだ? 観客は?

夢の魔法は?

そうとも みんなが映画の魔法にかかる

映画館で見ることで

— 字幕 : 石田泰子 —

 いいセリフですねぇ。
 フランク・ダラボン監督は名作『ショーシャンクの空に』(1994)と、『グリーンマイル』(1999)をつくった監督ですが、地味ながらもこんな映画愛に満ちた作品をつくってくれています。ジム・キャリーも、いつものオーバーアクトを抑えた静かな演技で、なかなかいい味出してますよ。

 それではまたみなさん、映画館で逢いましょう、

 サヨナラ サヨナラ サヨナラ


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