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【ニュースコラム】自学ノートの明日佳くん感謝状を手に新聞記者と面会

―リリーさんをたじろがせる少年のノートがnoteの原風景かも知れない

NHK-BS1『ボクの自学ノート~7年間の小さな大冒険~』という番組が話題となり、後にNHK地上波でも放送された。番組は文化庁芸術祭テレビドキュメンタリー部門優秀賞を受賞。

NHK地上波で放送され話題を集めた番組が、BSで完全版として放送されることはよくあるが、逆のケースはそう多くない。

小学館から『ぼくの「自学ノート」』として出版もされている。

■自学ノートとは

自学ノートとは、梅田明日佳さんが興味を持ったことを調べて綴るノート。新聞記事や雑誌の切り抜きを貼ったり、現地に取材へ行けばその写真を貼り付けたりもする。もちろん、イラストもある。そんな、なんでもありのとにかく自由なノート。唯一のルールがあるとすれば、必ず明日佳くんなりのコメントを書いていること。

明日佳くんの自学ノートは、中学生のとき「第9回子どもノンフィクション文学賞」を受賞する。選考委員を務めるリリー・フランキーさんが番組のインタビューに、こんな(おとなしい)感じですけどグイグイ来ますから、みたいな話をなさっていたように思う。

自学ノートのきっかけは、小学校3年生のときに出された自由課題という宿題。そのとき、選んだ題材が「小倉祇園太鼓の銅像から太鼓のばちが消えた」という読売新聞の記事だった。

現在、明日佳くんは大学受験を控えた高校3年生。以前から、きっかけになった記事を書いた記者に会いたいと願っていて、それがようやく実現した。

■明日佳くんの魅力

読売新聞の記者に手作りの感謝状を持参する。素朴というか純朴というか、そんなところが明日佳くんの魅力である。

何でもとことん追究する明日佳くんは、博物館や図書館などの社会教育施設はもちろん、会社やお店にも訪問する。自学ノート作りを応援する空気が次第に広まっていく。

「子どもノンフィクション文学賞」を受賞する前から、すでに地元では“知る人ぞ知る”になっていた。これも、明日佳くんの魅力がなせるワザであろう。

無人島で有名なナスDがプロデューサーを務める、テレビ朝日系列『博士ちゃん』という番組がある。番組制作の手法として白眉である上に、間違いなく面白い。

しかしながら、演出という側面もあるのだろうが、『博士ちゃん』に出てくる子どもたちには、少し違和感を覚えるときがある。明日佳くんとは違い、子どもらしさがないのである。

■フォーマルとインフォーマル

少し難しい話になるかも知れない。

教育の世界において、フォーマルエデュケーションとインフォーマルエデュケーションという言葉がある。

フォーマルエデュケーションとは、基本的には学校などの公教育のことを指す。インフォーマルエデュケーションとは、学習塾や資格試験学校など私教育のことを指す。

ただ、学校教育の中にも、フォーマルとインフォーマルは存在していて、フォーマルが授業、インフォーマルが社会見学や遠足などの校外学習などに分けられる。

フォーマルの長所は、画一的かつ大量に繰り返し情報を与えることが可能なところである。インフォーマルの長所は、深く強い情報を与えることが可能なところである。

このnoteで触れたCMの話は、まさにこのことである。校外学習の一環として、松下村塾へ行くなどインフォーマルの場を提供することは構わない。ただし、フォーマルな場で唱和させるのは違うのではないかと思う。

明日佳くんは、いわば自家発電型のインフォーマルエデュケーションをずっと行ってきたことになる。

■自学ノートとnote

自学ノートをよく考えてみると、これってnoteでやっていることなんじゃないのかと思う。

大人か、子どもか。
アナログか、デジタルか。
自己完結か、共有か。
違いは、たったそれだけ。

明日佳くんの姿勢に見習うべきところは、あまりに多い。

明日佳くんの自学ノートにnoteの原風景を見たような気がする。

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