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Diorの香水 宇宙の気体ブランド「ミスク」

シャネル。バーバリー。グッチ。
お洒落なブランド品の高級感。

果たして人はそこに何を求めているのか。

■ブランドとは


まず、「ブランド」の定義である。
グロービスの記載を見てみよう。

ブランドとは、ブランドとは、顧客と企業の共通の認識であり、また、顧客に期待を促し、それに応えるものと言える。フィリップ・コトラー教授は、「ブランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ」と定義している。

ブランドは具体的には、顧客にとっては、選択の拠り所や使用・経験の満足を高める機能を果たすほか、他の製品・サービスを探す手間や失敗のリスクを回避でき購買の効率が上がる、心理的な満足感が高まる、などの効用を持つ。企業にとっては、信頼を寄せる顧客のブランド・ロイヤリティを得て、安定的かつ長期的な収益基盤となるものであり、プレミアム価格の設定や競合に対する競争優位の構築をも可能にする。

我々は通常、ブランド・ネームやロゴ・マークなど、そのブランドを表現する記号、シンボルなどによってブランドを認識しているが、こうした要素のみならず、そのブランドから想起されるイメージや価値観など、さまざまな部分からブランドは形作られている。ブランドとは何かと問われたときに、それなりに知っているはずなのに、一言でうまく説明しにくいのは、こうした有形・無形の複合的な価値によってブランドが構築されているからである。

https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11952.html#:~:text=%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E6%95%99%E6%8E%88%E3%81%AF%E3%80%81%E3%80%8C,%E3%81%A8%E5%AE%9A%E7%BE%A9%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

つまり、「無形・有形問わず価値観により顧客と共通の認識を有する事、それを期待させる事」がブランドそのものであると言うことだ。

■場面定義


では、特定の企業に対してどんな共通認識と期待が出来るだろうか。
場面を定義して考えてみる。

〇購入者
 40代女性、独身、事務勤務、年収450万、関東近郊在住、学生時代(テニスクラブ)の友人多数、趣味はインテリア収集
〇友人
 40代女性、既婚、5歳女児、パート勤務、世帯年収700万、購入者とは18年来の付き合い
〇場面
 友人の誕生日にお洒落な古民家風カフェでお祝いをする5日前、定時後に百貨店に赴き誕生日プレゼントの香水を購入する

さて、この場面においてどんなモノを購入するだろうか。
購入者の思考として例えばこんなモノが挙げられるだろう。

・(私も)友人も好きな可愛らしい外観の香水が良い
・普段家庭の事ばかりで自分にお金がかけられていないだろうから、多少高い方が喜ぶかもしれない
・(子供もいるので)あまり強すぎない香りが良い
・40代で保有していても恥ずかしくないブランドが良い

こんなところだろうか。

頭にこんな事を考えながら百貨店を歩き回り、ディオールの香水を見つけて買ったとしよう。

ミス ディオール オードゥ パルファン ¥23,100

■場面における「ブランド」


この過程における「ブランド」はどんな内容だろうか。考えてみよう。

・40代女性が身に着けていても恥ずかしくない、違和感が無い
・高級感がありつつ可愛らしさがある
・多くの人が使ってきた「信頼」「人気」があり品質に問題が無い
 =良い香りである

こんなところだろうか。
顧客とこの「高級感」「かわいらしさ」「世代感」「信頼」を共有し、顧客に「期待」させているのである。
さらに「数」「年数」を重ねる事でこの「期待」が強化されていく。

さらにこの「ブランド」を考察する為に場面を追加してみよう。

■場面追加 宇宙ブランド「ミスク」


百貨店にこんな商品があったらどうだろうか。買うだろうか。

〇宇宙のブランド「ミスク」
 (読み方は不明だが)日本人が聞くと「ミスク」と聞こえる宇宙のブランドがある。宇宙で大人気のこの老舗ブランドは宇宙で使え、体にまとい続けられる気体を販売している。

この気体は微細に発光するとともに、軽度の衝撃であれば吸収が可能だ。気体を封入する気体ビンの見た目は及び香りは自由にカスタマイズが可能で、呼吸によって気体を吸い込むとリラックス効果も得る事が出来る。
価格は¥23,100としてみよう。

■追加場面における「ブランド」


この商品を見た時「ブランド」は有効だろうか。

まず、可愛さや価格感についてはディオールへの期待と同様になるはずである。又、香りについてもクリアされているはずだ。
発光は不要だろうが、「信頼性」について言えば「宇宙規模」で「老舗」なのだから地球上の「信頼性」より遥かに高いはずである。

しかしながらこの購入者は「ミスク」の気体は買わないはずだ。
なぜなら、この購入者自身が「ミスク」のイメージを保有していないからである。購入者からすればなんだか良く分からない怪しげな商品になるだろう。
「自分自身」と「その周囲」が相互にブランドへの期待を保有していなければ意味を成さない。

■終わりに


「ブランド力」は何よりも「共通認識」と「期待」を生み出す事が重要である事が良く分かった。
逆に言えばこれさえ生み出せてしまえば、自発的な購買を生み出す事が出来るだろう。

ただ、私だったら気体に期待して「ミスク」を買うだろう。阿呆である。

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