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【おうちで発酵・漬物】#12 柔らかで丸みのある酸味が美味しい「ギリシャ風まるごと発酵キャベツ」でひよこ豆とのトマト煮

冬になると食べたくなるキャベツの煮込み。
冬キャベツをそのまま使ってももちろん美味しいけれど、よりその味が恋しくて仕込むのがギリシャ風の「まるごと発酵キャベツ」。数年ぶりに思い出して漬けてみた。

このやり方は15年ほど前、ギリシャ旅行を機にギリシャ料理にはまり、いろいろ調べて作りまくる中で知った。これを使うと煮込み料理はぐんと美味しくできる。ブイヨンやコンソメなど使う必要は全くない。緩やかな発酵による柔らかな酸味が、煮込んだ時や軽く炒めた時に素晴らしい威力を発揮するのだ。
それほど前からつくっているのに自分の中で「ザワークラウトに近い」発想がなかったのは、用途がずいぶん違ったからかも知れない。
ザワークラウトなら私はホットサンドやフラムクーヘンにのせて焼くのが好きだし、ソーセージや塩豚と煮込みたくなる。ギリシャ風のこちらはバターで炒めてトマトで煮ることが最も多い。それが一番美味しいからで、結果的に現地の料理に近い用途で使っているようだ。

初めてつくった時には「待つ期間が長いなあ」と思ったものだが、梅干しをはじめ漬物づくりにすっかり慣れた今では「塩水にどぼん!と入れて待つだけなんて楽だなあ」と思う。
ザワークラウトは漬ける際刻まなくてはならないし、塩を計って揉んだりぎゅうぎゅうに詰めたりせねばならない。力仕事だ。そのための容器も要る。その点こちらは洗って芯を除き、薄い塩水に浸すだけ。キャベツが顔を出さないよう重石はするが、基本的にやることはそれだけ。塩しか入らず、形もまるごとなので用途がとても広い。工夫次第でいろいろな料理に活用できる。

という訳で、先月買ったキャベツが固くて使い切れず、半分を発酵キャベツにした。つい癖で重量を計り5%の塩は…と計算しそうになったが、この場合重要なのはキャベツが浸る水の量とそれに合わせた塩の量。或いは、予め5%の塩水を大きめの樽などにつくってその中に入れてもよい。

なのでこの重量に特に意味はないのです

久しぶりに漬けてみて、ザワークラウトとはずいぶん味わいが異なると思った。こちらの方がずっとやさしい味になる。キャベツを直接揉むのではなく、塩水にどぼんと漬けるやり方が酸味をまるく柔らかくするのかも知れない(或いは私がザワークラウト作りが下手なだけかも…)。現状夫にはギリシャ風の方が「酸味が柔らかくて美味しい」とはるかに評判が良い。ザワークラウトにはローリエやキャラウェイシードも使ったが、ギリシャ風は塩だけで漬けているせいもあると思う。

《ギリシャ風まるごと発酵キャベツの漬け方》材料はキャベツと塩のみ

1) 芯を除いたキャベツ(一個丸ごとでも。私は使いやすい半分で漬けることが多い)を漬物袋等に入れ、重石をした際安定する状態にして(私は袋ごとひとまわり大きな容器に入れます)全体が浸るまで計量しながら水を入れる。今回はキャベツ半個に対して約1.5リットルの水を使った。
※予めキャベツが入る大きさの容器や袋に塩分5%の塩水をつくって入れてもよいです。やりやすい方法で。

2) 水に合わせた分量(今回は約30g)の粗塩を溶かし、袋の空気をゆるやかに抜いて口を縛り、キャベツ全体が塩水に浸るよう重石(なんでもいいです)をする。これで仕込みは完了。

3)基本的には放置でOKだが、1週間後ぐらいから漬かり具合や色を見て何度か角度を変え(上下や左右を返す)、発酵臭がして全体が好みの漬かり具合になったら完成。発酵を止めるため、保存は冷蔵庫で。
漬け込み期間の目安は冬季の室内(暖房なし)で10日~2週間ぐらい。もし白っぽい産膜酵母が出た場合、食べても大丈夫だが味が落ちるので、洗って膜を取り除き、冷蔵庫に移して早めに使う方が良い。

・・・と書いたが、今回膜を発生させてしまった。仕込んで約3週間後に気付き、軽く洗って(水は減らしてよい)冷蔵庫へ移動。

個人的にこの発酵キャベツが最も美味しくなるのはひよこ豆とのトマト煮だと思っている(写真はソーセージがのっているが、献立都合でのせただけ。一緒には煮ていない)。ひよこ豆特有の香ばしい風味が発酵キャベツに殊の外よく合い、炒める際にバターを使うのもポイント。これで驚くほど味がどっしりとする。発酵キャベツのやさしい酸味と旨味が煮込むことでトマトと調和し、とても美味しい大好きな一品。発酵キャベツに塩気があるので、基本的に味付けは要らない。

《ギリシャ風発酵キャベツのひよこ豆入りトマト煮》レシピ:だいたい2人分
◆材料
・発酵キャベツ(水切りは特にしなくて良い。漬け汁もあれば使用):約1/4個分
・玉ねぎ:大きさに応じて1/4~半個
・茹でひよこ豆:1/4~1/3カップぐらい。茹で汁ごとだともっと良い
・有塩バター:大さじ半分程度
・缶詰のカットトマトまたはホールトマト(つぶしておく):1/3缶程度
※生のトマトを刻んで使ってもよいです
・パプリカ(パウダー):大さじ半分程度
※なくてもよいが、入れると風味が深まりコクが出るのでおすすめ
・ローリエ:お好みで1枚

◆作り方
1)発酵キャベツは太めの幅(1~1.5cmぐらい)にざくざく刻み、玉ねぎは薄切りに。

2)鍋か深めのフライパンにバターを入れて火を点け、溶けてよい香りがして来たら玉ねぎを加えて弱火~弱めの中火で色が変わる程度に木べら等でやさしく炒め、次に発酵キャベツを加えて火を少し強め(中火)、水分を飛ばすようにやや香ばしい香りが出るまで炒める。

3)ひよこ豆を汁ごと(茹で汁は旨味が出る)とトマトを加え、少しぐつぐつさせて缶臭さを飛ばしてからパプリカを加え、全体によく馴染ませる。

4)ひたひた程度の水(キャベツの漬け汁を大さじ2程度加えても美味しい。入れ過ぎるとしょっぱいので注意)とローリエを加えてひとまぜし、蓋をして弱火で15分程度、全体に煮汁が馴染んでしっとりするまで煮てできあがり。味付けは不要だが、足りない場合は塩で調整。

この日の食卓。手前はランプレドット風の牛もつです

発酵キャベツ、本当はロールキャベツをつくるつもりで仕込んだのだがまだ作れていない。まあでもトマトと煮るだけでじゅうぶん美味しいので(目玉焼きをのせるのもおすすめ)、よかったらお試しください!


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