【詩】雨
今日の雨はなんだか泣いているように感じた
「どうして泣いているの?」
そう聞いても、今は決して答えてくれなそうな、そんな涙
その涙は「消えてしまいたい」とでも言うような、でも、思いが強すぎるせいでかえって存在感を示してしまうような、大きくて、重くて、速くて、まっすぐな、涙だった。
傘を閉じて、涙が両手いっぱいに溜まるまで
君に寄り添って話を聞いてあげたかった
本当は包み込むように抱きしめてあげたかった
でも、そうするには、僕は小さすぎて
だから、これが僕にできる唯一の気がして
あの日の雨はなんだか怒っているように感じた
「どうして怒っているのか?」
それに気づいてすらいないことに
もっとも怒っているような、そんな怒り
なだめようにも、反省しようにも、原因が分からずに、皆、家へ閉じこもる
君は大声をあげ、しきりに何かを訴えている
僕が人間であるばっかりに
君の声を聞いてあげられない、君の主張に応えてあげられない
君の怒りは
「地球を汚すな」かもしれないし、
「命を粗末にするな」かもしれないし、
「そんなこと」ではないのかもしれない
君の声が僕に届かないように、僕の声も君には届かないのだろうか
でも、君の怒りはこうして僕に届いている
言葉や意味のトンネルを通らずに、感情はワープする
僕の感情もワープして、君に届くのだろう
「泣きたいときは泣いていい、怒りたいときは怒っていい、でも、やりすぎないでね」
通らないトンネルをせっせと作って、僕は満足する
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