抜け道
子供の頃、目的地にたどり着くまでの
長い距離にうんざりしたことを思い出した。
変わらない風景に、息詰まる思考、次第に
若い無敵の肉体も静かに勢いを落とす。
そんな時、神様は見捨てたりしなかった。
蝶々が珍しく手に止まったり、
虹が顔を突然に出したり。
ある日は、細い抜け道を発見すると
飽きない新鮮なルートから目的地に
あっという間に辿り着いたりもした。
大人になった私は、幾度あの頃から変わっていない。
些細な感情に振り回され、一喜一憂する。
今日だって、割と小さな出来事に一憂して
テンションは一足先に梅雨モードへ突入した。
もうどうしても元気になれない。
想定外に心はクタクタだ。
無心で、ジュースを飲んだ。
これでした。
大人の抜道。
飲みものを飲む。
割と単純で手を伸ばしやすい
癒しに私は気づかなかった。
時の流れが緩やかになり
いらない感情もどこかに流れていった。
こういう小さな抜道という癒しは
日常に潜んでいて、窮地から救い出す
あなたを、わたしを。
あなたの抜け道も、きっと存在している。
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