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2022年10月の記事一覧
【超短編小説】 白すぎる部屋
「白。この部屋、白すぎですわ」
「はい、こちらは白すぎるお部屋になっておりまして、お住まいになられる方にはこの白さを保って頂いております」
「いやいや、どうやっても汚れますやん」
「そうですかね。住人の方はお掃除を丁寧にされ、お家にある物や身に着けられている物も白い物ばかりです。最近では住人の方なのか壁なのか分からなくなるほどです」
「いやー、流石にちょっと厳しいですわ。ツッコミどころ満載
【超短編小説】 リンゴはどこに行った?
一粒の飴を口の中に放り込む。
甘いリンゴの味が口の中に広がった。
飴は私の身体の中に浸透する。
「あ、今、リンゴで満たされてる」
流れる血も胃の中もリンゴ色に変わっていく。
「たぶん、私の身体はリンゴで構成されているんだろうな」と
馬鹿げたことを考えながら、
口の中で転がした。
すると、だんだんと飴が小さくなって、
リンゴともお別れがやって来た。
「まだ、行かないで。ずっといて