【超短編小説】 変わらぬ朝
いつもと変わらぬ朝。
カーテンを開けて窓の外を眺める。
特に予定など決まっていない。
こんなに早く目覚めたところで時間を持て余すだけだ。
何もかも空っぽで、何もかも退屈であった。
しかし、考え方を変えてみると、
時間があるということは余裕があるということではなかろうか。
退屈であるということは何かしてみたかったことを始められるということではなかろうか。
そう考えれば、変わらぬ朝も悪くない。
私が日常を忙しなく過ごしたばっかりに、そのような考えも生じなかったのだ。
どうも最近は世の中が目まぐるしく、落ち着く間もなかったのだ。
田中修はそう考えたのだ。
それが田中なりの答えだった。
田中は家を出て、ゆっくりと歩き始めた。
彼の横顔には希望が満ち溢れていた。(完)