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映画『チェンジリング(1980年)』感想

古い屋敷に隠された残酷な悲劇


【あらすじ】

妻と一人娘を交通事故で亡くした
作曲家のラッセルは
心機一転するべくシアトルに移住した。

ある古い屋敷に引っ越したラッセルは
ようやく新生活を始めようとするが
不思議な怪現象に見舞われる。

ある日、水音に気づいたラッセルは
風呂の蛇口がひとりでに
水を流しているのに気づく。

その時、水面に青白い肌をした
小さな男の子が現れる。

ラッセルは屋敷で以前何かあったのではと疑い
屋敷の前の持ち主や事件について調べるうちに
隠された悲劇を知ることになる。

【感想】

タイトルのチェンジリングとは、日本語で
「取り替え子」という意味があります。

妖精が気に入った可愛い子供を攫い
代わりに醜い子供を置いていく

という西洋の伝説が由来しています。

本作はその伝説をモチーフにした
サスペンス要素が強いホラー映画です。

幽霊屋敷を舞台にしたミステリーホラーですね

本作の裏テーマは
「親による子殺し」だと思います。

本編では主人公のラッセルが
屋敷の過去の記憶を見るシーンが
何度か出てくるのですが

その中で父親が自分の子供を
風呂に付けて殺しているシーンが出てきます。

(今だと間違いなく規制がかかってテレビ放映されないですね)

元々「取り替え子」の伝説自体、背景には
特に障害を持つ子供を排除する口減らし
絡んでいるのでえぐいんですよね。

今回ウィキペディアで
「取り替え子」について調べてみたところ

例えば、ヴィクトリア朝時代に
足の不自由な息子を
「妖精が取り憑いている」

風呂に何度も漬け込み
息子を溺死させた母親がいました。

その母親ですが
最終的に無罪になったそうです…怖い。

今の時代だと
間違いなく虐待で訴えられそうですが

昔の時代は
迷信がまだ強く信じられていたんだな
と思いました。

私自身は『取り替え子』について

障害を持つ子どもを排除する正当な理由に
『取り替え子』の伝説ができたのでは…

と感じました。

本作の最大の元凶は
少年の幽霊(名前はジョゼフ)の父親。

作中で、ジョゼフは生前
祖父から莫大な遺産を受け継いでおり

彼の父親は遺産に目がくらみ
ジョセフを殺し

代わりに養子をもらったことが
明らかになります。

しかもその養子に
息子と同じ名前を付けるという…

最後、ジョゼフは
養子を心臓麻痺で殺害します。

そもそもの元凶であるジョゼフの父親は
既に他界してしまっているので

ジョゼフの父親が罰せられないことに
私自身は少しモヤモヤしましたが

まあ、養子は最終的に死んで
後継は途絶えたわけだから
ある意味復讐は達せられたかな?

物語ラスト
屋敷は火事で全焼します。

屋敷にずっと囚われていたジョセフは
最後無事成仏できたのでしょうか?

個人的に成仏したと思いたいです。

【印象に残ったキャラクター】

ジョン・ラッセル

おじさん主人公は最強!

本作の主人公。
吹き替えの声は久米明さんです。

主人公のラッセルが
怪現象やジョゼフの幽霊を怖がらず

冷静に怪現象や屋敷の秘密に
立ち向かう姿がカッコいいです。

ジョゼフの幽霊を一喝するシーンは
本当肝が据わっているなぁと思いました。

おじさん主人公は最強。

ジョゼフ

悲劇の少年ジョセフ

本作のキーパーソンとなる
幽霊の少年。

主人公ラッセルの前に度々現れては
何かを訴えるかのように
ポルターガイスト現象を起こします。

この子が実の父親に殺されるシーンは
トラウマもの

「お父さんやめて!」という叫びが
あまりにも悲しかったです…

【印象に残ったシーン】

①ポルターガイストの始まり

ひとりでに階段から落ちてきたボール

屋敷に引っ越ししたラッセルは
新生活を始めますが
同時に奇怪な現象が起こりだします。

  • 朝6時に鳴り響く時計の鐘

  • ひとりでに転がるボール

  • 蛇口からひとりでに流れ出す水

  • 子供部屋の謎の車椅子

  • ひとりでに流れ出すオルゴール…

特に時計の鐘の音が怖い。

②ジョゼフ初登場

ラッセルは水の音が気になって
水の音が響く部屋に向かいます。

そこはお風呂場で
なぜかひとりでに蛇口から水が流れてました。

蛇口を閉めるラッセルが
ふとお風呂場を見ると…

水の中から
なんと青白い小さな男の子の顔が
ぽっかり浮かんでいました。

初めて観た時
思わず「ぎゃっ」と声に出しました…💦

③ジョゼフを一喝するラッセル

ジョゼフを叱るラッセル

ラッセルはポルターガイスト現象や
ジョセフの幽霊との出会いをきっかけに
屋敷の謎を解くべく行動を起こします。

屋敷について調べる中
ラッセルはジョセフの過去を知りますが

一方で屋敷の秘密を知る人間達から
様々な圧力もかけられるなど
徐々にきな臭い目にも遇います。

後半、かんしゃくを起こして
屋敷のあちこちでポルターガイスト現象を
巻き起こすジョセフをラッセルは一喝します。

幽霊とはいえ、ジョセフは幼い少年。

かんしゃくを起こしたジョセフを
ラッセルが叱りつけるところに

彼がジョセフを
1人の人間として見ているのが
現れているなと感じました。

他のホラー作品でも
幽霊を叱るキャラはなかなかいませんし
新鮮だなと感じました。

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