2024年8月後半の読了本+感想と、活動報告
こんにちは!
読書ライフは変わらず充実していますが、読み途中の本が多いです。
本棚を購入したので、読みつつ整理しています!
表参道ヒルズ『本と社交場』、BSよしもと『俺の推し本』の公開収録など、来てくださった皆さま、本当にありがとうございます!
エネルギーたくさんもらっているので、面白いもの作ります!
さて、文学フリマ大阪が9/8日に迫ってきました!関西方面にお住まいの方、ぜひお越しください!ブースでお待ちしております!
9/22日には、文学フリマ札幌への出店も決まったので、北海道在住の方に会えるのも楽しみにしています!
読書の感想の前にお知らせをさせてください。
地元・徳島県のタウン誌『CU』さんの最新号が発売されました!
連載させてもらっている書評コラム『やっぱり読書はやめられぬ』では、森本萌乃さんの『あすは起業日!』を紹介しています!
徳島県の本屋さん、コンビニで発売中(一部、淡路島も)。
お近くの方、ぜひゲットしてください^_^
通販でも購入できます!徳島県へ旅行予定のある方などにめちゃめちゃおすすめのタウン誌です!
2024年8月後半に読んだ本
①『平熱のまま、この世界に熱狂したい』宮崎智之
文芸評論家・エッセイストの宮崎 智之さんのエッセイ本。全員に読んでみてほしいと思える一冊だった。
2024年現在、文學界で「新人小説月評」という歴史ある書評コーナーを担当されている宮崎さん。本文で用いられる引用のドンピシャ度が半端なく、万葉集から音楽まで多ジャンルに及ぶのが圧巻だった。
誰がどこに何をどんなニュアンスで書いていたのか、それが自分の伝えたいことをどう裏付けするのか、宮崎さんの尋常ではない読書量の一部をお裾分けいただいたようで、全てのエッセイをワクワクしながら読んだ。
アルコール中毒と離婚を体験し、それが宮崎さんの人生を語るに切り離せない切実なものとなっていること。自分の弱さを心から認めることで、見えてきた本当の自分。これほどまできちんと、誤魔化すことなく自分と向き合っている人を知らない。全てに一生懸命取り組むしかないという覚悟が伝わってきた。
②『たけしの大英博物館見聞録』ビートたけし
1996年に2日間に渡って閉館後の大英博物館を独占観覧し、記事になったものを再編集して、2002年に刊行されたのがこの本。
現在の展示と違うかもしれないので観光ガイドとしては当てになるかわからない。そんなことより、世界中の歴史が詰まっている大英博物館が、ビートたけしという人物の目を通してどのように解釈されたのか。それが気になって手に取った。
そもそものきっかけは、彬子女王殿下の『京都 ものがたりの道』がとても面白かったこと。機械的に受け取っていた観光情報に信頼できる人の目やモノの見方が加わることで、こんなに面白くなるんだと再発見できたからだ。エッセイを通して情報を得ると、自分の中にも残りやすい。
そして本作、めちゃくちゃ面白かったです。
バイク事故から奇跡の生還を果たし、それから生きる意味を考えるようになり、真っ先に「大英博物館に行きたい」と思ったらしい。なぜなら、展示物はどれも「その人が生きた証」だから。あるものは権力者の象徴として、あるものは職人の最高傑作として、「いつか自分は死ぬけれどそれでも後世に残したい」。そんな博物が結集したところ。たけしさんは大英博物館を大きくそう解釈していた。
とにかく、たけし節での解説と感想が面白い。古代から続く権力者の自己顕示欲や所有欲、展示物と空間の関係、自分だったらどうするか、つらつらと軽妙に書いている。ロンドンのことを「うまく年をとり、うまく枯れた人が住んでる町」と書いているのも印象に残った。いつか確かめに行きたい。
③『痴人の愛』谷崎潤一郎
谷崎潤一郎の長編小説。大正13年(1924年)、新聞で連載開始。
読んだのが2024年なので、ちょうど100年前。
面白いよ、面白いけど、なかなかエグい。恋愛小説とも言えるし、偏愛小説とも言える。現代の感覚で言えば「昼ドラやん!」と思わずツッコんでしまうくらい、ドロドロしている。恋愛模様も、主人公の感情も。
発表当時の衝撃たるや、すごかっただろうな。ヒロイン・ナオミの奔放な行動がやがて「ナオミズム」という言葉を生み出したらしい。
文章は、近代文学にしてはかなり読みやすい部類だと思う。
ちなみに痴人とは、ばかな人、おろか者のこと。
あらすじ。
主人公・河合譲治(28歳)は、ごく一般的なサラリーマンで電気技師として真面目に働いている。物語は彼の過去5年の記憶として書かれている。
異性と交際した経験は一度もなかった彼は、社交喫茶でナオミ(15歳)と出会う。ナオミを気に入った譲治は彼女を引き取り、家を借りて2人暮らしを始める。「友達のやうに」暮らそうというのが約束だったが、譲治にはある計画があった。それは自分の嫁にふさわしい人物だと思えるまで、どこへ出ても恥ずかしくないレディーになるまで、ナオミを育ててから結婚するというもの。
譲治は結婚に対して、変なこじらせ方をしていたのである。財産もあり、醜い顔立ちでもなかった譲治が二十代後半まで結婚しなかったのは、結婚に対する夢があったのだ。それは「まだ世の中を何も知らない年頃の娘を手元に引き取って、妻としてはずかしくないほどの教育と作法を身につけさせ、いい時期に夫婦になる」というもの。
社交ダンスやピアノを習わせられるようになったナオミには、しだいに男の影が……。
感想。
これを新聞連載していたと言うのだからすごい。後半もうハチャメチャ。譲治の思うがままに教育を受けさせられていたナオミに対して、負けるな!と感情移入していたが、最後の方ななぜか譲治に頑張れとエールを送っていたから不思議。
まあ、どっちもどっちで、どっちもちゃんと気持ち悪い。面白いけど。
けっこうエグい話であるのに、文章表現が美しくて最後までサラッと読めちゃう。ああ、恋は盲目。
④『トロッコ』芥川龍之介
1922(大正11)年発表の芥川龍之介の代表作のひとつ。教科書で読んだ方も多いかもしれない。
誰かが『日本版スタンドバイミー』と書いていたが、納得する部分もある。ストーリーは全く違うんだけど、少年の冒険と成長の物語を大人になって大切な思い出として回想しているのは共通しているし、どこか懐かしさがある。
どこかに行って「もう戻れないかも」と思った記憶はないけれど、小学生のころ母親がなかなか家に帰ってこなくて「なんかあったんかも」と家でひとりで不安になり、帰ってきた時に安堵して隠れて涙した記憶がある。もちろん携帯のない時代。そんなことを思い出した。
あらすじ。
8歳の主人公・良平は、小田原〜熱海間に敷く鉄道工事に使われたトロッコに憧れを抱く。毎日工事現場に行き、トロッコがゴロゴロ走ってる姿を見て、乗ってみたいなと思う。そんなある日、トロッコがポツンと残されていて、周りに工事のおじさん達がいないことに気が付く。良平と友達はこっそりトロッコに近づき、上り坂に向かって力を合わせてトロッコを押し始めた。もう上がらないとこまで来たら、皆で一斉にトロッコに飛び乗り、一気に降る。その疾走感と振動がたまらない。しかしトロッコから降りたとき、後ろから「何やってんだ!」と怒鳴られる。一目散に逃げる良平たち。しかしトロッコに乗った高揚感を忘れられず、10日後、良平はまた工事現場へ赴く。
今後の予定
文フリ2つ、出展します!!
①9/8(日)『文学フリマ大阪』
時間:12時~17時
場所:OMMビル2F A・B・Cホール
入場無料
第一芸人文芸部は「い-01」ブースです!
ピストジャムさんと一緒にいきます!
②9/22(日)『文学フリマ札幌』
https://c.bunfree.net/c/sapporo09/!/%E3%81%82/6
時間:11時~16時
場所:札幌コンベンションセンター 大ホール
入場無料
第一芸人文芸部は「あ-06」ブースです!
札幌はファビアンのみです!
第一芸人文芸部のレギュラー
① 毎週水曜22時〜 stand.fm生配信
今週読んだ本の紹介、そのほか文学ニュースについて語ったり、活動報告も行なっています。お便りコーナーもあるので、質問等お待ちしております。
第一芸人文芸部の活動のベースとなっております!
② 毎週日曜16時30分〜BSよしもと『俺の推し本』
7月7日から、毎週レギュラー放送が始まりました!
アーカイブはBSよしもとのサイトから!
また放送から1週間後にBSよしもとのYouTubeチャンネルでも公開されます!
YouTubeは記事の下の方にまとめているので、ぜひ!
放送予定
9月 8日 ♯10 野沢直子、ネイチャーバーガー三浦
9月15日 ♯11 野沢直子、天津飯太郎
9月22日 ♯12 野沢直子、インディアンス田渕
拙著について
※)Amazon、読書メーター、ブクログなどで感想書いていただけたらめちゃくちゃ喜びます!!
① 『きょうも芸の夢をみる』
2023年3月に発売した“芸人”をテーマにして書いたショートショート&短編小説集『きょうも芸の夢をみる』について、こちらに発刊への想いを綴っています。
そして以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください!
② 小鳥書房 『本屋夜話』 (「小鳥書房文学賞」詞華集: とりをめぐる12話の物語)
こちら小鳥書房さん主催の「小鳥書房文学賞」を受賞させていただき、その後発売されたアンソロジーです。“とり”をテーマにした12作。僕の『私・芸能人・鳥』という作品も掲載していただいています!
③『第一芸人文芸部 創刊準備号/創刊準備二号』
ともに一般流通していませんが、以下の本屋さんで取り扱ってくれております。自信作です! ぜひゲットしてください!
アーカイブ
①(2024年7月〜)『第一芸人文芸部 俺の推し本』
④ (2023年10月〜2024年3月)Amazon Audible 『本ノじかん』
2023年10月〜2024年3月までの半年間、パーソナリティを担当させていただきました!豪華なゲストと本や創作について語っているのでぜひ!
また番組内の『クチヅタエ』という企画で、バイク川崎バイク(BKB)、しずる・村上、3時のヒロイン・福田、ニッポンの社長・辻、レインボー・ジャンボたかおのリレー小説の連載が完成し、第23回では全員集まって反省会をしています!各回の朗読は、声優の白井悠介さんです!
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面白いもの書きます!