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小説創作関連記事

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十代の頃からアラカンの今に至るまで続いている趣味・小説創作。noteでエンターテインメント公務員小説「やくみん!お役所民族誌」執筆を開始したのを機に、そのドラフトやアイディアメモ…
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#公務員小説

0924:やくみん覚え書き/カクヨム版第一話ひとまず完結

0924:やくみん覚え書き/カクヨム版第一話ひとまず完結

2021年8月にnote上で執筆開始したエンターテインメント公務員小説「やくみん! お役所民族誌」は、一年以上をかけて2022年末に第一話ドラフト稿155,475字を書き上げた。その時に書いた記事がこちら。

ドラフトは「noteに続きを書かねば」というプレッシャーがある種のペースメーカーになっていたが、その後二ヶ月のマイペース推敲作業はしばしば停滞した。それを打開する策として、カクヨムのカクマラ

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0893:公務員経験者が書く公務員小説のリアル or ファンタジー

0893:公務員経験者が書く公務員小説のリアル or ファンタジー

小説投稿サイト「カクヨム」には膨大な作品が蓄積されていて、書き手がどれだけ苦労して面白い小説を仕上げ掲載しても、簡単に埋没してしまう。まず作品の存在を知ってもらうこと自体が難しいのだ。目に止まらねば読んで貰えない。読んで貰えなければ、どれだけ素晴らしい小説を書いても、伝わらない。

それを補う仕組みのひとつに、自主企画イベント機能がある。カクヨムアカウントを持っている人ならば誰でもテーマを掲げるこ

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第1話[18]~[21]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話[18]~[21]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

【前回】

[18]子と親と        *

 ブッさんの知る限り、これまでの候補者面談はせいぜいが30分程度だった。つまりそれまでに哲さんが相手を見限ったということだ。しかし、香守充に対する面談は1時間を超え、2時間に迫ろうとしている。
 面談当初に比べれば、充の様子はかなりほぐれた。哲さんは充に対して支配的に振る舞わない。充のどのような発言も受け止めて、ボールを投げ返す。コミュニケーション

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0595:助けを求めるハンドサイン(SignalForHelp)

0595:助けを求めるハンドサイン(SignalForHelp)

先週アップした公務員小説「やくみん! お役所民族誌」第1話第17回で、特殊詐欺による振込の気配を察知したコンビニ店長とアルバイトのやり取りを描いた。

店長は犯人グループの偽装クレーム電話に対応中だから、防犯カメラでATM前におばあちゃんがいても、電話を放り出して確認しにいくことができない。そこでバイト君に声を掛けて確認してもらう。問題はその先だ。結果がどうだったか、カメラ越しにバイト君から店長に

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0573:小説『やくみん! お役所民族誌』[16]

0573:小説『やくみん! お役所民族誌』[16]

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」[16]

<前回>

        *

 澄舞県庁の組織体制は行政組織規則で定められている。本庁内部組織である生活環境総務課消費生活安全室と、地方機関の消費生活センターは、規則上は別組織だ。前者は消費者行政全体の企画・調整・運用を行い、後者は消費生活相談や消費者教育・啓発などを実施するものとして、役割が分かれている。
 このふたつ

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第1話[6]~[9]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話[6]~[9]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」

【前回】

[6]澄舞県庁へ 朝の澄舞県庁前バス停は、多くの人が降車する。いつもなら、みなもはぼんやりその様子を眺め、そのまま澄舞大学前まで移動するところだ。今日は初めて、澄舞県庁前でバスを降りた。
 道路から広い前庭を挟んだ向こう、コンクリート打ち放しの6階建てビルが、澄舞県庁本庁舎だ。上下に軽く押しつぶしたサイコロのような安定感

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0462:小説『やくみん! お役所民族誌』[9]

0462:小説『やくみん! お役所民族誌』[9]

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」[9]

<前回>

        *

「というわけなのよね」
 二階堂麻美は、昨日の顛末を15秒の情報量で説明した。
「でも、結果的には良かったんじゃないですか?」とみなも。「説明だけだと耳から入ってもすぐに忘れちゃうけど、あのインパクトは残りますよ」
「ぼくも香守さんと同じ意見ですね」と小室が言葉を継ぐ。「一視聴者として、公務員

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第1話[1]~[5]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話[1]~[5]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」

[1]みなもと秀一、アパートの朝 ぎゅっと背後から体に腕を回し、首筋に当てた鼻から、すうっ、と息を吸い込む。嗅ぎ慣れた恋人の体臭は鼻腔から脳に染み渡り、心地よく力が抜けていく。
「みなちゃん、もぎゅられるとネクタイ結べないんだけど」
「んー、あとひと吸いだけ補給ー」
 すうっ。じわじわっ。
 朝。二人が半同棲生活を送るアパートの洋間

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まとめ読み目次/小説『やくみん! お役所民族誌』

まとめ読み目次/小説『やくみん! お役所民族誌』

 note上で連載中の小説『やくみん! お役所民族誌』の本文目次機能のための記事です。

■概要説明 この小説のコンセプト等について記した記事です。

 16万字超まで膨らんだ作品をnote創作大賞応募用に制限字数14万字以内に刈り込んだ後に書いた記事。内容には重複もあります。

■ドラフト連載用マガジン 小説創作に関する様々なエッセイを集めたマガジン。やくみんドラフト版もここで書いています。

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0286:やくみん覚え書き/公務員経験を物語として紡ぐ

0286:やくみん覚え書き/公務員経験を物語として紡ぐ

 司法書士試験が終わり、一息ついた。もちろん学習はこれからが本番だし、家業やら何やらやるべきこと・やりたいことはいろいろとある。

 その中でひとつ、新しい動きに取り組みたい。以前から情報を小出しにしてきた小説「やくみん! お役所民族誌」の連載開始だ。絵師「みどりの」さんにお願いしていたスタートアップイラストも整い、まずはマガジンヘッダを設定した。今回の記事のヘッダ画像がそれだ(マガジンヘッダとは

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0156:やくみん覚え書き/公務員の小説、公務員による小説

0156:やくみん覚え書き/公務員の小説、公務員による小説

 最近『集団左遷!!』ドラマ版を観始めたが、素直に面白い。銀行は預金・融資を通じて「外」との繋がりがあり、利害も欲得もがっちり絡むから、物語はいくらでも生み出せるだろう。だからこそ、半沢直樹を筆頭に銀行モノはビジネス系物語の舞台として定番になった。

 ひるがえって役所・公務員の世界も外との繋がりは多方面にわたるし、どの役所どの部署でも必ず何かしらの公共課題と関係するから、銀行同様に物語の舞台とし

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