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Fさん、だいじょうぶ?

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2020年12月の記事一覧

0098:公務員の終わり方(2)

0098:公務員の終わり方(2)

 どこの役所も(一般的な大手企業も同じだ)、役職と年功序列を併用した給与体系を持つ。年功序列は安定の基礎、子育てのライフステージに合わせて一定の給与を保証することで、公務員の公平公正な仕事を担保する設計だ(この点には異論もあろうと思われるので後日稿を改めて考えを述べる)。

 それは一方で、高年齢職員が多いほどその役所の給与総額が高くなることを意味する。新陳代謝(高年齢職員の退職)によって若手職員

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0097:公務員の終わり方(1)

0097:公務員の終わり方(1)

 マガジンの冒頭で書いたように、来春に公務員を早期退職することを決めたのは本年9月のことだ。しかしそれ以前から、どこかのタイミングで早期退職することはぼんやりと考えていた。

 その一番大きな要因は家業だ。長年家業を営んでいた高齢の親が数年前に事故で倒れ、私にバトンが渡った。以来平日は公務員、休日は副業の二足の草鞋で来たけれど、どうしても副業は「できる範囲」のことになる。いろいろ関係者があるため、

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0095:公務員の作り方(5)

0095:公務員の作り方(5)

 規制行政を担う部門で適正な事務処理が行われず事件化することが時折ある。例えば昔北海道でふたつの事件が起きた。ひとつはミートホープ牛肉ミンチ偽装事件、牛肉と偽って豚・鳥ミンチを販売し不当な利益を得ていた事実が内部告発されたのに行政が適正に調査を行わず、後日国機関(農政事務所)と道庁の間で責任の押し付け合いが起きた。もうひとつは障害者手帳集団不正取得事件、医師が健常者に難聴の診断書を乱発し障害年金不

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0094:公務員の作り方(4)

0094:公務員の作り方(4)

 役所の仕事は、各種調整事務を除く対外業務として、大きく給付行政・支援行政・規制行政がある。給付行政とは生活保護や公的医療保険、それに各種補助金など、金銭やサービスを直接提供するもの。支援行政とは、公共領域における民間活動を直接・間接に振興するもの。規制行政とは、違法行為を監視し、是正のための行政指導(法的強制力なし)や行政処分(法的強制力あり)を行うもの。「アメとムチ」ではないが、公共目的を達成

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0093:公務員の作り方(3)

0093:公務員の作り方(3)

 公務員になって最初の六年間は庁内調整または他の役所相手の仕事ばかりだった(最初に携わった雑誌も読者層の大半は公務員)。それを意識した訳では無いのだけれど、希望して七年目に配属になったのは完全に民間対象の部署だ。業界の人たちと共に「課題を解決するためにどうすればいいか」を議論し、アイディアを出し、予算化して実行に移す。この仕事は非常に面白かった。なるほど、公共領域に関わる役所の仕事というのはこうい

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0092:公務員の作り方(2)

0092:公務員の作り方(2)

 公務員になった当初の主務は部局の広報、長い歴史のある月刊誌の編集を担当した。役所の中に出版社みたいな仕事があることがちょっと嬉しく、その意味では面白かった。ただ、無味乾燥な事務仕事であったり役割の板挟みだったり、世の中の事務職には当たり前にあるあれこれが、それまでのんべんだらりとした学生だった身には、面倒を通り越してつらいと感じることもままあった。やっぱり役所は性に合わない、どこかで見切りを付け

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0091:公務員の作り方(1)

0091:公務員の作り方(1)

 学生時代、私は自分が公務員になるなんてカケラも想像していなかった。大学に残って研究者になるか、本が好きなので出版社に勤めたいと思っていた。ところが家庭の事情で大学院を続けることができず、ひとまず休学して4月から就職浪人状態となった。諸事情から公務員を第1志望としたのだけれど、大学での専攻は法律とも行政ともなにひとつ無関係。さて困った。

 無知な人間でも体系的に勉強できる術として、実務教育出版の

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0090:活字中毒

0090:活字中毒

 私は小学校の半ば頃にはもう立派な活字中毒だった。家に本が大量にあったわけではない、むしろ貧しくてあまり買ってもらえなかった。徒歩1分のところに図書館があり日参していた話は以前に書いた。あとは書店での立ち読み、こちらはコミックスが主だったけれど。

 あの頃から40年以上が経ち、今では立派な老眼だ。それでも本を読むことは止められない。タブレット端末は偉大だ、どこにでも本を持ち歩けて、どこででも本が

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0089:テキストサーファーゲルが好き

0089:テキストサーファーゲルが好き

 マーカーが世の中に出回りだしたのって、いつ頃だったっけ。私の中学生頃はまだ色鉛筆が普通だったような気がする。いつしか蛍光マーカーが当たり前になり、私も特にどれが好みということもなくたまたま目にしたものを買って使ってきた。

 しかし、ある時期からステッドラーのテキストサーファーゲル https://www.staedtler.jp/products/pen01/keikou.html 一択となっ

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0088:iPadPro用MagicKeyboard

0088:iPadPro用MagicKeyboard

 二年前に購入したiPad Proの純正キーボードカバーが最近調子が悪かった。表皮がボロボロになってきたのはまあ実用上問題ないとして、システム的に認識しない事象が頻発して、キーボードとして利用したい時間の2/3くらいは使えない状況だった。本体の方は快調なのでまだまだ使い倒すつもり。そもそも初代iPadMiniを含めPro以外に我が家では旧世代iPadが3台生きている。iPadって、頑丈だよね。

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0087:紙とPDF

0087:紙とPDF

 家業を終えて帰宅し、夜に司法書士試験講座動画を視聴しようと思ったらテキスト類が見あたらない。しまった実家に置き忘れてきたか。こんな時は慌てず騒がずPDFを開く。私の受講している講座では紙テキストを配布する他に受講生ならサイトからPDFファイルをダウンロードできるのが有り難い。

 私は昭和の「マイコン」の時代からコンピュータに接し、平成の初めにパソコン通信を始めたロートルだ。本好きなので電子書籍

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0086:司法書士試験の必要学習量再認識

0086:司法書士試験の必要学習量再認識

 週末家業の合間に、司法書士試験講座の進捗表を作成。テキストではなく動画をどこまで視聴できたか記録するものだ。初めて動画の目次頁の大半を開いたが、これ、とんでもない量があるなあ。テキストが多いのは認識していたけれど、動画の本数で数えると単純に「動画視聴に要する時間」の膨大さが察せられてビビった。

 もとよりこの量の勉強をこなすために年度末に公務員を辞めるわけだけど、4月から7月の試験まで三ヶ月あ

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0085:協働について

0085:協働について

 行政組織と民間団体の「協働」はさまざまな役所・部署で行われている。ただし、それが本質としてまさしく「協働」なのか、そうでないのかは、それぞれだ。

 異なる主体がそれぞれの(同じとは限らないが少なくとも近しい)目的のためにひとつの事業に取り組む、または総合的施策を構成する個々の事業を役割分担することで、単独で得られる以上の効果を得る。それが協働という言葉の持つ本来の趣旨だろう。

 最も安易な役

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0084:雪とコロナ

0084:雪とコロナ

 夏は暑く冬は大雪、どうにも気象が激しいなあ。今夜のニュースでは関越道の立ち往生がメイン。役所の災害関連部門はコロナと重なって気の緩む暇のない日々を送っている。いや、担当部署だけではない。庁内各所から応援が駆けつけて関連部署がどうにか回せている状況だ。

 東京では一日のPCR陽性判明数が800人を超えた。このまま大台に至る可能性もある。医師会は医療体制にもはや余力がないという。アメリカではコロナ

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