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事件勃発!!!『義父母の介護』村井理子著、読了。

夏休みに入り、小学生の娘がずっーと家にいる。朝昼晩のご飯作り。お母さん!お母さん!お母さん、遊ぼう〜とすり寄ってくる娘と格闘し続け、私はそろそろ疲れてきた。

ぐったり疲れていたのだが、村井理子さんの新刊『義父母の介護』を読んでいると、理子さんは猛烈な仕事量をこなしながら、双子の息子たちを育て、さらには義理の両親の介護までしていた。

それに比べると、私の「小学生の子どもが一人いる夏休み」なんて、もう屁のようなもんだなと思えてきた。

人気エッセイストであり、翻訳家でもある村井理子さんの本『義父母の介護』。

第一章は「悪い予感」という小見出しでスタート。介護が始まるのである。読み進めるほどに、「異変」「虫の知らせ」「大混乱」と、もう日常生活では絶対に聞きたくないワードのオンパレード。

そして、事件勃発である。

『どれだけ事件勃発するんだよと言われそうだが、実際に勃発である』と村井さんは書いている。『なにせ、ハプニングの神様に溺愛されている村井家ですよ?』とも書いている。

ただ愛されているのではない、溺愛されているのである。

本当にその通りだなとしか思えない事件、ハプニングが続出で、読み出したら最後、私はページをめくる手が止まらない。

読みながら思わず吹き出してしまって、隣りにいる娘に「今度は何?」と聞かれる。「お腹空いた」「早くご飯食べよう」と言われても、読むのを止められない。今は全部で4章あるうちの、3章の半分まで来てしまった。

ここまで読んできて一番印象的だったのは、理子さんが自分自身に対してブチギレているシーンだった。

仕事と介護、家事に疲労困ぱいした理子さんは、ついに腎盂腎炎(じんうじんえん)となり、入院を打診されてしまう。理子さんが立ち回ることで、何とか成り立っている村井家。でもそのやり方は過労となり、理子さんの命を脅かす。

自分を犠牲にして成り立たせる介護って、正解ですか?暗い顔をして介護をするくらいなら、その時間を使って稼いだ方がずっといい。育児も介護も、お金で問題を解決できる局面が多くある。


ということで、理子さんは家族に対して「もうこんな生き方やめます」宣言をする。理子さんがあまりにもキレているので、家族の誰も話しかけてこない時期がしばらく続いたそうだ。ウケる。

でも、理子さんは家族に対して腹を立てていたのではない。自分に対して腹を立てていたところが、より胸を打つ。

理子さんにとって腎盂腎炎は人生で二度目。『私は少し腹が立っている。誰に対してというよりも、自分に対して。再び入院と言われるなんて、不注意もいいところではないか。屈辱だ。それも過労って、いい加減にしてよと思うのだ』。

過労は自分で避けられる。セーブできるのに、やってしまうのだ。だからやはりそれは不注意なのである。

私も過去、肺炎に5回なったことがあるので、分かる。理由は同じく過労だ。理子さんは2回で気付いたけれど、私は5回なるまで気付かなかった。ここまで追い込んでいるのは他でもない、自分であると。

そして思った。私も5回目の肺炎になったときに「もうこんな生き方やめます」宣言をしたのだなと。

それにしても理子さんの、悪口か悪口じゃないのかよく分からない悪口の書き方は本当に天才的である。

(義母は)あっけらかんとした正確で、常に明るく、笑いを絶やさない。若い頃はかなり意地悪な……いやなんでもないです、とにかく、私からすると義母は本当に楽な人だ。なにせ、話が通じるのだから。

一方義父は、面倒くさいことこの上ない。なにせ、正確が暗い。なんとも重い男だ。あまりにも暗くてうんざりしてくる。すいません、悪口書きすぎましたでしょうか。でも本当に、「いいかげんにして」といいたくなるような人なのだ。

書き方のポイントとしては、前半で良いところを書き連ねる(客観的に書く)。後半はこんな目に遭っていると自分の意見を挟む(主観的に書く)ところだろうか。でも、義父に関しては悪口に次ぐ悪口で、さすがの理子さんも謝っているのが面白い。

試しに、私が夫のことを書くとすると。

夫は、手先がとても器用で、庭のウッドデッキも一人で作り上げてしまうし、料理の才能もあって、私が作るよりよっぽどおいしい料理を毎晩作ってくれている。洗濯物も(シワは決して伸さないが)干してくれるし、家の中のことをとても細々と気にかけ、そして動いてくれるのだ。

でも、夫に用事があって、いざ家を留守にするとなると、私は心底、爽快な気分になる。そのまま飛んでいきそうなくらいに浮かれる。

という感じでいいのか?

ちなみに、夫が毎晩料理を作ってくれるようになったのは、私が「もうこんな生き方やめます」宣言をした以降だ。それまでは私がずっと朝晩、料理を作っていたし、私が夜、外食するときは、(私は食べないのに)夕飯の準備をしてから出かけていた(別に作れと言われていたわけではない。私が自分で、妻だから母だから作らねばと思って作っていたのだ)

そう思うとすごい変化である。

と、なんか話がそれてしまったけれど、とにかく村井理子さんのエッセイは最高!ということだけは最後にお伝えしたい。

※この記事は、過去に配信したメルマガを元に編集して投稿しています。

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